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2006年12月

2006年12月31日 (日)

2006年劇伴大賞~

 サイトでは恒例の企画ですが、今年印象に残った映像音楽、アルバムをふりかえってみます。

 勝手ながら、私の2006年の劇伴大賞は、

○『吾輩は主婦である』

 に決定~!!

 『タイガー&ドラゴン』につづき、クドカン絶好調のドラマ。主演が斉藤由貴! しかも劇中で歌うシーンあり!とあっては、古くからのファンにはこたえられない作品でした。昼ドラなのにちゃんと主題歌マキシとサントラ盤が発売されたのもうれしかった。

 : アルバム・ジャケット  : アルバム・ジャケット

ほかに印象に残った作品は、

○『のだめカンタービレ』
 いい意味で予想を裏切る快作になりました。

 : アルバム・ジャケット

○『デスノート』
○『デスノート the Last name』
 特撮やアクションものでも一貫して「死の痛み」を描き続ける金子修介監督らしい作品。川井憲次の音楽は題材的にもベストフィットです。

 : アルバム・ジャケット : アルバム・ジャケット

○『時をかける少女』
 吉田潔の音楽に美野春樹のピアノ、奥華子の主題歌「ガーネット」も印象に残る。21世紀アニメ映画の収穫の一つでした。

 : アルバム・ジャケット : アルバム・ジャケット

○『パプリカ』
 筒井原作の毒やひねりはないですが、映像と音楽で押し切った和製アニメの底力を感じさせる作品。音楽は今監督の名コンビといえる平沢進。

 : アルバム・ジャケット

○『シルバー假面』
 いろいろな意味で2006年の最後に記憶に残る作品になりました。曲数は少ないけれど、冬木透の音楽も印象に残る。サントラ熱望します。

○『プラダを着た悪魔』
 洋画がいまひとつふるわなかったんですが、この音楽はよかったなぁ。セオドア・シャピオのヴィヴィッドでイキのいい音楽が、映画をテンポよく牽引している。サントラ盤は歌もの中心でインストは1曲だけですが、6分余りのメドレーが収録されています。

 : アルバム・ジャケット

 TVアニメは自分が仕事でかかわった作品しか観れませんでした。『ガラスの艦隊』『ザ・サード』『ふたりはプリキュアSplash☆Star』など。いずれも音楽がすばらしかった。今年の収穫です。アルバムとして世に出せたことをうれしく思っています。
 自分の仕事でいうなら、『ゲゲゲの鬼太郎 60's&70'sミュージックファイル』も思い出に残る仕事になりました。

 1年間、仕事でお世話になったみなさま、応援してくださったみなさまに感謝いたします。

 では、みなさん、よいお年を!

2006年12月30日 (土)

2006年 追悼抄

 2006年、今年も映画音楽や映像作品にかかわった方がたくさん亡くなりました。

 昨年末の山下毅雄さん(2005年11月25日死去)、有澤孝紀さん(2005年11月26日死去)から、悲しい知らせが続いている印象です。

 2006年の追悼抄です(敬称略。()内は亡くなった日)。

○伊福部昭 (2月8日)
 日本音楽界の重鎮にして、『ゴジラ』『地球防衛軍』など数々の映画音楽を遺しました。特撮映画の音楽に与えた影響は計り知れません。2007年3月4日にサントリーホールで「伊福部昭音楽祭」が開催されます。

: 宙 - 伊福部昭 SF交響ファンタジー : ミレニアムゴジラベスト : 伊福部昭の世界
宙 - 伊福部昭 SF交響ファンタジー ミレニアムゴジラベスト/伊福部昭 東宝特撮映画傑作集 伊福部昭の世界

宮川泰 (3月21日)
 日本ポップス界きってのメロディメーカーであり、名アレンジャーでした。ザ・ピーナッツの作品をはじめとして、数々の名曲を遺しています。あらゆる世代に親しまれた『宇宙戦艦ヤマト』の音楽は不滅です。

: 宮川泰の世界 : ザ・ピーナッツ sings 宮川泰 : アローエンブレム グランプリの鷹
ポップスの巨匠・宮川泰の世界 ザ・ピーナッツ sings 宮川泰 アローエンブレム グランプリの鷹
: ゲバゲバ90分! ミュージックファイル : カリキュラマシーン ミュージック・ファイル : 宇宙戦艦ヤマト CD-BOX
ゲバゲバ90分! ミュージックファイル カリキュラマシーン ミュージックファイル 宇宙戦艦ヤマト CD-BOX

○アイ高野 (4月1日)
 元カーナビーツのヴォーカルで、アニメ・特撮ファンには『ペットントン』『巨獣特捜ジャスピオン』『銀河疾風サスライガー』(MOTCHIN名義)などの主題歌でおなじみ。

: 巨獣特捜ジャスピオン 音楽集 : ザ・カーナビーツ ファースト・アルバム&モア
巨獣特捜ジャスピオン 音楽集 ザ・カーナビーツ ファースト・アルバム&モア

川崎真弘 (5月4日)
 アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(1985年版)『ガイア・ギア』『ご近所ものがたり』や、映画『RAMPO』、TV『グレートジャーニー』『まんてん』などの音楽を担当。

: ゲゲゲの鬼太郎 音楽編 : ガイア・ギア オリジナル・サウンドトラック : まんてん
ゲゲゲの鬼太郎 音楽編 ガイア・ギア オリジナル・サウンドトラック まんてん オリジナル・サウンドトラック

岩城宏之 (6月13日)
 NHK交響楽団、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルなど数々のオーケストラを指揮。大河ドラマのテーマ曲の多くをN響を指揮して録音しました。『樅の木は残った』『勝海舟』『独眼竜政宗』『徳川慶喜』『利家とまつ』……。武満徹作品の指揮も多く、黒沢昭監督の『乱』の音楽(演奏:札幌交響楽団)や実相寺昭雄監督の『波の盆』の音楽(演奏:東京コンサーツ)、NHKドキュメンタリー『未来への遺産』のテーマ曲(演奏:NHK交響楽団)も岩城氏の指揮で録音されています。

○ジェルジ・リゲティ (6月12日)
 ハンガリーの現代音楽家。『2001年宇宙の旅』に作品が使用され注目されました。宇宙と現代音楽の相性は抜群で、その後の宇宙サウンド(?)に多大な影響を与えています。同じキューブリック監督の『シャイニング』にも作品が使用されました。

: リゲティ ピアノのための作品集 : 2001年宇宙の旅
リゲティ ピアノのための作品集 2001年宇宙の旅

○市川昭介 (9月26日)
 都はるみの「アンコ椿は恋の花」「涙の連絡船」「好きになった人」など、歌謡曲の名曲をたくさん遺しました。『ハクション大魔王』『いなかっぺ大将』の主題歌を作曲しています。

: 市川昭介作品集 : いなかっぺ大将ヒットアルバム
市川昭介作品集 いなかっぺ大将ヒットアルバム

○ポール・モーリア (11月3日)
 イージーリスニングの帝王のような人。マジックのBGMとして有名になった「オリーブの首飾り」をはじめ、「恋はみずいろ」「エーゲ海の真珠」など、流麗でロマンチックなポール・モーリア・サウンドで世界中のファンを魅了しました。池田満寿夫監督の映画『窓からローマが見える』の音楽担当。

: ポール・モーリア・グランドオーケストラ ベスト ポール・モーリア・グランドオーケストラ ベスト
※『ゴッドファーザー』『エマニエル夫人』など、映画音楽も収録された2枚組

○ベイジル・ポールドゥリス (11月8日)
 「燃える音楽」を書く作曲家でした。アーノルド・シュワルツネッガー主演の『コナン・ザ・グレート』、その続編『キング・オブ・デストロイヤー』、ポール・ヴァーホーベン監督と組んだ『ロボコッ プ』と『スターシップ・トゥルーパーズ』、ジョン・マクティアナン監督の『レッドオクトーバーを追え!』、スティーブン・セガールの代表作『沈黙 の要塞』などが代表作。

: ロボコップ : スターシップ・トゥルーパーズ : コナン・ザ・グレート
ロボコップ スターシップ・トゥルーパーズ コナン・ザ・グレート

○宮内国郎 (11月27日)
 『ウルトラQ』『ウルトラマン』の作曲家(名前は、ただしくは「國郎」)。ウルトラサウンドのルーツを作った作家でした。⇒追悼特集参照

シャーリー・ウォーカー (11月30日)
 映画音楽の作曲家、指揮者。オーケストレーター(曲のスケッチをオーケストラ用スコアにする役目)としても活躍し、ダニー・エルフマンの『バットマン』『シザーハンズ』などのオーケストレーション・指揮を担当しました。初期エルフマン・サウンドの陰の立役者です。作曲家として、アニメ『バットマン フューチャー/原題:"Batman Beyond"』、ジョン・カーペンター監督の映画『エスケープ・フロム・L.A.』『透明人間』などの作品を手がけました。

: Batman Beyond : Batman: Mask of the Phantasm : Memoirs of an Invisible Man
バットマン フューチャー バットマン マスク・オブ・ファンタズム 透明人間

 ほかに、声優の戸谷公次さん(2月6日)、演出家の久世光彦さん(3月2日)、女優の曽我町子さん(5月7日)、俳優・声優の宮部昭夫さん(6月17日)、声優の鈴置洋孝さん(8月6日)、声優の曽我部和恭さん(9月17日)、俳優の丹波哲郎さん(9月24日)、声優の武藤礼子さん(10月29日)、漫画家の石川賢さん(11月15日)、映画監督の実相寺昭雄さん(11月29日)、女優の岸田今日子さん(12月17日)、アニメーション作家のジョセフ・バーベラさん(ハンナ&バーベラ・プロダクションのバーベラ)(12月18日)、作家・俳優・元東京都知事の青島幸男さん(12月20日)らが亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。

2006年12月29日 (金)

2006年秋のドラマ

 終わっちゃいましたねー、『のだめカンタービレ』。原作のファンでしたが、正直、こんなに面白くなるとは思っていませんでした。が、観始めたら、キャストはハマってるし、音楽はゴージャスだし、ギャグも浮いてないし、原作の面白さをみごとに映像化したことに驚きました。なにより、演奏シーンをちゃんとそれらしく映像にしたところがすばらしい。最終回のサントリーホールでの撮影はびっくりでした。日本のドラマも、こんな思いきったことができるようになったんだなぁと。
 音楽は服部隆之氏。これもぴったりの人選だったんじゃないでしょうか。渡辺俊幸や千住明だとシリアスすぎるし、山下康介は『鉄板少女アカネ!!』をやってるし。クラシックの造詣が深く、オーケストラが書けて、ちょっとユーモラスな音楽も得意、となると、「服部隆之、なるほど!」なのです。
 音楽アルバムが複数発売されています。
 「オリジナル・サウンドトラック」には、服部隆之の手になるスコアを収録。劇中では、クラシック曲のほうが印象が強いので、ちょっと分が悪いですね。イメージアルバムとして聴いたほうがしっくりくるかも。
 劇中よく流れているクラシック曲は「のだめオーケストラ LIVE!」に収録されています。こちらには、ドラマのために集められたスペシャルメンバーによる、実際に劇中使われた演奏が収録されています。むしろこちらがサントラ盤と言ってもよいでしょう。タイトル曲となった「ベートーヴェン:交響曲第7番」や、エンディング曲「ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー」、ほかにも「モーツァルト:オーボエ協奏曲」や「モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ」「ブラームス:交響曲第1番」など、劇中印象深い曲がちゃんと収録されていて、ファンも納得の内容。

のだめカンタービレ オリジナル・サウンドトラック

 : アルバムジャケット

のだめオーケストラ LIVE!

 : アルバムジャケット

のだめカンタービレ ベスト100
 サントラではなく、劇中取り上げられた曲を著名な演奏&全長版で収録したクラシックアルバム。なんと8枚組。4800円はお買い得かも。

 : アルバムジャケット

 その『鉄板少女アカネ!!』。堀北真希主演というだけで、私としては期待度大でした。毎回違う土地へ行って料理バトルするという、股旅もの的展開。まとまりには欠ける印象でしがた、勢いのある快作でした。ライバルの片瀬那奈さんも好きなんですよ。はっちゃけた堀北真希ちゃんも新鮮でしたが、片瀬那奈のキレてるお嬢・西豪寺エレナ役にはおどろき。片瀬那奈さんのイメージって、『デスノート the Last name』の高田清美みたいな感じじゃないですか。さっそうとした美女。それが西豪寺エレナになってしまうのだから。
 山下康介氏の音楽は、「さすが」のひと言。番組に先立って、音楽の話はうかがってました。「和楽器をエッセンスとして取り入れた」「心情曲にはどことなく昭和の香り」「料理バトルは鉄板焼きの具のように盛りだくさんな感じで」。あいかわらずのみごとなオーケストレーションと哀愁あるメロディラインで物語を支えていました。ひとつまちがえるとお笑いにしかならないぶっとんだ話ですから、しっかり心情を支える音楽、バトルを絵空事にせず盛り上げる音楽が絶対に必要だったんです。サントラで聴くと、そのアレンジのうまさにあらためて感心します。大編成ではありませんが、サウンドの立体感、音色の豊かさ、ドラマティックな構成に脱帽です。映画音楽の鳴らし方がわかってる! 美野春樹さんのピアノがいいですね。ピアノソロの曲も何曲か作られています。
 聴きどころは、Track3.「祭り」、Track7.「熱風」、Track9.「味対決」、Track!6.「野望」あたり。燃える曲が前半に集中しているので、もうちょっと違う構成がよかったかな。でも、満足の内容です。

鉄板少女アカネ!! オリジナル・サウンドトラック

 : アルバムジャケット

 『セーラー服と機関銃』の復活も注目でした。主人公・星泉は、薬師丸ひろ子(映画)、原田知世(TVドラマ版)と、角川映画の女優が演じてきた由緒あるヒロイン。長澤まさみがどう演じるか注目していたんです。メガネで登場したのには、ちょっとグッときました。長澤まさみの星泉は優等生な感じですね。でも、実はちゃんと全話観れなかったんですよ。全7話なんで、あっという間に終わってしまって。あとでビデオでフォローしたいと思います。
 音楽は、ポップス系の作・編曲家として活躍している河野伸氏。ドラマの音楽はまだ少ないですが、『世界の中心で、愛を叫ぶ』(ドラマ版)、『危険なアネキ』『白夜行』『医龍』など、シリアスな作品からコミカルなものまで手がけています。打ち込み+小人数の生楽器という編成。オーソドックスな作りで、落ち着いた印象。極道系の音楽はファンキーな感じに作られています。悲劇的な「Good-By Friend」が印象的。主題歌は、角川映画版で作られた「セーラー服と機関銃」が長澤まさみ(星泉名義)の歌唱でカヴァーされました。

セーラー服と機関銃 オリジナル・サウンドトラック

 : アルバムジャケット

セーラー服と機関銃 (星泉)[MAXI]

 : アルバムジャケット

 合わせて、薬師丸ひろ子のオリジナル版もマキシで復活です。やっぱり名曲だなぁ。

セーラー服と機関銃 (薬師丸ひろ子)[MAXI]

 : アルバムジャケット

 復活といえば、『ライオン丸G』もそうでした。70年代の時代劇特撮ヒーローものを現代の新宿歌舞伎町に舞台を絞ってリメイクした作品です。周囲では面白いという声も多かったし、ここまでやればオリジナルと比較する気にもならないし、うまくいったとも思いますが、「ライオン丸」でなくてもよかったのでは?という気もします。最後はゴースン(豪山)に巨大化して戦ってほしかったなぁ。
 串田アキラが主題歌を歌っています。曲はヒデ夕樹が歌ったオリジナル版(作曲:小林亜星、編曲:筒井広志)を大胆にリアレンジしたもの。串田アキラの声がヒデ夕樹の歌唱をほうふつさせるのに驚きました。これはなかなか名カヴァーですよ。オリジナルアレンジでも歌ってほしいですね。C/Wは、子門真人が歌った名曲「ライオン丸のバラード・ロック」(作・編曲:筒井広志)のカヴァー。こちらはアコースティックなアレンジで、ソウルっぽいバラード・ロックになってます。

風よ光よ/ライオン丸のバラード・ロック (串田アキラ)[MAXI]

 : アルバムジャケット


2006年12月28日 (木)

ふたりはプリキュアSplash☆Star チクタク危機一髪!

 劇場公開中のアニメーション映画『ふたりはプリキュア Splash☆Star チクタク危機一髪!』、ご覧になったでしょうか?
 今回は『デジモンセイバーズ The Movie』と同時上映となり、昨年の劇場版より上映時間が短くなっています。でも、その分、物語はぎゅっと圧縮されていて、感動は例年と変わらないのでご安心を。音楽も、いまや超売れっ子の佐藤直紀さんが新曲を書き下ろしています。

 TVシリーズに続いて、サントラ盤の構成・ライナーノート執筆をやらせていただきました。映画の制作スケジュールはほんとうにタイトで、音楽録音もぎりぎり。その音楽を公開中にサントラ盤として発売しなければいけないので、CD制作も厳しいスケジュールでの仕事になります。ほんとうは12月9日の公開と同時に発売したいのですが、どうがんばっても、12月22日のリリースが限界でした。
 すでに映画をご覧になった人は、いまからでもサントラを入手して、感動をふり返ってくださいね。

 今回の映画のために録音された曲は17曲。アクションシーンや映画だけの新必殺技のシーンのために、新たなメロディが書かれています。サントラ盤には、劇中使用曲を使用順に収録しました。TVシリーズのストックから使われた曲も収録しています。TVシリーズ第2回録音の音楽(S-100番台)はこれが初商品化になります。

 ここまでは例年の劇場版サントラと同じなんですが、今回はちょっと違いがあります。映画の尺が短くなったため、使用曲を全部収録しても30分程度にしかならなかったんですね。「30分で3000円の値段はちょっと…」ということで思案して、ボーナストラックを加えることにしました。
 『ふたりはプリキュア』の最初のシリーズで作られたBGMに、まだCD化されていない曲が残っていたのです。全部で18曲ありました。これをオマケにつけよう。発売日が12月22日だから、ファンへのクリスマスプレゼントになるよ! というアイデアをディレクターさんと相談し、めでたく収録が実現しました。
 奇しくも、「プリキュア」シリーズの最初の音楽と最新の音楽が同時に収録されるアルバムとなりました。記念すべき1stシリーズをふり返るもよし、音の進化を聴き比べてみるのもよし、ファンには2度おいしいアルバムになったと思います。

映画 ふたりはプリキュアSplashStar チクタク危機一髪! オリジナル・サウンドトラック

 : アルバムジャケット


<収録曲リスト>

1.まかせて★Splash☆Star★ (映画version)
2.急げ!急げ!~なぞの男 (M-2)
3.サーロイン――たくらみ (M-4)
4.アワーズ&ミニッツ登場~時計の郷へ (M-8)
5.サーロイン――ダークフォールの使者 (M-9)
6.プリキュア変身! (M-10(S-4))
7.プリキュア対サーロイン (M-11前半(S-50a))
8.苦戦 (M-11後半(S-57))
9.プリキュア倒れる (M-12)
10.さまようプリキュア (M-13)
11.ウザイナー出現! (M-14(S-21))
12.解けた変身 (M-15)
13.すれ違う想い (M-16(S-111b))
14.咲、信じる心 (M-17)
15.舞、想い出 (M-18)
16.本当のパートナー (M-19)
17.もう迷わない (M-20)
18.会いたい気持ち (M-21)
19.希望のとびら (M-22)
20.サーロインの脅威 (M-23(S-110a))
21.二人になれば (M-24)
22.風よ!光よ! (M-25)
23.巨大サーロイン現る!~絶対にあきらめない (M-26)
24.プリキュア・スパイラルスター・スプラッシュ! (M-27(S-103))
25.時をこの手に (M-28)
26.ガンバランス De ダンス ~咲&舞version~ (SHORT SIZE EDIT)

~Special Bonus Tracks~
『ふたりはプリキュア』未収録BGMコレクション
27.予告用音楽 (M-10)
28.悲しみは空の彼方 (M-12)
29.静かな夜に (M-36)
30.未来を信じて (M-43)
31.プリズムホーピッシュ (M-5)
32.心細いナ (M-85)
33.お色気!? (M-86)
34.大感動! (M-87)
35.ぬき足さし足 (M-56)
36.不気味な場所 (M-38)
37.うずまく暗い想い (M-57)
38.ドキドキ、どーしよう!? (M-116)
39.はじまりの混沌 (M-109)
40.重いさだめ (M-112)
41.迫りくる恐怖 (M-62)
42.怒りの襲撃 (M-51)
43.涙のあとで (M-49)
44.やさしい光に包まれて (M-8)

音楽:佐藤直紀

機動戦士ガンダム CD-BOX

 アニメのサントラLPを紙ジャケで復刻――。このアイデア自体は『宇宙戦艦ヤマト』ですでに試みられたことですが、12月21日にキングレコードから発売された『機動戦士ガンダム CD-BOX』には、単に「LPを紙ジャケCDで復刻した」だけにとどまらない、さまざまなアイデアが盛り込まれています。

 CD自体も、初期アルバムのダブルジャケットの復刻など、なかなかみごとです。こうなると、紙ジャケCDというよりも、「アナログ盤のミニチュア・フィギュア」という雰囲気ではないでしょうか。

Gundamu_box1 Gundamu_box2

 BOXはLPサイズ。同じ大きさで、ブックレットが2種入ってます。1冊は解説書。1冊は画集です。LP時代の一つの売りが、安彦良和氏らが描いたジャケットイラストでした。CDで復刻すると、肝心の絵が小さくなってしまうのが難点でした。それを補うのが、画集です。ほぼオリジナルLPサイズで、ジャケットイラストや特典ポスターの絵が収録されています。「ガンダム画集」としても、見ごたえのある内容です。解説は氷川竜介氏が編集・執筆した労作。私と不破了三氏がお手伝いで参加しています。各アルバムのオリジナル解説に加え、氷川氏が当時のアルバム作りの想い出を語るメイキング、コラムなどが収録された、まさに「HISTORY OF GUNDAM MUSIC」と呼ぶにふさわしい内容になっています。また、当時のエンジニアさんたちを集めての座談会がなかなか貴重です。音楽アルバムがどのように作られていたのか、技術的な話をまじえて語られる製作裏話は、はじめて公開される話満載の興味深い内容です。
 また、このCD-BOXにはCD-ROMがついています。これは、各アルバムのジャケットやライナー、特典ポスターなどの画像をデータとして収録したものです。精巧に復刻しても、どうしてもCDサイズではジャケットやライナーの細部が見づらい。そこで、パソコンでご自由に拡大して閲覧ください、ということなのです。パソコンのドライブにセットするとビューワーが立ち上がって、各アルバムのジャケットが並んだメニューから閲覧できるようになっています。

 肝心のCDの音にも触れておきましょう。今回、全タイトル、デジタルリマスタリングがほどこされています。マスタリングエンジニアは、オリジナルLPでもマスタリングを手がけたエンジニアさん。どんな音でよみがえっているのか、ぜひお確かめください。

機動戦士ガンダム CD-BOX
 

 ※収録内容はこちらを参照ください。

2006年12月27日 (水)

ゲゲゲの鬼太郎ミュージックファイル その2

 『ゲゲゲの鬼太郎 60's & 70's ミュージックファイル』では、2枚のDISCの楽曲構成をどうするかが問題でした。お話をいただいたときは、「2枚組で全BGMと歌を収録する」という内容だけで、どんなコンセプトにするか決まっていなかったのです。
 企画の高島幹雄氏とも話し合いました。当初の高島氏の構想はまったく異なるコンセプトによるもので、「うーん、それではファンが納得しないのでは……?」と疑問を呈したことを覚えています。最終的に商品になったコンセプト=1968版のイメージで1枚、1971版のイメージで1枚にまとめる、というアイデアは比較的初期に私から提案したものです。
 とはいえ、けっこうスケジュール的に厳しく、短期間に2つのシリーズをチェックして、それぞれの雰囲気に曲を構成できるか?という心配もあったのですね。が、私はできると思ってました。ほかの作品ならともかく、『鬼太郎』ですから。慣れ親しんだ世界ですから。実作業に入る前に、すでにどんな雰囲気の構成になるのか、イメージはできていました。

 『ゲゲゲの鬼太郎』の初期2つのシリーズ(1968年版と1971年版)の音楽は、1968年版で録音されたものがすべてです。1971年のカラー版では新録音はなく、モノクロ版と同じ音楽を使っています。しかし、作風はモノクロ版とカラー版で大きく異なり、音楽演出にも違いがありました。具体的には、怪異の曲やエンディング曲など、よく使われる曲が違うのです。その点をふまえて、構成していきました。ブリッジ曲が多い点は少し苦労しましたが、限られた時間の中では、満足のいく構成ができたと思っています。
 また、今回は1曲1トラックの収録が実現したんですが、こういう形になるまでに紆余曲折がありました。一時は、数曲をまとめて1曲、という形になりかけていたのです。高島氏とポニーキャニオンの担当ディレクターさんが奔走してくれたおかげです。感謝いたします。買われた方は、ぜひキャニオン宛てに激励の手紙を送ってあげてください。

 DISC1のモノクロ版イメージサントラは、「これぞ『ゲゲゲの鬼太郎』の世界」というイメージです。幻想怪奇ものの雰囲気とユーモラスな妖怪ものの雰囲気を大切にしました。モノクロ版には民話の世界を思わせる素朴な曲が似合います。「地獄流し」「大海獣」などは原作もお気に入りで、ぜひエピソードでまとめたブロックにしたいと思っていました。LP版のBGM集では「妖怪大戦争」をタイトルにしたトラックがあったのですが、今回は作りませんでした。理由は…私があまり好きじゃないから。あのエピソードは『鬼太郎』らしくないと思うのです。
 DISC1の聴きどころは、冒頭の「妖気」「妖怪出現」、そして、「地獄流し」「大海獣」、「さら小僧」の「ぺったらぺたらこ」、「鬼太郎大活劇」、民話的雰囲気の「冬の夜がたり」あたり。解説にも描きましたが「笠地蔵」のブロックをほんとは作りたかったんですが、未発見曲が多く、涙を呑みました。

 DISC2のカラー版イメージサントラは「水木しげる幻想怪奇の世界」というイメージです。鬼太郎対妖怪のアクション曲「妖怪大決戦」を早々と中盤に持ってきて、後半は幻想と風刺の世界にしました。どちらかというと、大人っぽい雰囲気の曲が似合うのです。「幸福の甘き香り」「死神のささやき」といったタイトルは、アニメ版ではなく水木しげるのほかの幻想短編や作品集のタイトルから採りました。ちょっとしたお遊びです。
 DISC2の聴きどころは、「マンモスフラワー」「死神のささやき」「原始さん」あたり。やはり、『鬼太郎』原作でないエピソードが印象的です。後期アクション曲の「妖怪軍団襲来」「妖怪大決戦」も『鬼太郎』になくてはならない音楽。苦いラストを意識した「鬼太郎はどこへ」「ゲゲゲの歌が聞こえる」も気に入ってます。カラー版はこういう終わり方しかない、と思ったのです。

 歌については、TVサイズの挿入歌を収録する案もあったのですが、諸般の事情により見送りました。ボーナストラックにした「別SEオープニング」はなかなか面白い試みと思ったんですが、どうでしょう?

 最後にジャケットについて。モノクロ版のオープニングで、鬼太郎がタクトを振っているカットは私が選びました。ジャケがモノクロというのは淋しいですが、今回はモノクロ版重視の内容ですから、これがベストだったと思ってます。周囲のコラージュの写真も私が選んだんですが、使える素材があまり豊富でなく、ちょっと地味になってしまいました。左上の土ころびに襲われる猫娘のカットは、なんか色っぽかったので入れてみました。猫娘ファンにアピールするかなと思って…(笑)。
 ちなみに、ジャケットのタイトルロゴはモノクロ版のもの。カラー版のタイトルロゴはブックレットの裏表紙に使われています。その辺りのこだわりもお楽しみください。

 : アルバムジャケット


<収録内容>
[DISC-1]
●ゲゲゲの鬼太郎1968イメージBGM集

■オープニング・テーマ TVサイズ
01. ゲゲゲの鬼太郎[TVサイズSEなし]歌:熊倉一雄

■妖気
02. Q-2(夜のムード無気味に)
03. P-1(サブタイトル)

■妖怪出現
04. O-8(妖怪の出現・突如)
05. H-1(恐怖)
06. H-3(緊迫感)

■鬼太郎のテーマ
07. O-3(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)
08. A-4(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)
09. A-2T1(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)

■目玉おやじのテーマ
10. B-6(父親のテーマ・コミック)
11. B-7(父親のテーマ)

■鏡の中の少女
12. B-1(少女のセンチなテーマ)
13. B-2(少女のテーマ・可愛らしく)

■地獄流し
14. O-24(無気味なブリッジ)
15. Q-3(ショッキング・恐怖)
16. Q-4(地獄)

■幻想への招待
17. O-1T2(幻想への導入)
18. O-11(アイリスアウト)
19. O-12(アイリスイン)
20. O-17(ワイプが開くブリッジ)
21. O-18(妖気のブリッジ)
22. O-25(不安なブリッジ)
23. O-2(幻想からの帰り)

■大海獣
24. K-2(ダイナミック)
25. O-16T3(ワイプのブリッジ)
26. K-4(大怪獣の音楽)
27. H-8T2(苦しみ)
28. K-6(勝利のマーチ)
29. L-3T2(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)

■ねずみ男のテーマ
30. B-3(ねずみ男のテーマ・ゆっくり)
31. B-4T2(ねずみ男のテーマ・コミック)

■ゲゲゲの森の妖怪たち
32. O-4(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジのブリッジ)
33. B-8(父親=めだま親父のテーマ)
34. O-13(期待のブリッジ)
35. O-21(のんびりしたブリッジ)
36. O-26(場面転換的ブリッジ)
37. O-27(場面転換的ブリッジ)
38. O-29(情景的ブリッジ)
39. O-31(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジのブリッジ)
40. L-4(エンディングBGM)

■よろこびの通り道
41. H-7(喜びのデュエット)
42. K-8(マーチ)
43. L-8(エンディングBGM)

■妖怪ポスト
44. Q-6(無気味な森林)
45. H-2(明るさから暗さへ)
46. O-19(妖怪出現・ゆっくりと)
47. A-6(「カランコロンのうた」アレンジBGM)

■さら小僧
48. O-9T2(ショック)
49. C-3(コミカル)
50. K-12(「ぺったらぺたらこ」インストゥルメンタル)

■わらしたち
51. O-22(ユーモラスなブリッジ)
52. C-2(軽快な遊び)
53. K-11(のどかな情景)

■雪ん子
54. H-9(悲しみから喜びへ)
55. L-7(エンディングBGM)

■妖怪ラリー
56. P-2(サブタイトル)
57. O-15(陽気なブリッジ)
58. O-23(勇ましいブリッジ)
59. B-5(ねずみ男のテーマ)
60. G-6(軽快な走り)

■悲運の涙
61. H-6(哀しいBG)
62. A-9(「カランコロンのうた」アレンジBGM)

■異界からの使者
63. G-3T2(妖術の音楽)
64. H-5(不安)

■リモコン下駄の追跡
65. A-5T2(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)
66. A-7(「カランコロンのうた」アレンジBGM)

■鬼太郎大活劇
67. G-1(立ちまわり、危機)
68. G-2(立ちまわり)

■冬の夜がたり
69. Q-1(夕景の音楽)
70. C-1(古典的な童謡)

■夜明け~エンディング
71. O-6T2(夜から朝へのブリッジ)
72. L-2(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)

■エンディング・テーマTVサイズ編集版
73. カランコロンのうた[TVサイズ・エンディング使用編集版]歌:加藤みどり、みすず児童合唱団


[DISC-2]
●ゲゲゲの鬼太郎1971イメージBGM集+ソング・コレクション

★『ゲゲゲの鬼太郎』1971イメージBGM集
■第2シリーズ・オープニング・テーマTVサイズSEミックス
01. ゲゲゲの鬼太郎[第2シリーズTVサイズSEミックス]歌:熊倉一雄

■妖怪復活
02. P-4(前兆)
03. Q-13(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)
04. G-5(活劇・危機)

■鬼太郎は行く
05. P-3(サブタイトル)
06. A-2T2(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)
07. A-8(「カランコロンのうた」アレンジBGM)

■ねずみ男の妖怪商売
08. Pー5(コミカルなブリッジ)
09. F-1(コミカルな走り)
10. G-4(コミカルな立ちまわり)
11. O-28(コミカルなブリッジ)
12. O-30(コミカルなブリッジ)
13. O-32(コミカルなブリッジ)
14. O-33(コミカルな走りのブリッジ)
15. O-34(コミカルなブリッジ)
16. O-35(コミカルな走りのブリッジ)
17. O-36(コミカルなブリッジ)
18. O-37(コミカルな走りのブリッジ)
19. L-6(コミカルなエンディング)

■猫娘のテーマ
20. Q-10(猫娘がいる風景)
21. F-2(猫娘の走り)

■マンモスフラワー
22. H-4(怒り)
23. Q-5(朝の音楽)
24. Lー9(エンディング)

■南からの招き
25. O-7T2(ショッキングブリッジ)
26. O-14(不満のブリッジ)
27. O-10(襲撃のブリッジ)
28. L-5(出現・危機のブリッジ)
29. K-9(異世界の旋律)
30. O-20(怪奇のブリッジ)

■あやかしの風
31. Q-12(不思議の町)
32. K-10(夢幻境)

■妖怪軍団襲来
33. G-7(妖怪襲来)
34. G-9(攻撃)

■妖怪大決戦
35. G-8(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)

■幸福の甘き香り
36. Q-7(夜景)
37. K-1(スローなムード)

■死神のささやき
38. Q-11(死神のスウィング)
39. K-7(忍びこみの音楽)

■原始さん
40. Pー6(ファンファーレ)
41. Q-8(海、山の情景)
42. K-3(楽しい会話のBG)
43. Q-9(平和)

■鬼太郎はどこへ
44. O-5(鬼太郎の登場・ショッキング)
45. A-3(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)

■ゲゲゲの歌が聞こえる
46. K-5(感動)
47. A-1(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)
48. L-1(「ゲゲゲの鬼太郎」アレンジBGM)

■エンディング・テーマ TVサイズ未編集版
49. カランコロンのうた[TVサイズ]歌:加藤みどり、みすず児童合唱団

★ソング・コレクション
50. ゲゲゲの鬼太郎[キングレコード発売版]歌:熊倉一雄
51. カランコロンのうた[朝日ソノラマ発売版]歌:加藤みどり、みすず児童合唱団
52. 鬼太郎ないない音頭[朝日ソノラマ発売版]歌:熊倉一雄、みすず児童合唱団
53. 鬼太郎メキシコオリンピック・マーチ[朝日ソノラマ発売版]歌:熊倉一雄
54. 鬼太郎妖怪クリスマス[朝日ソノラマ発売版]歌:加藤みどり、ハニーナイツ

★ボーナス・トラック
55.ゲゲゲの鬼太郎[TVサイズ 別SEミックス]歌:熊倉一雄

ゲゲゲの鬼太郎ミュージックファイル その1

 12月6日、構成と解説を担当した『ゲゲゲの鬼太郎 60's & 70'sミュージックファイル』が発売されました。同日発売の『ゲゲゲの鬼太郎 1968 DVD-BOX』『ゲゲゲの鬼太郎 1971 DVD-BOX』のブックレットにも寄稿しています。

ゲゲゲの鬼太郎 60's & 70's ミュージックファイル

 : アルバムジャケット

 光栄な仕事でした。正直、感無量です。
 というのは、あまり人前でしゃべったり、文章にしたりしたことはないんですが、水木しげる作品のファンなのですね。いや、ファンと意識したのは実はこの仕事をもらってからで、気がつけば、空気のように自然に、身近に水木作品があったのですよ。

 出会いは1960年代に週間少年マガジンに掲載された『墓場の鬼太郎』です。私はリアルタイムに読んでいます。『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の連載と同時期だったので、印象に残っているのです。
 それからほどなく、鬼太郎ものではない幻想短編に出会い、夢中になりました。たぶん再認識したのは、文庫版の幻想短編集『丸い輪の世界』。以後、朝日ソノラマのサンコミックスやサンワイドを集め、講談社の幻想短編集、中央公論の愛蔵版など、出るたびに買ってました。80年代から90年代に中野書店や青林堂が発売したマニア向け復刻本などにも手を出しました。もちろん、妖怪画集も集めてます。

 気がついたら、「うちにあるマンガ書籍では水木しげるの本が一番多いんじゃないか?」という状態になっていたのですね。そのことに気がついたのが、つい最近。このCDとDVDの仕事をもらってからです。「水木マンガが好き」とか「鬼太郎の仕事がしたい」とか口にしたことはないのに、仕事のほうから見つけて寄ってきてくれた感じです。

   
※わが家の水木しげる本と鬼太郎本の一部。鮮明でないのはパラフィン紙がかかっているから。同じタイトルの作品が何種類もあるよ…(-_-;

   
※妖怪画集と復刻本。 箱入りの画集はお気に入り。貸本時代の作品の多くは、いまではぐっと安価に読めるようになりました。

 余談ですが、講談社から最初に発売された『ゲゲゲの鬼太郎』と後年刊行された『鬼太郎』とでは、同じ作品でも絵づらが大きく異なっています。原稿には全ページにわたってアミ指定(印刷でスクリーントーンのような効果を出す指定)がされており、初刊行時は、ねずみ男の衣装などはグレーぽく印刷されています。後年の印刷ではこのアミが全部落ちてしまって、全体に白っぽい絵になってしまっているのですね。これは1996年に発売された「KCコミックス完全復刻版」も同様で、ファンには残念なことです。本当はもっと暗い絵づらの作品だったのです。

 本はけっこう持ってますが、水木マニアではないと思っています。水木しげるマニアというのは、ほんとうにすごい人がいっぱいいて、とても私など足元にも及ばない…。
 それから、こうやって振り返ってもわかるように、「鬼太郎ファン」というわけではないのですね。あくまで水木しげる幻想作品のファン。『鬼太郎』がいいのは『少年マガジン』までです。長編では『河童の三平』が好きです。

河童の三平 (筑摩文庫)

貸本版 河童の三平 (上)
貸本版 河童の三平 (下)

 

 とはいえ、今回の『ゲゲゲの鬼太郎』の仕事をいただいたときは、素直にうれしかったです。「自分のための仕事だ!」と思いました。『鬼太郎』の原作はもちろん、1971シリーズのエピソードに使用された『鬼太郎』以外の幻想短編も、全部読んでましたから。
 原作と対比しながら本編をチェックしていきました。モノクロ版の面白さ、魅力を再認識し、カラー版の毒にくらくらしたりしながら鬼太郎三昧の時間をすごしました。仕事であることを忘れてしまいそうでしたね。
 アニメ版の鬼太郎は、原作とは趣が違います。原作もしだいにキャラクターが変わっています。初期のダークなキャラクターから、正義の味方へと。アニメ版は「子ども」の面が強調されています。解説書に「鬼太郎は永遠の子ども」という意味の文を書きましたが、あれはモノクロ版鬼太郎の印象なのです。

 長くなってしまったので、次回に続きます。

2006年12月26日 (火)

加藤訓子コンサート in 白寿ホール

 12月26日。
 白寿ホールで開催された、パーカッショニスト・加藤訓子さんのコンサートを聴きました。
 いや、聴いたというよりも、観た、体験したというべきかもしれない。演奏と呼ぶより、パフォーマンスと呼んだほうがいいステージでした。

 そもそも加藤訓子さんに注目したのは、5月にオペラシティで開催された武満徹メモリアル・コンサートを聴いたときです。加藤さんは武満の打楽器コンチェルト「カシオペア」を演奏。その演奏ぶりが実に演劇的でかっこよかったのですね。
 で、この日コンサートがあるというのでさっそく聴きにいったわけです。

 3日連続公演の初日。
 演目は次の4曲。26日と28日が同じ演目で、27日は一部異なります。

・ヤニス・クセナキス「ルボン [a.b]」
・J.S.バッハ/権代敦彦編「いと尊きイエスよ、我らここに集いて」
・ジェームズ・ウッド「ロゴサンティ」
・ハヴィエル・アルバレズ「テマスカル」

 打楽器というのは、管楽器や弦楽器などと比べると、肉体的な楽器です。叩く、打つ、ぶつける。加藤訓子さんは、それを全身で表現する。演奏するというよりも、ステージ全体、ホール全体を鳴らすようなプレイなのです。しかも、演奏しながら、表情や手足もなにかを表現している。それが、演劇的たるゆえんです。
 今回のコンサートは舞台演出家の宮城聰氏が演出を手がけています。宮城氏も、加藤さんの演劇性に着目したに違いないと思うのですね。コンサートというより、芝居のようでした。
 開演前、ステージいっぱいの打楽器の陰にすでに加藤さんがスタンバイしています。腰を下ろしてストレッチをしている。おもむろに起き上がって、ドラやマリンバを指で叩いて響きを確かめたりする。ウォーミングアップか?と思っていると、いつのまにか演奏が始まっているのですよ。
 そして、曲が終わりに近づくと、舞台に2人の男性(役者)が登場して、不要になった打楽器をステージから運び出します。演奏しているあいだに、少しずつ楽器が減っていく。加藤訓子は、最後に残ったグランカッサ(大太鼓)を別の打楽器群のほうへ運んで、次の演奏を始める。
 こんなふうに、曲と曲とが途切れることなく、パフォーマンスでつながって演奏されていくのです。最後は、やはり楽器が一つずつ運びさられ、何も叩くものがなくなり、自分の身体を叩いて演奏を続け、手を一つ叩いて終わり。暗転。
 これが3曲目まで。最後の「テマスカル」という曲は、録音された電子音楽と2本のマラカスとの競演。再生される電子音源とマラカスがからみ合う現代音楽です。このときも、加藤訓子はマラカスを振りながら客席を通って登場するという、演劇的なパフォーマンスを披露していました。

 登場した打楽器は、マリンバ、ドラ、グランカッサ、グロッケンシュピール、ボンゴ、コンガ、トムトム、スチールパン、日本の平太鼓、うちわ太鼓、などなど。パーカッション好きにはたまりません。1月27日には<ミューザ川崎シンフォニーホール>でもコンサートがあります。これはスポンサーつきで、S席2000円という格安料金なので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください。

 ☆加藤訓子 Official Site

2006年12月25日 (月)

『シルバー假面』初日

 12月23日、渋谷ユーロスペースへ『シルバー假面』を観に行きました。この日が初日です。
 ご存知のとおり、この作品が実相寺昭雄監督の遺作になりました。ストーリーのラフを、今年2月24日に亡くなった脚本家・佐々木守さんが書かれていたそうです。佐々木氏にとっても遺作になりました。

 本来はDVD用に企画・制作された作品です。前評判が高いこともあり、ユーロスペースでのレイトショー公開(21:00~23:10)が実現したものです。会場は満席で、立ち見(通路座り見)が出る盛況。この日はキャスト・スタッフの舞台あいさつがあり、プレスも入っていたので、よけいギューギューの状態でした。実相寺監督の最新作を見届けようというファンがこれだけ集まったということが、ちょっとうれしかったです。

 作品は3話構成。実相寺監督が撮ったのは第1話だけです(第2話は北村嗣巳、第3話は服部光則が監督)。もう開巻から、どこをどう切っても実相寺です。舞台は大正時代の東京。SFというより、夢ともうつつともつかない幻想譚という雰囲気です。今回シルバー假面は女性なので、よけいファンタジーぽい印象があります。まるで 「帝都物語」プラス魔法少女もの?
 そう、シルバー假面が女性!なのです。1971年のオリジナル版を知っているファンが一番驚くところでしょう。これは、実に実相寺的というか、監督が好みそうな設定だと思うのですね。衣装デザイナーの竹田団吾と造形家・原口智生が共同で作り上げたデザインとスーツもいい。スーツアクトレスMiWaさんのプロポーションも抜群で、ちょっと倒錯したエロスがあります。銀の甲冑に身を包んだ救世主。ジャンヌ=ダルクのようなイメージですね。
 音楽は冬木透先生。今回作曲したのは、わずか4曲。「假面のマーチ」「月と太陽のコンコルド」「ザビーネのワルツ」「指輪のテーマ」とタイトルがつ けられています。どれも一聴して「冬木先生の音だ!」と思わせる音楽です。原点回帰とでもいうか、60年代、70年代の音に返った印象があります。実際、「假面のマーチ」は、実相寺監督がかつて手がけたTVドラマ「でっかく生きろ!」(1964)の音楽を復活させたものです。各曲は2分程度。演奏時間が短いのでアルバム1枚にするには足りず、サントラ発売が危ぶまれていま す。しかし、DVDに収録などではなく、MAXIシングルでいいから、ちゃんとCDで発売してほしいのですよ。
 1971版とは対照的にあたたかい映画になったと思います。終了後、会場から自然に拍手が沸きました。実相寺監督と佐々木守さんをしのびながら帰りました。

 舞台あいさつの言葉をいくつか紹介します。

○シルバー假面スーツアクトレス:MiWaさん
「初のスーツアクトレス体験でしたが、人間味と女性らしさを強調するようにしました」

○明瀬総督役:嶋田久作さん
「実相寺監督とは映画デビューとなった『帝都物語』以来のおつきあいでした。18年間、楽しい時間をすごさせてもらいました」

○弁士役:寺田農さん
「こんなに大勢の方に観にきていただいて、実相寺もよろこんでいると思います。ぜひ、1人10人ずつ口コミで宣伝してください。なんといっても最後の作品です。実相寺の世界をお楽しみいただければと思います」

○コスチューム制作:竹田団吾さん
「本業は舞台衣装です。子どものころブラウン管で観ていたヒーローを自分の手で再生することができて、感無量です」

 来年1月12日まで上映中です。

2006年12月22日 (金)

大野雄二 & Lupintic Five“LUPIN THE THIRD JAZZ LIVE” in Blues Alley

 2週間も前のことになりますが(汗)、大野雄二 & Lupintic Fiveの“LUPIN THE THIRD JAZZ LIVE”に行ってきました(バンド名の「大野雄二」は「Yuji Ohno」と英語表記が正式ですが、このほうがわかりやすいので)。

 会場は目黒のBLUES ALLEY JAPAN

 予約した席に案内されると、ステージの脇にぴったりついたところ。おかげで、大野雄二先生の演奏を1.5mの至近距離で見&聴けました。

 この日の曲目は以下のとおり。

1st stage
・LUPIN AU GO GO (バンドのテーマ曲になっている短い曲)
・HOT SAMBA
・JUMPIN', DIPPIN'
・ミシェル
・ISN'T IT LUPINTIC?
・銭形のテーマ
・BOSSA DIAMANTE
・最も危険な遊戯のテーマ
・トルネード

2nd stage
・LUPIN AU GO GO
・CRAZY TUKUTUKU
・COOL SAMBA
・ルパン三世 愛のテーマ
・ラヴ・スコール
・Cool For Joy
・The Christmas Song
・赤鼻のトナカイ
・炎のたからもの
・ルパン三世のテーマ

Encore
・Holy But Easy

 よかったですよー。
 2曲のクリスマス・ソングと「最も危険な遊戯のテーマ」以外はルパン三世からの選曲。といっても、大野雄二のアルバム「LUPIN THE THIRD JAZZ」versionなので、70-80年代のルパンの音を想像すると裏切られます。もっとゴリッとした、男臭いジャズになってます。要するに昔の音 とは別ものです。今の大野雄二が生バンドでやるルパンだから、これでいいんですよ。
 バンドは鍵盤、ドラム、ギター、ベース、トランペット、サックスの6人。鍵盤の大野先生をのぞく5人がLupintic Fiveなんですな。これだけの人数ですが、骨太のパワフルな音を聴かせてくれます。特にペットとサックスが同時に鳴ると、「あ、これが大野雄二の音だ よ」と思わせられるから不思議。
 大野先生はスタンウェイの生ピアノとローズ・ピアノを弾いてました。最近はシンセでサンプリングのローズの音を出す例も多いですが、ちゃんとホンモノのフェンダー・ローズです。ひじ打ちが入ったりして、スタイリッシュな昔のルパンと比べると、エネルギッシュでホットなスタイル。
 こういうのが、ルパンから30年を経てたどりついた、大野先生が今やりたい音楽なのでしょう。

 せっかくだから、ルパンだけではなく、ほかのアニメや映画・ドラマのテーマも、こうやってジャズバンドでやってほしいと思いました。「LUPIN THE THIRD JAZZ」じゃなくて「大野雄二JAZZ」でいいじゃないですか。『キャプテンフューチャー』や『スペースコブラ』のテーマやBGMのジャズバンド・ヴァージョン、ぜひ聴きたいですよ。

LUPIN THE THIRD JAZZ
 大野雄二自身が『ルパン』の曲をピアノトリオで演奏した、シリーズ1枚め。ヒットアルバムとなった。もともとジャズピアニストの大野雄二がリードアルバムとしてリリースしただけに、イロものではないよ。

 : アルバムジャケット

LUPIN THE THIRD JAZZ 2nd
 2枚めは3人の女性ヴォーカルをフィーチャーして、「ラヴ・スコール」「炎のたからもの」などを英語詞のジャズヴォーカルで聴かせる。

 : アルバムジャケット

LUPIN THE THIRD JAZZ CHRISTMAS
 おなじみのクリスマスソングから、『ルパン』の曲、そしてオリジナル曲をピアノトリオで。今の季節にピッタリの1枚。

 : アルバムジャケット

LUPIN THE THIRD JAZZ cool for joy
 このオレンジ色に黒いシルエットのおしゃれなジャケは、大野雄二のアイデアによるもの。『ルパン』の曲だけでなく、ジャズのスタンダード・ナンバーやオリジナル曲も取り入れた、本人もお気に入りのアルバムである。

 : アルバムジャケット

 

LUPIN THE THIRD JAZZ the 10th ~New Flight~
 JAZZシリーズの10作目。このアルバムから、トリオではなく、大野雄二が新たに結成したバンド"Yuji Ohno & Lupintic Five"の演奏になっている。ちなみに"Yuji Ohno & Lupintic Five"は大野雄二と5人のメンバ(Drms,Gt,Bss,Tp,Sax)によるバンドで、6人編成。上記のライブでの演奏も、この6人のオリジナルメンバーだった。若手実力派をそろえて、ぐっと若々しいHOTなサウンドが聴ける。

 : アルバムジャケット

LUPIN THE THIRD "SEVEN DAYS RHAPSODY" original soundtrack
 "Yuji Ohno & Lupintic Five"の2枚めは、TVスペシャル『ルパン三世 セブン・デイズ・ラプソディ』のサウンドトラックとしてリリース。しかし、本編には使われていない曲も含まれている。これはオリジナルではなく、一応番組のために書いたが使用されなかったのだとか。サントラとはいえ、アルバムとしても聴けるように作られた最新作。

 : アルバムジャケット

Yuji Ohno,You&Explosion Band -Made in Y.O.-
 これはジャズアルバムではなく、昨年発売された、大野雄二のセルフカヴァー・アルバム。なつかしい"Yuji Ohno, You&Explosion Band"という表記が泣ける。『野生の証明』『犬神家の一族』『最も危険な遊戯』といった映画音楽から、『水もれ甲介』『大追跡』『マー姉ちゃん』などのTVドラマ、『キャプテンフューチャー』『スペースコブラ』『マリンエクスプレス』といったアニメ、それにNHK『小さな旅』や「24時間テレビのテーマ」、CMソングまでカヴァーした2枚組。もちろん『ルパン』も。曲によって、オリジナルとの違いが気になったり、新たな解釈に感動したり、いろいろ。しかし、過去の曲を化石にしないで、「今」の音楽として演奏し続けることも大事だなと思わせる。いい曲はそうやって、残っていくのだから。

 : アルバムジャケット

2006年12月21日 (木)

追悼・宮内国郎先生

 実相寺監督の訃報を聞いたあと、ほどなくして、『ウルトラQ』『ウルトラマン』の音楽を担当した宮内国郎先生の訃報に接しました。亡くなったのは11月27日でした。
 宮内国郎といえば、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『快獣ブースカ』『トリプルファイター』など、数々の円谷プロの特撮テレビ番組の音楽を書いた作曲家。
 『ウルトラQ』がテレビ原体験の私としては、ほんとうにショック…、そして、切ない気持ちです。

 『ウルトラマン』の実相寺演出回でも、宮内国郎の音楽が印象的に鳴っています。「快獣墓場」でシーボーズのテーマとして流 れるものがなしいチェンバロの曲。「恐怖の宇宙線」ではこのエピソードのための録音が行われ、ペーソスたっぷりの音楽が全編を彩っています。「故郷は地 球」でジャミラの悲劇を描写するストリングスの悲愴な音楽。
 ウルトラマンの戦闘テーマに代表されるような、力強く親しみやすい音楽が宮内先生の真骨頂であったと思いますが、一方で、感情をゆさぶる情感あふれる音楽も得意としていました。
  そのルーツであり代表作ともいえるのが、特撮映画『ガス人間第一号』の音楽です。SFサスペンスとメロドラマが合体したこの作品では、サスペンス音楽と悲 劇的な情感曲が音楽設計における2つの柱になっています。緊迫感に富んだサスペンス音楽は秀逸で、『ウルトラQ』『ウルトラマン』の快獣・宇 宙人の出現場面にたびたび使用されました。しかし、映画を牽引するのは、悲劇的な恋の音楽です。ドラマティックな曲想は、『ウルトラマン』 などのジャズタッチの音楽とは対照的です。でも、そのドラマティックな部分が、宮内 国郎音楽の原点だったのではないかな、と思うのです。宮内国郎先生の音楽は、人間だけでなく、快獣もやさしく見守っているような気がします。だ から、「快獣墓場」や「恐怖の宇宙線」「故郷は地球」といった作品に胸をゆさぶられるし、「まぼろしの雪山」や「恐怖のルート 87」といった作品が、まるで昔からなじみのある民話のように、子どもの心に響くのではないでしょうか。
 宮内先生の力強い主題歌のメロディも大好きでした。劇中曲を担当していない『宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)』『恐竜戦隊コセイドン』も、主題歌 を一度聴いたら忘れられません。そして、'79年に登場した『ザ・ウルトラマン』。ウルトラファンには不評らしいですが、私は大好きな作品です。その理由 のひとつが、宮内先生作曲の主題歌です。この歌を聴いたとき、30年の時を経て「ふたたび「ウルトラマンが帰ってきた!」と強烈に思いました。劇中曲も、 『ウルトラマン』をほうふつさせる暖かみのある音楽でした。追加録音で冬木透先生が参加して、音楽担当に二人の名前がクレジットされたときは、もう夢のよ うな気分でした。
 最近では、『ウルトラQ dark fantasy』(2004)で、「ウルトラQのテーマ」を自ら編曲。ファンにはうれしいプレゼントでした。

 わくわくするような宮内サウンドの新曲がもう聴けないとは、ほんとうに残念です。

 できれば、追悼企画として、『ガス人間第一号』のサントラ、そして、キングの「交響詩ウルトラマン(「交響詩ウルトラセブン」とカップリング)」とポリドールの「交響組曲 恐竜」を復刻してほしいです。特に後者2枚は映画『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』のサウンドトラックとしても使われているのですから。

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(1) ウルトラQ
 ウルトラサウンドの原点となったアンバランスワールドの音楽。『ガス人間第一号』からの流用曲も収録。構成・解説は浅井和康氏。

 : アルバムジャケット

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(2) ウルトラマン
 代表曲をエピソードごとにまとめて収録。当時としては、海外TVドラマ音楽のようなしゃれた音楽だった。

 : アルバムジャケット

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(8) ザ・ウルトラマン
 「組曲 ザ・ウルトラマン」をSE抜きで全曲収録。冬木透の「交響詩 ザ・ウルトラマン」をカップリングしたお得な1枚。

 : アルバムジャケット

ウルトラQ dark fantasy マニアトラックス
 タイトル曲のアレンジを担当。BGMは多田彰文が作曲している。

 : アルバムジャケット

 ***

 以下はCD復刻大希望のアルバム。

◎交響詩ウルトラマン/ウルトラセブン
 「交響詩ウルトラマン」は1979年発売。『ウルトラマン』のBGMを暖かく、スケール豊かにアレンジしなおした傑作だ。各曲はメドレーではなく、単独の曲をじっくりと料理している。一方「交響詩ウルトラセブン」は、代表曲をドラマチックに配した構成。本格的なオーケストラサウンドでつづるSF交響曲といった趣である。

 

◎交響組曲 恐竜
 「恐竜」をテーマに組曲にしたてた企画盤。円谷皐がプロデュースを務めた。こちらは1978年発売。『ザ・ウルトラマン』の原型とも呼べる音楽である。

 

追悼・実相寺昭雄監督

 11月29日、実相寺昭雄監督が亡くなりました。『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』など、円谷プロ制作の特撮テレビ番組で個性的なエピソードを数多く演出した監督です。

 実相寺監督といえば、特番などで必ずネタにされる「ハヤタがスプーンを持って変身しようとする」場面が有名です(『ウルトラマン』「空の贈り物」の1シーン)。しかし、そういうお遊びは実相寺作品のスパイスの一つであり、本来は天才的な映像センスと強烈な作家性を持った人でした。
 やはり今年亡くなった脚本家・佐々木守とのコンビでの名作が多いです。先の「空の贈り物」もそう。地球から追放された怪獣たちの哀しみをユーモラスに描いた「怪獣墓場」(『ウルトラマン』)、怪獣と化した宇宙飛行士ジャミラの悲劇「故郷は地球」(同)。「京都買います」(『怪奇大作戦』)。こうした「異色作」とも呼ばれる個性的な作品群は、特撮ファン・怪獣ファンの熱烈な支持を受けました。

 そんな中でも私が愛する実相寺作品は…、「恐怖の宇宙線」(『ウルトラマン』)と「円盤がきた」(『ウルトラセブン』)です。
 「恐怖の宇宙線」は、子どもたちの書いた落書きの怪獣が実体化して、科学特捜隊とウルトラマンがその始末に手を焼くという話。怪獣ガヴァドン(Aタイプ)は私の怪獣ランキングNo.1です。一編のメルヘンのような話なんですね。
 もう1本の「円盤がきた」は、孤独な青年フクシンくんが天体観測中に偶然宇宙人の円盤を発見するが、誰にも信じてもらえず…という現代の寓話のようなエピソード。
 奇抜な作品を撮る監督と思われがちですが、盟友ともいえる俳優・岸田森(故)がインタビューで語っていたように、本当は誰よりもナチュラルな感性を持っていた監督なのではないかと思います。

 例えば、怪獣とかウルトラマンといったものの捉え方が、すごくナチュラルというか、無理してないんです。無理に作ろうとしてないんですね。あり得ないことはあり得ないこと、あるかもしれないことはあるかもしれないことっていうふうに、きちんと整理されてる。
(「空想特撮映像の名バイプレーヤー 岸田森インタビュー/聞き手 中島紳介」より[『不死蝶 岸田森』小幡貴一、小幡友貴編/ワイズ出版/2000年 所収])

 11月、「妖術武芸帳 オリジナル・サウンドトラック」のための取材で冬木透先生にお会いしたとき、実相寺監督の話を聞ききました。
 冬木先生は『ウルトラセブン』以来、実相寺監督の名パートナーとして、多くの実相寺作品の音楽を担当しています。遺作となった『シルバー假面』の音楽も冬木先生でした。冬木先生が撮影現場を見学に行ったとき、実相寺監督は点滴を打ちながら演出されていたそうです。「具合の悪い身体でよくこんな大作を撮ったと思います」とおっしゃってました。インタビューの日がちょうど『シルバー假面』完成試写の日でした。その10日後に、監督の訃報を聞きました。
 監督の魂は地球を離れても、作品は永遠に残ることでしょう。

<実相寺作品を聴く>

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(2) ウルトラマン
 新編集で送る決定版音楽集。「恐怖の宇宙線」「故郷は地球」「快獣墓場」など、エピソードでまとめた構成になっている。未発見曲はMEテープから収録。構成・解説は森 達氏。

 : アルバムジャケット

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(3) ウルトラセブン
 「狙われた街」や「円盤が来た」で使用されたクラシック風の音楽がTrack8「SEVEN'S CHAMBER MUSIC」にまとめられている。中村哲氏による構成・解説。

 : アルバムジャケット

ウルトラマン 主題歌大全集
 劇場用映画『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』の主題歌「ウルトラマンの歌(ささきいさお)」「ディスコ・ウルトラマン」を収録。

 : アルバムジャケット

怪奇大作戦 ミュージックファイル
 玉木宏樹の傑作BGMを収録した音楽集。1曲1トラックで収録。未発見曲はMEテープから補った充実の内容で、聴いていると映像と岸田森の台詞がよみがえってくる。構成・解説は森 達氏。

 : アルバムジャケット

波の盆
 倉本聰脚本、実相寺演出、笠智衆主演の単発TVドラマ(1983年作品)。音楽は武満徹が担当。サントラ盤はインディーズレーベルで復刻されている。

 : アルバムジャケット

姑獲鳥の夏 オリジナル・サウンドトラック
 京極夏彦原作による劇場用映画のサントラ盤。音楽は『黄金の日々』や『影武者』『バルトの楽園』の池辺晋一郎が手がけている。

 : アルバムジャケット

<実相寺作品を観る>

実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン
 『ウルトラマン』の実相寺演出作品をオムニバス形式で編集した長編映画。1本で実相寺作品がコンパクトに観られる。

 : DVDジャケット

レモンのような女
 円谷一、実相寺昭雄、飯島敏弘が演出した全6話のミニTVシリーズ(1967年作品)。音楽は冬木透が担当しており、まるで『ウルトラセブン』の前哨戦のようだ。

 : DVDジャケット


 『ウルトラセブン』と同時期に京都で撮影されていた栗塚旭主演の時代活劇。実相寺昭雄と飯島敏弘が演出し、音楽は冬木透、と『ウルトラセブン』とスタッフが重なる作品だ。この作品が縁で、『怪奇大作戦』の京都編が実現したともいえる。

 : DVDジャケット

無常
曼荼羅
哥(うた)
 ATG製作の劇場用映画三部作。公開はそれぞれ、1970年、'71年、'72年。『怪奇大作戦』に続く時代の作品である。実相寺ワールドにどっぷりつかる覚悟で観るべし。岸田森の演技や冬木透の音楽は、ファンなら押さえておきたいツボ。

 : DVDジャケット : DVDジャケット : DVDジャケット

岸田今日子さんが…!

 17日、女優の岸田今日子さんが亡くなったそうです。⇒記事

 『ムーミン』のムーミンの声であり、『傷だらけの天使』の綾部貴子役。映画『砂の女』や『八つ墓村』などでも特異な存在感を発揮。実生活では、『アルプスの少女ハイジ』などの作詞をした詩人・岸田衿子さんの妹、そして、俳優・岸田森のいとこ。

 やはり思い出深いのは、ムーミンの声ですよ。「ねえ、スナフキン…」と、あの声をいつでも頭の中で再生できます。その印象がよほど強烈だったのでしょう。ポーランド=オーストリア製作のパペットアニメーション『ムーミン』が日本公開されたときは、吹替えを岸田今日子さんが担当していました。原作者からみとめてもらえず、いまだDVD化されない東京ムービー/虫プロ版の『ムーミン』を、なんとか商品化してほしいです。
 ご冥福をお祈りいたします。

ムーミン パペット・アニメーション DVD-BOX
 素朴なパペットアニメーションによる映像化。岸田今日子がすべてのキャラクターの吹替えを担当している。

 : アルバム・ジャケット

2006年12月20日 (水)

年の瀬に…

3週間も投稿が空いてしまいました。
仕事してました。
この間、けっこうショックなニュースがつづき…

実相寺昭雄監督死去
宮内国郎先生死去
東芝音楽事業撤退発表

ちょっとヘコんでました。
そして、今日は、青島幸男さんの訃報が…。
クレージーキャッツの歌の多くが青島さんの作詞で、3月に亡くなった宮川泰先生との縁も深い。実写版『いじわるばあさん』では主役。アニメ『千夜一夜物語』の主人公アルディンの声も演じています。

ご冥福をお祈りいたします。

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