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2006年11月 1日 (水)

ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック

 どの仕事もそれぞれに思いをこめて精力を傾けてやっているつもりですが、満足していると言える仕事というのはなかなかないものです。
 「ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック」は、久しぶりに「いいものが作れたな」と言える仕事でした。
 『ガラスの艦隊』は深夜枠で放送していたGONZO制作のテレビアニメーション。宇宙を舞台にした「ベルサイユのばら」と呼べるような壮大かつ華麗な物語です。
 音楽は山下康介。いまや若手ナンバーワンの呼び声も高い作曲家です。いま、堀北真希主演のドラマ『鉄板少女アカネ』の音楽を担当していますね。本作では「過去最大規模の編成」と本人が語る大編成オーケストラを駆使して、クラシカルでドラマチックな音楽を提供しています。1曲1曲が濃い!そして熱い!

 サントラを構成するにあたっては、ひとつ制約がありました。「歌を含め全32トラック、1トラック5分以内に収めること」。これは最近、BGM集アルバムのJASRACへの使用料申請のしかたが変わったことによる制約です。ユーザにとっては、聴きたい曲にすぐアクセスできる1曲1トラック仕様のほうがいいのですが、今ではそれはなかなか許されないのです。1曲1トラックにすると使用料がかさみすぎて、コスト的に制作できなくなってしまうのですね。

 構成者としてはモチベーションが落ちてしまいそうな、また、実作業においても苦戦を強いられる制約ですが、ここで考え直しました。
 「これは、『組曲・ガラスの艦隊』として作ろう」
と。

 音楽的にも作品の内容的にも、「BGM集」というより「交響組曲」というタイトルで出したほうがぴったりくる商品なんです。だったら、「数曲を1曲にまとめて楽章にし、さらに全体で大きな流れを作ろう」と思いました。
 その結果できたのが、以下の構成です。

----------------------------
[DISC1]

~プレリュード~
1.星々の伝説 (A3B)
2.オープニングテーマ ツヨクツヨク
 mihimaru GT

~紅蓮の章~
3.戦火の星域 (D1,D2)
4.希望の剣(つるぎ)―ミシェル (E7,A3A)
5.宿命の二人 (E11,D3,C1B)

~暗黒の章~
6.十字星教 (B2,B3A)
7.貴族たち (E2,A12,B10)
8.策略 (E15,E10)

~疾風の章~
9.疾風(かぜ)のクレオ (A1C Atype,A1B)
10.ガラスの戦艦―アイオロス (D6,D7)

~仮面の章~
11.野心 (A6C,E14,A13)
12.ういごの儀式 (B3C)
13.予言 (A14,E13)

~人民軍の章~
14.自由の旗にもとに (A4,A5,D5)
15.仲間たち (D14,E18)
16.決意 (E5,E8,C1A)

~クロージングI~
17.エンディングテーマI ナミダドロップ (TV-size)
 Plastic Tree

[DISC2]

~憧憬の章~
1.ミシェルの愛 (E9 Atype,E3 Atype)
2.友情 (E17,E25,C1C)

~神聖帝国の章~
3.法王ゴルナ (A10)
4.神聖皇帝ヴェッティ (A6AB)
5.劫火 (E27,E6,D4)

~運命の章~
6.銀河の風 (A1A Fl ver.,E22)
7.王家の紋章 (A16,E4)

~黎明の章~
8.惑星オルレアン (B11,E26)
9.伝説の武人 (A15B,D13)
10.大いなる希望 (A15A,D11)
11.迷宮のレイチェル (A11A オケver.)

~蒼天の章~
12.孤独 (E1 Atype)
13.決戦 (D10,D12,D8)
14.新世界 (B12,E16)

~クロージングII~
15.エンディングテーマI 彼方へ (TV-size)
 ANZA
----------------------------

 数曲を1曲にまとめるときは、音楽的なつながりと流れを重視しました。音楽的につなげるコツはいくつかあって、リズムや楽器編成、モチーフ(メロディ)、曲想などから考えます。構成者は作曲者ではないので曲自体をいじることはありませんが、こんなとき、ちょっと音楽作りの手伝いをしている気分になります。
 構成は山下康介さんにも見ていただき、「この曲はぜひ入れたいんだけど」という意見をもらって、修正したりしました。最終的には、作曲家にも、アニメ制作サイドにも満足していただける内容になったと思います。

 ただし、先に上げた制約(32トラック、1トラック5分以内)と音楽アルバムとしての聴きやすさ、完成度を追求した結果、全楽曲を収録することはできませんでした。

 これは、BGM集の資料的意味を考えると「不完全」と言われてしまうことです。でも、私は「音楽アルバム」としてはこれでよかったと思っています。無理に全楽曲を入れると、どうしても音楽的な流れやアルバム全体のバランスが崩れてしまうのです。今回は、残念ながら、劇中で使用されなかった曲や1回程度の使用に終わってしまった曲ははずしました。
 昨今のサントラ盤は全曲完全収録がうたい文句になりがちですが、音楽アルバムとしては、そういう方向もありだと思うのですね。

 マスタリングにも立会い、音色はもちろん、曲間の秒数にいたるまで1曲ずつ微調整しました。また、ブックレット全体の台割・誌面構成なども私の意見を容れていただきました。クレジットではわからない部分ですが、構成者の仕事の一部として、そこまでやることは多いです。今回は違いますが、私の場合、表紙のラフデザインを作ることもよくあります。「解説だけ」とか「構成だけ」という仕事もありますが、楽曲・ブックレット含めて、商品トータルで1つのアルバムなのですから、イメージや世界観を統一するためには、全部まとめてやらせていただくのが理想的なんですね。
 そういう仕事をしていきたいと思っています。

 「ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック」発売中です(10月25日発売)。

ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック(2枚組)

 ガラスの艦隊 オリジナルサウンドトラック

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コメント

 こんばんは。
 腹巻猫さんや早川優さんたち皆様のお仕事にいつも感謝している者の一人です。
聴き手の心を捉える構成やツボを突いた解説とともにサントラを聴けるのは、至福のひとときです。
ありがとうございます。
「劇伴倶楽部」もブログも楽しく読ませていただいております。

「ユーザにとっては、聴きたい曲にすぐアクセスできる1曲1トラック仕様のほうがいいのですが、~ 使用料がかさみすぎて、コスト的に制作できなくなってしまうのです」
 これは初耳で、まったく知りませんでした。考えてもみませんでした。
他の方々と同様、これまで失礼なこと考えていたな と、反省しています。すいませんでした。
(こういったことをぜひ今後も教えてください。みんな知らないと思います)

『ガラスの艦隊』という作品は私の住む地域では放送されていなくて、その存在自体を初めて知りました。
ですが、腹巻猫さんのブログを読んで、とても聴きたくなりました。

 掲示板も楽しかったのですが、ブログになって詳細かつ読み手を惹きつけてくれる記事を見られるのもうれしいです。
これからもお仕事とともにブログの記事も楽しみにしてますのでよろしくお願いします。

>Fさん
コメントありがとうございます。
JASRAC問題は目下サントラ制作者の間でも大きな話題になってます。なんとか打開策はないものかと、知恵を絞り工夫をこらしているのが現状です。応援してください。

『ガラスの艦隊』はサントラだけ聴いても楽しめると思いますよ。ブックレット(オールカラー!)には物語やキャラクター紹介なども載せていますので、未見の人も内容を想像しながら聴けると思います。

素朴な疑問
使用料って、CD製作側がJASRACに支払う分ですか?
本来権利を持つ作曲者とは異なる人(会社?)がCDを製作するにあたって、委託されているJASRACに使用料を支払う…ということですか?

構成(32曲の5分以内)って、これも正直規定されていること自体が意味不明ですね。

どれほどいい曲を作ってくださっても、それが途中で打ち切りでは、何の意味もありません。

とはいえDVDを買うのほどの熱いファンでもありませんので、CDもこの作品自体もそのまま忘却の彼方へ消えていくのでしょう。
もったいない。

>そふさん
そう、CD製作側がJASRACに支払う使用料です。
「32トラック、1トラック5分以内」の「1トラック5分以内」というのは、「5分以上の曲は2曲に計算する」とJASRACが規程しているためで、32トラックのほうに重みがあります。32トラックという数は、3500円という定価から決まるのだそうです。その計算方法を簡単に説明してもらったことがありますが、難しくて私の頭では理解できませんでした。
ちなみに権利者本人がCDを制作してもJASRACに使用料を払う必要があります。そういうしくみなのです。

>206さん
もったいないですね。とはいえ、音楽と人との出会いも縁ですから、いずれ縁があったときに聴いていただければと思います。

はじめまして。私のブログのネタにさせて頂ました。「JASRAC規定の1曲=1トラック」として計算しましたが、誤解しているかも知れません。

トラック数ですが、JASRACだけでなく、「著作権使用料にどの程度のコストをかけられるか」にもトラック数が左右されていると思いますが、このCDの場合、定価の7%まで著作権使用料にかけることが決まっていたのでしょうか。

>bn2islanderさん
はじめまして。BLOG読ませていただきました。
1曲=1トラックという計算で正解です。
「著作権使用料にどの程度のコストをかけられるか」についてはメーカーサイドの判断でして、私は聞いていないのです。
BLOGに書かれていた協議の件ですが、今回はつっこんではしていません。主に時間的な問題です。
11月15日発売の『黄金戦士ゴールドライタン』の場合は、メーカー担当者の努力でうまく話がついて1曲1トラックが実現したそうです。でも、権利者との話になりますから、いつもそれができるとは限らないのですね。一方で、コスト割れしてもいいから1曲1トラックにこだわる、というケースも稀にあります。

どうも1曲1トラック問題ばかりが注目されて困惑しているのですが、記事の本題は、「いい音楽だから聴いてね」ということなので、よろしくお願いします。
ビジネスである以上、どんな仕事にも制約はあります。なにがなんでも1曲1トラックでなければダメとは思ってないのです。そうだとわかっていれば、それなりの作り方があるし、その制約の中でいいものを作ろうと最善をつくすことが大切、ということなんです。

とはいえ、JASRACの今の規程はサントラ制作者、およびユーザーには優しくないもので、改善していただきたいと思っています。

回答ありがとうございます。

権利者が作るのにも支払わなければならないというのは、なんだか腑に落ちませんねぇ。
やっぱりJASRACは不思議なところです。

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