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2007年3月 6日 (火)

3月4日 伊福部昭音楽祭 in サントリーホール

 久しぶりのサントリーホール。開演30分前に着いたら、すでにロビーは多くの人で混み合っている。著名な作曲家や映像音楽関係者らの顔もちらほら。知っている人にあいさつしながら奥へ。

 2006年2月に亡くなった作曲家・伊福部昭のメモリアル・コンサートです。

 2度の休憩をはさんだ、3部構成。

 第1部 伊福部昭とヴィルトゥォーゾ
 「音楽の生まれる時」

・二十五絃箏甲乙奏合交響譚詩[2001]
 (筝:野坂惠子 小宮瑞代)
  トーク:野坂恵子
・アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌[1956]
 (歌:藍川由美 ティンパニ:高田みどり)
  トーク:藍川由美

 第2部 映画の世界
  「映画人、伊福部昭を語る」

・SF交響ファンタジー 第1番[1954/1983]
 (本名徹次指揮、東京フィルハーモニー交響楽団 以下同)
  トーク:富山省吾
・銀嶺の果て[1947]
・座頭市物語[1962]
・ビルマの竪琴[1956]
  トーク:本名徹次
・「わんぱく王子の大蛇退治」より“アメノウズメの舞”[1963]
  トーク:高畑勲
・オーケストラのための特撮大行進曲[1999/2007]

 第3部 管絃楽の響
  「大楽必易」

・管絃楽のための「日本組曲」[1933/1991]
・シンフォニア・タプカーラ[1954/1979]

 伊福部昭というと「重厚」「始原的」というイメージがあります。しかし、今回は、躍動感にあふれた、エネルギッシュな音楽との印象が残りました。たとえば、第3部「シンフォニア・タプカーラ」の力強い演奏。ダイナミックな打楽器の響き、ブラスのきらびやかな音色、弦楽器群の激しい動き。現代的で若々しい音です。これまでCDで聴いたどの演奏よりも、テンポが速い。

 演奏する日本フィルハーモニー交響楽団は、キングレコードから発売中のCD「伊福部昭の芸術」シリーズで演奏を担当しているオーケストラ。指揮の本名徹次も、シリーズの6巻、7巻、8巻で指揮を務めています。同シリーズは、伊福部昭がみずから監修し、演奏にも指示を出し、自作の決定版的演奏を記録したもの。いわば、伊福部自身が現代の視点で解釈しなおした演奏です。その現代的な視点が、今回のコンサートに反映されていると思います。

 伊福部昭の音楽を、過去の名作として大事に大事に扱うのではなく、現代に通用する生きた音楽としてよみがえらせること。今回のコンサートがめざしたのは、そういうことではないのかな。「追悼コンサート」といわず「音楽祭」と名づけたところにも、主催者の前向きの気持ちを感じました。

 多くの人が目当てで来たと思う第2部では、スクリーンに映画の映像が映しだされました。『ゴジラ』をはじめとする東宝特撮映画、そして、テーマ曲が演奏された『銀嶺の果て』『座頭市物語』『ビルマの竪琴』。

 惜しかったのは、サントリーホールの構造上、オケの真後ろにスクリーンを配置することができず、後方向かって右上に配置されていたこと。映像とオケを同時に視野に入れることができず、視線を往復させると音への集中力が途切れます。ほんとは映画音楽の録音と同じように、オケの後ろにスクリーンを配して、指揮者も絵を観ながら振ることができれば、もっと映像と音が合ったろうになぁ。
 が、それはこのコンサートの瑕ではない。もともと絵と音が合うことまでは期待してなくて、映像は演奏の参考、雰囲気づくりぐらいに思っていから。むしろ、絵はなくてもよかったのではないかな。

 終演は開演から4時間が過ぎた午後7時頃。アンコール用の曲は用意されておらず、最後に演奏された「シンフォニア・タプカーラ」のクライマックスがもう一度演奏されました。拍手はなかなか絶えませんでしたが、演奏者も観客もさすがに疲れきった風情。

 伊福部昭の音楽を演奏して、聴いて、楽しんだ! そんな印象のコンサートでしたね。ほんと「祭」と呼ぶのがぴったりの。

 ホワイトチョコ

 上は、観客に配られた記念品のホワイトチョコ。
 主催者によれば、今回のコンサートは、「伊福部昭音楽祭 第1回」なのだそうです。チョコのパッケージの裏に、「2008年3月16日 第2回音楽祭開催予定」の告知が印刷されていました。

 なお、今回のコンサートの録音は、「伊福部昭の芸術 9」として発売予定とのこと。


<キングレコード:伊福部昭の芸術シリーズ>

伊福部昭の芸術1 譚―初期管弦楽
 日本狂詩曲 / 土俗的三連画 / 交響譚詩

 

伊福部昭の芸術2 響―交響楽の世界
 シンフォニア・タプカーラ / 管弦楽のための「日本組曲」

 

伊福部昭の芸術3 舞―舞踏音楽の世界
 舞踊音楽「サロメ」 / 兵士の序楽

 

伊福部昭の芸術4 宙―SF交響ファンタジー
 SF交響ファンタジー 第1番~第3番 / 倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスク

 

伊福部昭の芸術5 楽―協奏風交響曲/協奏風狂詩曲
 ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲 / バイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲

 

福部昭の芸術6 亜―交響的エグログ
 バレエ音楽「日本の太鼓」ジャコモ・ジャンコ / 二十絃筝とオーケストラのための「交響的エグログ」 / フィリピンに贈る祝典序曲

 

伊福部昭の芸術7 幻―わんぱく王子の大蛇退治
 交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」 / 交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」

 

伊福部昭の芸術8 特別編 頌―伊福部昭 卆寿を祝うバースデイ・コンサート
 フィリピンに贈る祝典序曲 / 日本狂詩曲 / SF交響ファンタジー第1番 / 交響頌偈 釈迦 / シンフォニア・タプカーラ 第3楽章

 


伊福部昭 全歌曲 (藍川由美)
 ギリヤーク族の古き吟誦歌 / サハリン島先住民の三つの揺籃歌 / アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌 / 摩周湖 / 聖なる泉 ほか

 



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コメント

音楽祭コンサート、とてもよかったです。
コンサートの模様がDVDになり。
アングル切り替えで、コンサートの模様と映画映像が切り替えることが出来れば最高だなと考えております。
またよろしくお願いします。

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第3部 管絃楽の響 1)管絃楽のための「日本組曲」 2)シンフォニア・タプカーラ 「日本組曲」は元々はピアノのための曲。 編曲者はラヴェルの影響から大変好きなのですけど。 私はそれほど「日本組曲」はそんなにお気に入りでは ないです。(ごめんさい) ※追記 初期の作品なので、モチーフが分かりやすいためか 少し苦手みたいです。聴きこむと良さが分かってきたので、 また別途企画してみます。(3月10日) 「シンフォニア・タプカーラ」は 素晴らしかった。第一... [続きを読む]

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