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2006年11月

2006年11月29日 (水)

轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム4&5

 11月22日発売の「轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム4&5 SGSサウンドアーカイブ」の総解説を書いています。

 実は、解説だけの仕事ってあまりやらないことにしているんです。
 作曲者自身が構成したものや、過去のアルバムの再発の場合は別です。異なる視点から解説を書く意味があります。でも、ほかに選曲・構成者がいる場合はその人が書いたほうがいい。それは音楽解説だけでなく、作品解説についても同じです。
 なぜかというと、選曲・構成というのは、作品の解釈だと思っているのですね。作品を見る切り口、解釈のしかたによって、選曲・構成のしかたも変わる。10人の人がいれば10人違う構成をするはず。だから、アルバムに作品解説が付属する場合も、構成者自身が、「こういう視点で作品を観た」ということを表明すべきだと思うのです。それが、リスナーがアルバムを楽しむ材料のひとつになる。

 DISCも解説もジャケットデザインも含めて、アルバム全体で一つの商品なんですよ。トータルで意味があるんです。CDの仕事を請け負う場合、まるごと受けることにこだわる理由はそこにあります。

 だから、「解説だけ」という仕事には「もっと適任者がいるのでは?」とお答えすることが多いです。
 でも、この戦隊シリーズは別格なんですね。
 朝日ソノラマの雑誌『宇宙船』で、2003年の『爆竜戦隊アバレンジャー』以来、戦隊シリーズの音楽記事を書いてきました。作曲家、歌手らに取材して、音楽録音も見学させていただきました。残念ながら『宇宙船』は休刊してしまったんですが、その縁もあって、今でも音楽録音は見学させていただいていますし、東映の選曲・宮葉さんやコロムビアの担当ディレクター八木さんとのおつきあいも続いています。いわばホームグラウンド、なじみのフィールドなんです。
 戦隊シリーズは、もちろん、特撮ファンとしてもずっと観ていますし、サントラも全シリーズ買っています。仕事を離れた一ファンとしても応援してるんですよ。
 だから、昨年の「魔法戦隊マジレンジャー マジカルステージ4&5 魔法音楽大辞典」の仕事も、よろこんで引き受けました。これは自分が書く意味がある、自分しか書けないものがある、と思ったからです。

  「轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム4&5」は、過去2枚発売されたサントラアルバムに収録されなかったBGMを集大成したものです。いつものように、既発2枚のサントラの楽曲解説もまとめて掲載されています。既発のサントラは「子ども向け」というコンセプトから、解説がついてないんですよ。楽曲解説は、作曲家・中川幸太郎さんと選曲・宮葉勝行さんの話をライターの豊田朋久くんがまとめた労作。構成は宮葉さんです。
 毎年のお楽しみ、Extra曲も収録されています。23話「あぶない相棒」の終盤でかかった、ボウケンブルー=三上真史作曲「SKY BLUE」のアレンジ曲も収録されました。アレンジは以前当BLOGでも紹介したまついえつこさん。
 主題歌・挿入歌のインストも収録されて、ボリュームたっぷりの2枚組。中川さんの豪快な音楽、ぜひ聴いてみてください。

 解説だけの仕事はあまりやらないと書きましたが、腹巻猫の視点と解釈と味付けでよいのでしたらよろこんでお受けしていますよー。あるいは、たとえば出崎アニメなど、自分が大ファンでくり返し観た作品なら、進んでやりたい。そういう仕事は大切にしたいです。

轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム4&5 SGSサウンドアーカイブ (2枚組)

 : 轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム4&5

轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム1
 第1回録音から代表的な音楽を集めた、1st音楽集。出演者のトークが解説代わり。

 : 轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム1

轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム3 最強のサウンド
 劇場版音楽と第2回録音を含むTVシリーズの音楽から選曲された2枚めのサントラ。

 : 轟轟戦隊ボウケンジャー プレシャスアルバム2 最強のサウンド

魔法戦隊マジレンジャー マジカルステージ4&5 魔法音楽大辞典 (2枚組)
 シリーズの掉尾を飾る最終音楽集。2枚のサントラに未収録のBGMを収録。まついえつこさんによる楽曲解説も読めるファン必携のアルバム。

 : 魔法戦隊マジレンジャー マジカルステージ4&5

2006年11月28日 (火)

黄金戦士ゴールドライタン オリジナルサウンドトラック

 11月15日に発売になりました。

黄金戦士ゴールドライタン オリジナルサウンドトラック

 : 黄金戦士ゴールドライタン オリジナルサウンドトラック

 「山本正之電影ワールド」の1枚。『ゴールドライタン』初の音楽集です。構成・解説・取材を担当しました。

 「タイムボカンシリーズ」を年代を追ってリリースしてきた「山本正之電影ワールド」には、主にインタビュー担当として参加してきました。シリーズひとまずの最終巻となる『ゴールドライタン』では、まるごと1枚、楽曲構成・解説・作曲家取材をやらせていただきました。

 好きな作品なんですね。どうも、『ゴワッパー5ゴーダム』とか『小さなスーパーマン ガンバロン』とか、子どもたちが主人公の冒険SFものに弱いんです。アーサー・ランサムやエーリッヒ・ケストナーの児童文学が好きだったせいか、ジュヴナイル的味わいの作品に趣味がかたよってます。

 『黄金戦士ゴールドライタン』は、小さなロボット軍団とワルガキたちのグループ「わんぱくクレンジャー」が協力して、異次元からの侵略者と戦う物語。ロボットと少年の友情物語といってもよい内容になってます。解説にも書きましたが、この作品では、ロボットは巨大な機械ではない。いつもポケットの中にいて少年を見守る存在です。そこが作品の印象を独特のものにしている大きなポイントになっています。

 BGMはNG分を除いて全曲収録することができました。構成は奇をてらわず、オーソドックスな流れにしたつもりです。作品の持つテンポと高揚感(ワクワク感)をうまく再現しようと気をつけました。

 音楽的には、ゴールドライタンとライタン軍団を描写するアクション系の音楽と、ヒロとわんぱくレンジャーを描写するややコミカルな曲、そして、イバルダ大王とメカ次元からの侵略者を描写する敵側のテーマ、という3つのタイプの曲が中心になっています。タイムボカンシリーズと『闘士ゴーディアン』を経て山本正之&神保正明の両作曲家が作り出した音楽は、すばらしくカッコいい。惜しむらくは、1曲が短い。たとえば主題歌のブラスアレンジM-11は60秒、必殺技ゴールドクラッシュのテーマとして使われたM-15はわずか45秒。「もっと聴いていたい…」と思ってしまいます。

 情感曲や情景描写の曲にもいいものが多い。叙情的な音楽からジャジーな曲まで、バラエティに富んでいます。タイムボカンシリーズ同様、山本正之のメロディメーカーとしての冴え、神保正明のアレンジャーとしての技がいかんなく発揮された音楽群。たっぷり聴いていただきたいです。

 残念だったのは権利関係からレコードサイズ主題歌とカラオケが収録できなかったことです。毎回、ゴールドライタンがレインボーロードを通って巨大化するときに、必ず主題歌か副主題歌が流れているので、ぜひ、収録したかったんですが、涙を呑みました。

 収録曲は以下の通り。

-------------------------------------------------------
■オープニング
1. 黄金戦士ゴールドライタン (TVsize)

■はるか次元の彼方より
2. M-41
3. M-21
4. M-64B

■ヒロのテーマ
5. M-0 T2
6. M-5

■異次元のミステリー
7. M-3
8. M-67B
9. M-31

■メカ次元の悪魔
10. M-18 ブリッジ
11. M-17
12. M-25

■悪を追って
13. M-30
14. M-12

■ゴールドライタン登場!
15. M-13
16. M-11 T2
17. M-14

■ポケットの中の勇気
18. M-1
19. M-69
20. M-8

■この美しき世界
21. M-36 ブリッジ
22. M-49

■われらわんぱくレンジャー
23. M-5 ウッドブロックのみ
24. M-40 ブリッジ
25. M-32
26. M-16

■捜査開始
27. M-65B
28. M-4
29. M-33 T2

■東へ西へ
30. M-37 ブリッジ
31. M-61
32. M-55
33. M-60
34. M-62
35. M-59

■油田ゼミナール
36. M-70
37. M-40
38. M-66A T2
39. M-66B
40. M-66C T2
41. M-68
42. M-73

■哀愁のヒロ
43. M-65C T2
44. M-2
45. M-46

■美しい人
46. M-71
47. M-48
48. M-47

■異次元の侵略者
49. M-17 ブリッジ
50. M-19
51. M-18
52. M-67C
53. M-24
54. M-9

■集結!ライタン軍団
55. M-65A
56. M-6
57. M-27

■小さな仲間たち
58. M-50
59. M-51
60. M-28

■今夜も街の片隅で
61. M-42
62. M-43

■戦士の決意
63. M-10
64. M-7

■風に吹かれて
65. M-54
66. M-36

■忍び寄るイバルダの魔手
67. M-72
68. M-64C T2
69. M-67A
70. M-72B T2
71. M-53
72. M-44

■ディメンション・チェイサー
73. M-61B
74. M-26 T2
75. M-29

■夕暮れの街
76. M-37
77. M-39

■メカ宮殿の反乱
78. M-64A
79. M-20
80. M-35
81. M-34

■激闘の嵐
82. M-23
83. M-22
84. M-52

■必殺!ゴールドクラッシュ!!
85. M-11 T1
86. M-15

■さよならライタン軍団
87. M-45
88. M-38

■クロージング
89. メカニカル・ダンシング・ファイト (TVsize)

音楽:山本正之、神保正明

-------------------------------------------------------

 主題歌レコードサイズは、現在以下のCDで聴くことができます。

なつかしアニメ・ソングセレクション
なつかしアニメ・ソングセレクション2 -EDテーマ編-

 : なつかしアニメ・ソングセレクション : なつかしアニメ・ソングセレクション2

  ところでこのCD、1曲1トラック仕様になっています。「ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック」の紹介を書いたとき、「1曲1トラックのサントラが作りづらい」という話をしたんですが、今回は大丈夫だったんですね。なぜかというと、メーカーと著作者(作曲家)が協議して、「楽曲使用料は1曲1トラックの計算ではなく、収録時間合算の計算でOK」と合意してくれたからなんです。時間と手間をかけ、なおかつ権利者が合意してくれれば、1曲1トラックも可能ではあるんです。メーカーにも権利者にもそれぞれ事情があるので、いつもそれができるとは限らないし、できなかったからといって誰かが悪いとも言えないのですが、今回はありがたかったです。流れを変える力になれば、と思います。

2006年11月27日 (月)

夏のドラマをふりかえる

 もう年末ですねえ。
 いまごろになってなんですが、夏シーズンのドラマをふりかえってみます。
 夏のドラマ音楽については、書こうと思いつつ、タイミングを逃してしまったのですね。
 なぜタイミングを逃したかというと、お気に入り作品のサントラが出なかったから。

 夏のドラマで一番面白かったのは? これはなんといっても『結婚できない男』だったわけですよ。阿部寛演じる偏屈な40男のキャラが強烈。『トリック』以来、すっかりこういうキャラがハマリ役になってしまいましたね。夏川結衣の大人の女性の可愛さが魅力的。国仲涼子が、いつになくお茶目なキャラクターというのもハマリどころでした。
 で、音楽は仲西 匡さんが担当しています。アニメではあまり名前を聞きませんが、『木更津キャッツアイ』『特命課長 只野仁』『タイガー&ドラゴン』『神はサイコロを振らない』など、ドラマ好きにはなかなか堪えられない作品を担当している作曲家です。また、『サイコメトラーEIJI』『伝説の教師』『新宿暴走救急隊』(以上音楽)、『君といた未来のために』(音楽プロデューサー)など、日本テレビ土曜9時枠(土曜グランド劇場)の常連でもあります。さらに深夜枠の『ヴァンパイアホスト』もこの人となれば、SF幻想系ドラマ好きにとっても注目の作家であるわけですよ。
 『結婚できない男』では、シニカルな口笛のテーマやファゴットのユーモラスな曲が印象的でした。サントラ出てほしいと思っていたのに、残念ながら未発売。主題歌はEvery Little Thingの「スイミー」。なかなかいい曲でした。タイトルバックで、この歌の軽快なサビをバックにヒロインたちがさっそうと歩いていく場面、この物語の一方の主人公が彼女たちなのだなぁと思わせる名シーンです。

スイミー (Every Little Thing)

 : スイミー (Every Little Thing)

結婚できない男 DVD-BOX

 : 結婚できない男 DVD-BOX

 夏シーズンのドラマで私も気に入っていた作品がもう1本あります。それは深夜枠で放映していた『怨み屋本舗』。『特捜戦隊デカレンジャー』のデカイエローこと木下あゆ美が主演した、現代版必殺シリーズみたいなドラマでした。
 過去にも同じようなコンセプトのドラマがありましたが、こちらは深夜枠ということもあって、なかなかダークな作り。必殺+「エコエコアザラク」みたいな雰囲気がたまりませんでした。
 音楽のほうも、必殺を意識してか、マカロニウェスタン調です。音楽担当は五十嵐由美。名前を聞いたことはなかったのですが、検索したらドラマ『嬢王』『2ndハウス』『下北GLORY DAYS』などを手がけていました。『怨み屋本舗』へと連なるテレビ東京系金曜深夜枠作品群です。この枠を連続して担当しているのですね。サントラが出てないのが残念です。
 主題歌はオープニングがmihimal GTの「いつまでも響くこのmelody」、エンディングがSean Northの「final your song」。mihimal GTは『ガラスの艦隊』の主題歌も歌っているユニットです。毎回本編冒頭、街頭で「怨みを抱いたことがありますか?」と道行く人にインタビューする映像のバックにグレン・ミラーの名曲「イン・ザ・ムード」が流れているのですが、それが主題歌「いつまでも響くこのmelody」の曲の一部だったのですよ。面白いアレンジです。エンディング「final your song」は殺伐とした本編の印象を鎮めてくれるしっとりとしたバラード。心の闇から解放されるような効果をねらっての採用なんでしょうね。

いつまでも響くこのmelody (mihimal GT)

 : いつまでも響くこのmelody

final your song (Sean North)

 : final your song

怨み屋本舗 DVD-BOX

 : 怨み屋本舗 DVD-BOX

 ほかに夏シーズンで注目していたドラマは『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』でした。TOKIOの長瀬智也。長瀬くんといえば、私は『白線流し』で注目したのですが、最近は『タイガー&ドラゴン』の虎児のような二面性をもった二枚目半キャラがすっかり定着してます。このドラマも、暴力団組長にして高校生という、とんでもない設定の主人公を好演。『ローレライ』の香椎由宇が女性教師役というのも注目ポイントでした(年合わないんじゃ…)。

 TOKIOが歌う主題歌「宙船(そらふね)」は中島みゆきのき曲提供ということで話題になりました。実は、中島みゆき、ひそかに好き。アナログ時代からアルバムもずっと買ってます。TOKIOの歌とみゆき節がなかなかハマってました。TOKIOといえば、かつてはOVA『YAMATO2520』のイメージソング「明日の君を守りたい」やNHKアニメ『飛べ!イサミ』の主題歌「ハートを磨くっきゃない」(名曲でした)を歌ったりして、アニメファンにも縁のあるグループなんですな。私はクドカン脚本の傑作ドラマ『マンハッタン・ラブストーリー』の主題歌「ラブラブ・マンハッタン」(作詞はクドカン)にハマって、一時は毎日聴いてました。
 『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』でうれしかったのは、ちゃんとサントラが発売されたことです。音楽は高見 優。この方もあまり聞かない名前です。アレンジやCMなどで活躍するほか、『美少女戦士セーラームーン』や『魔法戦隊マジレンジャー』のキャラクターソングを作曲しています。ドラマの音楽担当はこれがはじめて? このあと秋クールで『14才の母』の音楽を担当しました。
 サントラでは、1曲めと最後から2曲めに収録された「Theme of My Boss」「Theme of My Hero」がいいんですよ。『結婚できない男』と同じく、口笛のメロディが印象的。これからどんな音楽を書いてくれるのか楽しみです。

宙船(そらふね) (TOKIO)

 : 宙船(そらふね)

 中島みゆきが歌うversionはアルバム「ララバイSINGER」(中島みゆき)に収録。

 : ララバイSINGER

マイ☆ボス マイ☆ヒーロー O.S.T.

 : マイ☆ボス マイ☆ヒーロー O.S.T.

マイ☆ボス マイ☆ヒーロー DVD-BOX

☆オマケ
ラブラブ・マンハッタン (TOKIO)

 : ラブラブ・マンハッタン

2006年11月25日 (土)

池野成メモリアル・コンサート

 11月23日。第一生命ホールで開催された「池野成メモリアル・コンサート」を聴きました。
 第一生命ホールは東京晴海トリトンスクエアにある楕円(オーバル)型のホールです。席数は767席余り。
 一昨年亡くなった作曲家・池野成を偲ぶイベントでした。

 池野成は200と数10本におよぶ映画音楽を書いた作家です。代表作は『夜の蝶』『雁の寺』『白い巨塔』など。SF特撮映画ファンには『『電送人間』と『妖怪大戦争』が著名です。
 『電送人間』の音楽をレコードではじめて聴いたときは、その鋭利なサウンドに陶然としました。メロディアスな方向に向かう作曲家が多い中、池野成の音楽は、ひとつひとつの音がとぎすまされ、音の塊でガツンと打たれるような印象があります。

 この日の演奏曲は以下のとおり。

<第一部>
・池野成への追悼「ゲッセマネの夜に」より (松村禎三 作曲)
・池野成への追悼「陪臚」(初演) (今井重幸 作曲)

・「妖怪大戦争」(初演) (藤田崇文 構成・編曲)
・「映画的交響組曲」第一番(初演) (今井重幸 構成・編曲)
 1.山河への前奏曲
 2.フーガの変容
 3.白い巨塔
 4.ポエマ
 5.メロディア
 6.狂詩的終曲「赤い水」

<第二部>
・DIVERTIMENTO (ディベルティメント)
・FRAGMENTOS ANTIGUOS (古代的断章)
・TIMPANATA (ティンパナータ)
・EVOCATION (エヴォケイション)

 一部が短い追悼曲と映画音楽、二部が純音楽作品、という内容でした。
 映画音楽は『妖怪大戦争』と『傷だらけの山河』『白い巨塔』『赤い水』からとられています。曲の構成やオーケストラ編成は原曲とかなり異なる、コンサートヴァージョンです。
 二部の純音楽作品はいずれもパーカッションを大胆に使った作品。池野成の打楽器への傾倒がうかがえる作品群です。

 こうした内容だと、一部と二部とで印象が変わるものですが、このコンサートではまったく変わりませんでした。つまり、前半の映画音楽も非常に現代音楽的であり、後半の純音楽作品も非常に映画的なのです。
 幻惑されるようなパーカッションの激しい響き。土俗的な荒々しさは師匠の伊福部昭先生ゆずりでしょうか。
 演奏もすばらしかったです。ずらりと並んだパーカッションが圧巻でした。
 ティンパニ、トムトム、スチールドラム、コンガ、グランカッサといった太鼓系、マリンバ、グロッケン、ビブラフォンな どの鍵盤系、ギロ、カウベル、キハーダなどのラテンパーカッション系。ステージいっぱいのパーカッションと少人数のオケが加わって のアンサンブルです。コンサートホールでキハーダ(ほんもの)が鳴らされるのをはじめて見ました。キハーダってロバのあごの骨ですよ。白と赤にペイントしたキハーダを女性パーカッショ ニストが鳴らしているのです。「うわぁ」と思いました。 音だけ聴くよりも、こうして生演奏を見るほうが、何倍も面白い。
 映画音楽ファン、パーカッション好きにはたまらないコンサートでした。このコンサート実現のために努力された実行委員のみなさん、すばらしい演奏を披露してくれたオーケストラのみなさんにありがとうと言いたいです。

 今回演奏された映画音楽作品のコンサートヴァージョン、くり返し聴きたいですね。ぜひCD化してほしいです。

■池野成の映画音楽(CD4枚組)
 通信販売のお申し込みはこちら
 Ikenosei

電送人間 オリジナルサウンドトラック
 残念ながら在庫切れ。

 : 電送人間 オリジナルサウンドトラック

大怪獣伝説 ~東宝特撮映画メインテーマ大全集~
 『電送人間』タイトル曲を収録。

 : 大怪獣伝説 ~東宝特撮映画メインテーマ大全集~

 そのほか、いくつかの映画音楽作品がコンピレーションに収録されたことがありますが、いずれも、現在は入手できないようです。

2006年11月17日 (金)

あにまーとないとVol.1 うちやえゆかライブ

 11月16日、秋葉原のライブハウス<秋田犬>で開催されたライブ「あにまーとないとVol.1」に行ってきました。

 「あにまーと」とは『ふたりはプリキュア Spash☆Star』などの音楽制作を担当しているところなんですね。私もサントラ制作でお世話になっています。今回は、そのあにまーとさん主催のライブ。出演は、『Splash☆Star』主題歌を歌っているうちやえゆかさん、プリキュアの歌の多くにコーラスで参加している安蒜(あんびる)真理子さん、そしてライブハウスなどで活躍中の大森真理子さんの3人でした。

 最初に登場したのは、大学の後輩のバンドをバックに歌う大森真理子さん。きれいな人だー。なかなか聴かせます。

set list
 1.Little superhero girl
 2.はぐれ雲
 3.糸 (中島みゆき)
 4.My baby santa claus
 5.happiness...

 私には中島みゆきのカヴァー「糸」がツボでした。

 2人めは、安蒜真理子さん。安蒜さんは五條真由美さんのライブでいつもコーラスをしているのを拝見/拝聴しているのですが、ソロライブを聴くのははじめて。ライブのほか、スタジオミュージシャン、ヴォイストレーナーとしても活躍しているだけあって、さすがの歌唱力です。

set list
 1.やわらかな光
 2.rain
 3.close to you (CARPENTERS)
 4.言葉にできない (オフ・コース)
 5.clear blue
 6.so many clouds
 7.ココロバナ

 ゆったりした曲が多いのだけど、安蒜さんの明るく元気いっぱいのキャラクターに会場の雰囲気も盛り上がりましたよ。

 そして、トリはうちやえさん。登場する頃には、小さな会場は満員になっていました。子ども連れで聴きにきた方やバイト先から制服のまま直行してきた方など熱心なファンが多数。さすがの人気です。ステージと客席がこんなに近いハコで生歌を聴ける機会ってなかなかないですからね。ライブハウスならではの醍醐味ですよ。

set listと私のコメント。

1.奇跡の雫
 1曲めは11月22日に発売される『ふたりはプリキュア Splash☆Star ヴォーカル・アルバムII 奇跡の雫』から表題曲。

2.青いボーイフレンド
 なんとー!! うちやえさんが○年前に歌った『気まぐれオレンジ☆ロード』劇場版の歌ですよ。歌うのは当時以来とか。蔵出しです。こういうのいいですね。

3.クリスマスの贈り物
 もうすぐクリスマスということでオリジナルのクリスマスソングを、"鈴の音"入りで。

4.Beautiful World
 『ふたりはプリキュア』の挿入歌から、1stシリーズの最終回に使われたバラード。2枚めのヴォーカルアルバム「VOCAL RAINBOW STORM!!」に収録されています。

5.あなたと二人で
 ピアノをバックにオリジナル曲をしっとり歌います。

 ここでコーラスに安蒜真理子さんが入って、『ふたりはプリキュア Splash☆Star』から元気いっぱいの2曲。会場にいた子どもたちにも大人気でした。
6.今日も元気!
7.まかせて★スプラッシュ☆スター★

 そして、またまた、なんとー!! ライブならではのスペシャルが。
8.DANZEN!!ふたりはプリキュア ver.MaxHeart
 会場にいた五條真由美さんをステージに上げて、五條さんのヴォーカル、うちやえさんと安蒜さんがコーラスで『ふたりはプリキュア MaxHeart』の主題歌ですよ。これは盛り上がりましたね。
 さらにこのとき、思いもかけない、ライブならではの事件があって会場は騒然。騒然といっても笑いで騒然としたのですよ。その顛末はうちやえさんのBlogに……。

 ラストは『ふたりはプリキュアSplash☆Star』の挿入歌から。
9.my growing days

 アンコールに、本日の出演者3人(大森真理子、安蒜真理子、うちやえゆか)で、
・年下の男の子
 キャンディーズのカヴァーです。キャンディーズ好きなんで、これはうれしかった。フリもばっちりで感動。

 前回の秋田犬ライブと同様、今回も打ち上げに参加させていただきました。会場のファンの方も名残惜しかったらしく、打ち上げまで参加された方もちらほら。ファンと出演者の壁のないアットホームな雰囲気は、うちやえさんのライブならではという気がします。

 さて、『ふたりはプリキュアSplashStar』の劇場版『映画 ふたりはプリキュアZSplashStar チクタク危機一髪!』が12月9日(土)に東映系で公開されます。
 実はうちやえさん、この映画に本人役で出演(?)しているのですね。どこに出ているかはお楽しみということで。ぜひご覧ください。
 そして、気になる音楽ですが、今回も新録があります。TVシリーズの音楽を新規にTDして使う曲もあるのですが、去る11月12日に映画用の新曲録音がありました。サウンドトラック盤は12月22日発売。私は構成・解説を担当させていただきました。作曲の佐藤直紀さんインタビューのほか、今回はあっと驚くおまけがつく予定ですので、ファンの方はお買いのがしなく。

<この日の曲を収録したアルバム>

ふたりはプリキュア ボーカルアルバム2 VOCAL RAINBOW STORM!!
 「Beautiful World」を収録。

 : ふたりはプリキュア ボーカルアルバム2 VOCAL RAINBOW STORM!!

ふたりはプリキュア SplashStar Vocal アルバムI ~Yes!プリキュアスマイル~
 「まかせて★Splash☆Star★」と「my growing days」を収録。

 : ふたりはプリキュア ボーカルアルバム2 VOCAL RAINBOW STORM!!

ふたりはプリキュア SplashStar VocalアルバムII 奇跡の雫
 「奇跡の雫」を収録。

 ふたりはプリキュア SplashStar VocalアルバムII 奇跡の雫

きまぐれオレンジ☆ロード もぎたてスペシャル
 「青いボーイフレンド」を収録。

 : きまぐれオレンジ☆ロード もぎたてスペシャル

<これまでのプリキュア映画>

映画 ふたりはプリキュア MaxHeart

 : 映画 ふたりはプリキュア MaxHeart

映画 ふたりはプリキュア MaxHeart2 雪空のともだち

 : 映画 ふたりはプリキュア MaxHeart2 雪空のともだち

<劇場版サントラはこちら>

「映画 ふたりはプリキュア MaxHeart」 MUSIC LINE オリジナルサウンドトラック

 : 「映画 ふたりはプリキュア MaxHeart」MUSIC LINE オリジナルサウンドトラック

「映画 ふたりはプリキュア MaxHeart2 雪空のともだち」オリジナルサウンドトラック

 : 「映画 ふたりはプリキュア MaxHeart2 雪空のともだち」オリジナルサウンドトラック

2006年11月14日 (火)

ダニー・エルフマンのミュージックトラック

 ティム・バートン監督の映画『コープスブライド』と『ピーウィーの大冒険』のDVDが廉価版で再出荷されています。この2本、音楽を担当したダニー・エルフマンのファンにとっても、なかなか見逃せないDVDなんですね。

 『コープスブライド』には、映像特典として「ダニー・エルフマンと2つの世界」というコンテンツが収録されています。ダニー・エルフマンが音楽作りの裏話を語るインタビュー映像や音楽録音の風景が収められています。
 さらに、「ミュージック・トラック」というメニューもあり、これを選択すると、音楽トラックのみを再生しながら本編をプレイできます。つまり、セリフとSEを抜いた音楽のみをバックに本編が再生されるというわけ。一種の完全版サントラです。本編と同期しているので無音部分もあるのですが、ミュージックビデオとしてもなかなか楽しめます。

 『ピーウィーの大冒険』のほうは、「ダニー・エルフマンによる音声解説つきミュージック・サウンドトラック」というメニューがあります。これを選択すると、上の『コープスブライド』と同様に、音楽のみをバックに本編が再生されます。さらに、音楽の合間にダニー・エルフマンが音楽作りについて語るコメンタリーがついているのですよ。これがなかなか興味深い。『ピーウィーの大冒険』の話題だけに終わらず、はじめて手がけた映画音楽のことや、ティム・バートンとの出会い、バーナード・ハーマンに影響を受けたことなどがエルフマン自身の言葉で語られるのです。ちゃんと字幕もついてます。エルフマンのファンのみならず、映画音楽を勉強する人にもぜひ見てほしい内容です。

 今ならキャンペーン価格で、2枚買っても2000円でお釣りがくるのですから、かなりお徳な買い物と言えるでしょう。まだお持ちでない方は、この機会にぜひ。

ティム・バートンのコープスブライド 特別版

 : ティム・バートンのコープスブライド 特別版

ピーウィーの大冒険 特別版

 : ピーウィーの大冒険 特別版

2006年11月11日 (土)

機動戦士ガンダム主題歌復刻プロジェクト

 『機動戦士ガンダム』1stシリーズの主題歌シングルを当時のままのジャケットで復刻したMAXI CDが発売中です。

翔べ!ガンダム/永遠にアムロ(池田鴻)
 TVシリーズ「機動戦士ガンダム」主題歌をカップリング収録。2曲のオリジナル・カラオケも収録されています。

 : 翔べ!ガンダム/永遠にアムロ

 特にこの最初のシングルは、いかにも子ども向けのジャケットデザインが今ではかえって貴重な1枚。
 当時の二つ折りジャケットがそのまま再現されています。
Gumdam_front
Gundam_in

 盤面も、当時のドーナツ盤のレーベルデザインを復刻したもの。

Gundam_disc

 若いファンの中にはアナログ盤を知らないという方もいるかもしれませんが、こんな形で当時の「空気」に触れてみるのも興味深いのではないかな。

 ほかにTVシリーズの挿入歌シングル2枚が発売中。いずれもオリジナル・カラオケ入り。

シャアが来る/きらめきのララァ(堀光一路/戸田恵子)

 : シャアが来る/きらめきのララァ

いまはおやすみ/永遠にアムロ(戸田恵子)

 「永遠にアムロ」はカラオケを録り直した戸田ヴァージョン。また、「いまはおやすみ」はセリフ入りですが、今回の復刻では、特別にセリフなしオリジナル・ヴァージョンもあわせて収録されています。

 : いまはおやすみ/永遠にアムロ

 11月22日には、劇場版3作の主題歌シングルも同様の仕様で復刻発売されます。

砂の十字架/スターチルドレン(やしきたかじん)

 : いまはおやすみ/永遠にアムロ

哀 戦士/風にひとりで(井上大輔)

 : いまはおやすみ/永遠にアムロ

めぐりあい/ビギニング(井上大輔)

 : いまはおやすみ/永遠にアムロ

2006年11月 8日 (水)

美野春樹トリオ in 六本木スイートベイジル

 11月7日。六本木のライブハウス<スイートベイジル>で美野春樹トリオの演奏を聴いてきました。

 美野春樹さんといえば、ピアニストとして数々のレコーディングに参加、作曲家としても『魔法使いサリー』(1989版)や『宇宙船サジタリウス』の音楽を担当されているベテランです。ドラマや映画音楽の録音も多く、最近では『マイボス・マイヒーロー』や『だめんずうぉーかー』『芋たこなんきん』などでピアノを弾いています。『ふたりはプリキュアSplash☆Star』の第2回録音のピアノも美野さんですよ。
 そんな美野さんですが、ピアノ・トリオを結成して、ジャズのライブをずっと続けているのですね。

 美野春樹トリオの演奏を聴くのはこの夜がはじめて。赤いフレームのメガネで登場した美野さん、弾き始めたのは、モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」! ウッドベースとドラムが入り、アクティブなジャズに変わります。かっこいい!
 美野さんて、名前の印象や『魔法使いサリー』の音楽を担当したりしていることから、ロマンティックな音楽を作る人というイメージがあったんです。実際、美野さんが弾くピアノの音色はデリケートで美しい。
 でも、今回ライブを聴いて印象が変わりました。スタイリッシュで華のあるジャズを弾くピアニストです。ハネケンこと羽田健太郎先生もすばらしいピアニストで、ジャズを弾きますが、もっとおおらかな感じがします。もともとがクラシックの人ですから。でも美野さんのピアノは、ぐいぐい迫ってくる感じ。指先が踊っているような流麗なタッチ。絶妙の緩急。くぎづけです。

 後半は二胡奏者のジャー・パンファンをゲストに迎えて3曲。また、スタジオミュージシャンとしての活動を紹介する意味で、映画やテレビドラマの曲を演奏するコーナーがあり、会場では「え、これも美野さんの演奏!?」と驚きの声が上がっていました。

 この日の曲目は次の通り。

1st Stage
・キラキラ星変奏曲(モーツァルト)
・交響曲40番(モーツァルト)
・エリーゼのために(ベートーベン)
・月の光(ドビュッシー)
・ラマダン(美野春樹)
・パパゲーノのアリア(モーツァルト)
・幻想即興曲(ショパン)

2nd Stage
・Cindy's Candy(美野春樹)

 二胡奏者のジャー・パンファンをゲストに迎え

・Stranger in Paradise(Robert Wright and George Forrest)
・月光(美野春樹)
・My Favorite Things(Richard Rodgers)

 ピアノソロで、

・朝の連続テレビ小説メドレー~「おしん」「ちゅらさん」「さくら」「風のハルカ」「芋たこなんきん」~

 ふたたびトリオで、

・「THE 有頂天ホテル」より~If My Friends Could See Me Now! (Cy Coleman)
・いとしのエリー(桑田佳佑)
・Automatic(宇多田ヒカル)

 アンコールは、ふたたびジャー・パンファンを迎えて美野さんのオリジナル「Tango of Asia」。
 拍手が鳴り止まず、最後にもう1曲、米米CLUBの「君がいるだけで」をなんとピアニカ(正しくは鍵盤ハーモニカ)で演奏して終了。美野さんの遊び心に会場も沸きました。

 一番私のツボだったのは、やはり朝の連続テレビ小説メドレーですね。「おしん」の坂田晃一の名曲も、美野さんの名演奏あればこそだったのですねー。

 「有頂天」ホテルには出演もしているそうです。クライマックスでYOUが"If My Friends Could See Me Now!"を歌うときのバックバンドとして。ご覧になる機会があったら、確認してください。

 ピアニスト、アレンジャーとしての活躍が多い美野さんですが、もっとアニメやドラマの音楽を書いてほしいな、と願ってやみません。

宇宙船サジタリウス 歌と音楽の旅
 ファン待望の2枚組音楽集。ブックレットには美野春樹インタビューも掲載。

 : 宇宙船サジタリウス 歌と音楽の旅

THE 有頂天ホテル オリジナルサウンドトラック
 美野春樹トリオをバックにYOUが歌う"If My Friends Could See Me Now!"も収録。音楽は本間勇輔が担当。

 : THE 有頂天ホテル オリジナルサウンドトラック

月光 MOONLIGHT/ジャー・パンファン
 美野春樹、渡辺俊幸の書き下ろしを中心にしたアルバム。ということは2人のファンも聴き逃せない! "Tango of Asia","月光"を収録。

 : 月光 MOONLIGHT

おしん オリジナルサウンドトラック
 ご存知、坂田晃一の名曲。切ないチェンバロのメロディを弾いているのが美野さんです。

 : おしん オリジナルサウンドトラック

Lagoon Relaxing
 美野春樹、西村由紀江、吉俣良らがテレビドラマのテーマを演奏したリラクゼーション・アルバム。美野さんのピアノで「ちゅらさん」が聴けます。

 : Lagoon Relaxing

2006年11月 1日 (水)

ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック

 どの仕事もそれぞれに思いをこめて精力を傾けてやっているつもりですが、満足していると言える仕事というのはなかなかないものです。
 「ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック」は、久しぶりに「いいものが作れたな」と言える仕事でした。
 『ガラスの艦隊』は深夜枠で放送していたGONZO制作のテレビアニメーション。宇宙を舞台にした「ベルサイユのばら」と呼べるような壮大かつ華麗な物語です。
 音楽は山下康介。いまや若手ナンバーワンの呼び声も高い作曲家です。いま、堀北真希主演のドラマ『鉄板少女アカネ』の音楽を担当していますね。本作では「過去最大規模の編成」と本人が語る大編成オーケストラを駆使して、クラシカルでドラマチックな音楽を提供しています。1曲1曲が濃い!そして熱い!

 サントラを構成するにあたっては、ひとつ制約がありました。「歌を含め全32トラック、1トラック5分以内に収めること」。これは最近、BGM集アルバムのJASRACへの使用料申請のしかたが変わったことによる制約です。ユーザにとっては、聴きたい曲にすぐアクセスできる1曲1トラック仕様のほうがいいのですが、今ではそれはなかなか許されないのです。1曲1トラックにすると使用料がかさみすぎて、コスト的に制作できなくなってしまうのですね。

 構成者としてはモチベーションが落ちてしまいそうな、また、実作業においても苦戦を強いられる制約ですが、ここで考え直しました。
 「これは、『組曲・ガラスの艦隊』として作ろう」
と。

 音楽的にも作品の内容的にも、「BGM集」というより「交響組曲」というタイトルで出したほうがぴったりくる商品なんです。だったら、「数曲を1曲にまとめて楽章にし、さらに全体で大きな流れを作ろう」と思いました。
 その結果できたのが、以下の構成です。

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[DISC1]

~プレリュード~
1.星々の伝説 (A3B)
2.オープニングテーマ ツヨクツヨク
 mihimaru GT

~紅蓮の章~
3.戦火の星域 (D1,D2)
4.希望の剣(つるぎ)―ミシェル (E7,A3A)
5.宿命の二人 (E11,D3,C1B)

~暗黒の章~
6.十字星教 (B2,B3A)
7.貴族たち (E2,A12,B10)
8.策略 (E15,E10)

~疾風の章~
9.疾風(かぜ)のクレオ (A1C Atype,A1B)
10.ガラスの戦艦―アイオロス (D6,D7)

~仮面の章~
11.野心 (A6C,E14,A13)
12.ういごの儀式 (B3C)
13.予言 (A14,E13)

~人民軍の章~
14.自由の旗にもとに (A4,A5,D5)
15.仲間たち (D14,E18)
16.決意 (E5,E8,C1A)

~クロージングI~
17.エンディングテーマI ナミダドロップ (TV-size)
 Plastic Tree

[DISC2]

~憧憬の章~
1.ミシェルの愛 (E9 Atype,E3 Atype)
2.友情 (E17,E25,C1C)

~神聖帝国の章~
3.法王ゴルナ (A10)
4.神聖皇帝ヴェッティ (A6AB)
5.劫火 (E27,E6,D4)

~運命の章~
6.銀河の風 (A1A Fl ver.,E22)
7.王家の紋章 (A16,E4)

~黎明の章~
8.惑星オルレアン (B11,E26)
9.伝説の武人 (A15B,D13)
10.大いなる希望 (A15A,D11)
11.迷宮のレイチェル (A11A オケver.)

~蒼天の章~
12.孤独 (E1 Atype)
13.決戦 (D10,D12,D8)
14.新世界 (B12,E16)

~クロージングII~
15.エンディングテーマI 彼方へ (TV-size)
 ANZA
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 数曲を1曲にまとめるときは、音楽的なつながりと流れを重視しました。音楽的につなげるコツはいくつかあって、リズムや楽器編成、モチーフ(メロディ)、曲想などから考えます。構成者は作曲者ではないので曲自体をいじることはありませんが、こんなとき、ちょっと音楽作りの手伝いをしている気分になります。
 構成は山下康介さんにも見ていただき、「この曲はぜひ入れたいんだけど」という意見をもらって、修正したりしました。最終的には、作曲家にも、アニメ制作サイドにも満足していただける内容になったと思います。

 ただし、先に上げた制約(32トラック、1トラック5分以内)と音楽アルバムとしての聴きやすさ、完成度を追求した結果、全楽曲を収録することはできませんでした。

 これは、BGM集の資料的意味を考えると「不完全」と言われてしまうことです。でも、私は「音楽アルバム」としてはこれでよかったと思っています。無理に全楽曲を入れると、どうしても音楽的な流れやアルバム全体のバランスが崩れてしまうのです。今回は、残念ながら、劇中で使用されなかった曲や1回程度の使用に終わってしまった曲ははずしました。
 昨今のサントラ盤は全曲完全収録がうたい文句になりがちですが、音楽アルバムとしては、そういう方向もありだと思うのですね。

 マスタリングにも立会い、音色はもちろん、曲間の秒数にいたるまで1曲ずつ微調整しました。また、ブックレット全体の台割・誌面構成なども私の意見を容れていただきました。クレジットではわからない部分ですが、構成者の仕事の一部として、そこまでやることは多いです。今回は違いますが、私の場合、表紙のラフデザインを作ることもよくあります。「解説だけ」とか「構成だけ」という仕事もありますが、楽曲・ブックレット含めて、商品トータルで1つのアルバムなのですから、イメージや世界観を統一するためには、全部まとめてやらせていただくのが理想的なんですね。
 そういう仕事をしていきたいと思っています。

 「ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック」発売中です(10月25日発売)。

ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック(2枚組)

 ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック

NHKシブヤらいぶ館に、まことさん&彬良さん出演

 10月31日。渋谷のNHKふれあいホールで、「NHKシブヤらいぶ館」の公開録画がありました。
 出演は、宮川彬良さんと平原まことさん。そう。20日の<銀座スウィング>のライブと同じですよ。演奏曲もほぼ同じで、ライブのコンパクト版という趣。
 「マツケンサンバ」で1曲めから盛り上げます。続いて、おなじみのネタ「さっちゃん」「あんたがたどこさ」。宮川泰先生を偲んで、「宇宙戦艦ヤマト」のスローヴァージョン(彬良さんは「深海ヴァージョン」と言ってます)。平原綾香がほれこんでレパートリーにしたという彬良さん作の名曲「アリエスの星」。ラストは平原さん作曲の「Heart」でした。
 公開録画という性質上、時間ぴったりにまとめないといけないので、ほんもののライブの熱狂ほどではありませんでしたが、おふたりのステージをTVで楽しんでもらうにはぴったりのいい内容でした。
 放送は、

  NHK BS2
  11月29日(水)18:00~18:43

 ライブに行きたくても行けないなぁという方、ぜひご覧になってください。

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