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2006年12月21日 (木)

追悼・実相寺昭雄監督

 11月29日、実相寺昭雄監督が亡くなりました。『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』など、円谷プロ制作の特撮テレビ番組で個性的なエピソードを数多く演出した監督です。

 実相寺監督といえば、特番などで必ずネタにされる「ハヤタがスプーンを持って変身しようとする」場面が有名です(『ウルトラマン』「空の贈り物」の1シーン)。しかし、そういうお遊びは実相寺作品のスパイスの一つであり、本来は天才的な映像センスと強烈な作家性を持った人でした。
 やはり今年亡くなった脚本家・佐々木守とのコンビでの名作が多いです。先の「空の贈り物」もそう。地球から追放された怪獣たちの哀しみをユーモラスに描いた「怪獣墓場」(『ウルトラマン』)、怪獣と化した宇宙飛行士ジャミラの悲劇「故郷は地球」(同)。「京都買います」(『怪奇大作戦』)。こうした「異色作」とも呼ばれる個性的な作品群は、特撮ファン・怪獣ファンの熱烈な支持を受けました。

 そんな中でも私が愛する実相寺作品は…、「恐怖の宇宙線」(『ウルトラマン』)と「円盤がきた」(『ウルトラセブン』)です。
 「恐怖の宇宙線」は、子どもたちの書いた落書きの怪獣が実体化して、科学特捜隊とウルトラマンがその始末に手を焼くという話。怪獣ガヴァドン(Aタイプ)は私の怪獣ランキングNo.1です。一編のメルヘンのような話なんですね。
 もう1本の「円盤がきた」は、孤独な青年フクシンくんが天体観測中に偶然宇宙人の円盤を発見するが、誰にも信じてもらえず…という現代の寓話のようなエピソード。
 奇抜な作品を撮る監督と思われがちですが、盟友ともいえる俳優・岸田森(故)がインタビューで語っていたように、本当は誰よりもナチュラルな感性を持っていた監督なのではないかと思います。

 例えば、怪獣とかウルトラマンといったものの捉え方が、すごくナチュラルというか、無理してないんです。無理に作ろうとしてないんですね。あり得ないことはあり得ないこと、あるかもしれないことはあるかもしれないことっていうふうに、きちんと整理されてる。
(「空想特撮映像の名バイプレーヤー 岸田森インタビュー/聞き手 中島紳介」より[『不死蝶 岸田森』小幡貴一、小幡友貴編/ワイズ出版/2000年 所収])

 11月、「妖術武芸帳 オリジナル・サウンドトラック」のための取材で冬木透先生にお会いしたとき、実相寺監督の話を聞ききました。
 冬木先生は『ウルトラセブン』以来、実相寺監督の名パートナーとして、多くの実相寺作品の音楽を担当しています。遺作となった『シルバー假面』の音楽も冬木先生でした。冬木先生が撮影現場を見学に行ったとき、実相寺監督は点滴を打ちながら演出されていたそうです。「具合の悪い身体でよくこんな大作を撮ったと思います」とおっしゃってました。インタビューの日がちょうど『シルバー假面』完成試写の日でした。その10日後に、監督の訃報を聞きました。
 監督の魂は地球を離れても、作品は永遠に残ることでしょう。

<実相寺作品を聴く>

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(2) ウルトラマン
 新編集で送る決定版音楽集。「恐怖の宇宙線」「故郷は地球」「快獣墓場」など、エピソードでまとめた構成になっている。未発見曲はMEテープから収録。構成・解説は森 達氏。

 : アルバムジャケット

ウルトラサウンド殿堂シリーズ(3) ウルトラセブン
 「狙われた街」や「円盤が来た」で使用されたクラシック風の音楽がTrack8「SEVEN'S CHAMBER MUSIC」にまとめられている。中村哲氏による構成・解説。

 : アルバムジャケット

ウルトラマン 主題歌大全集
 劇場用映画『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』の主題歌「ウルトラマンの歌(ささきいさお)」「ディスコ・ウルトラマン」を収録。

 : アルバムジャケット

怪奇大作戦 ミュージックファイル
 玉木宏樹の傑作BGMを収録した音楽集。1曲1トラックで収録。未発見曲はMEテープから補った充実の内容で、聴いていると映像と岸田森の台詞がよみがえってくる。構成・解説は森 達氏。

 : アルバムジャケット

波の盆
 倉本聰脚本、実相寺演出、笠智衆主演の単発TVドラマ(1983年作品)。音楽は武満徹が担当。サントラ盤はインディーズレーベルで復刻されている。

 : アルバムジャケット

姑獲鳥の夏 オリジナル・サウンドトラック
 京極夏彦原作による劇場用映画のサントラ盤。音楽は『黄金の日々』や『影武者』『バルトの楽園』の池辺晋一郎が手がけている。

 : アルバムジャケット

<実相寺作品を観る>

実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン
 『ウルトラマン』の実相寺演出作品をオムニバス形式で編集した長編映画。1本で実相寺作品がコンパクトに観られる。

 : DVDジャケット

レモンのような女
 円谷一、実相寺昭雄、飯島敏弘が演出した全6話のミニTVシリーズ(1967年作品)。音楽は冬木透が担当しており、まるで『ウルトラセブン』の前哨戦のようだ。

 : DVDジャケット


 『ウルトラセブン』と同時期に京都で撮影されていた栗塚旭主演の時代活劇。実相寺昭雄と飯島敏弘が演出し、音楽は冬木透、と『ウルトラセブン』とスタッフが重なる作品だ。この作品が縁で、『怪奇大作戦』の京都編が実現したともいえる。

 : DVDジャケット

無常
曼荼羅
哥(うた)
 ATG製作の劇場用映画三部作。公開はそれぞれ、1970年、'71年、'72年。『怪奇大作戦』に続く時代の作品である。実相寺ワールドにどっぷりつかる覚悟で観るべし。岸田森の演技や冬木透の音楽は、ファンなら押さえておきたいツボ。

 : DVDジャケット : DVDジャケット : DVDジャケット

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