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2007年7月

2007年7月28日 (土)

メガネの向こうは電脳世界「電脳コイル」

 ちまたのうわさによれば、『電脳コイル』はアニメファン以外にもけっこう注目されているらしい。

 『電脳コイル』は、NHK教育テレビで放送中のTVアニメです。これも、『精霊の守り人』とは別の意味で、NHKならではの作品。土曜日は朝『精霊の守り人』を観て、夕方『地球へ…』と『電脳コイル』を観るのがなによりの楽しみですよ。

 舞台は近未来の電脳都市・大黒市。といっても、神社仏閣が立ち並ぶ、一見、古風な日本の地方都市です。街全体にネットワークが張り巡らされ、目に映る街に重なって、目に見えない電脳空間が存在しているという設定です。この街では、特殊なメガネをかけることで電脳世界にアクセスできる。メガネがないとコミュニケーションにも遊びにも不自由するので、主人公である中学生のヤサコはじめ、子どもたちもみんなメガネをかけているわけです。

 サントラは、なんといきなり2枚組。やりますね。といっても、収録時間は2枚合わせて80分弱、1枚に入るんじゃないの?とも思いますが、2枚に分かれているおかげで手頃な長さで聴きやすい。お値段は3000円(税込)と1枚もの並抑えられてます。

 音楽は斉藤恒芳さん。葉加瀬太郎らとユニット"クライズラー&カンパニー"を結成して活躍したピアニストです。90年代後半から本格的に映像音楽を手がけはじめたので、まだ作品数は少ない。『蒼穹のファフナー』(2004)や『タイドライン・ブルー』(2005)の音楽を担当しています。

 DISC1は、事件の始まりを予感させる「予兆」、チェイスチューン「暗黒の街からの脱出」、大黒市の不思議な雰囲気を描写する「鳥居の町」、ミステリアスな「影」「神秘」、ヤサコとフミエらの友情を描写する「夕焼け」「友情」など、新しい街に転向してきたヤサコが出会う不思議と不安、友情を表現する音楽が集められています。

 DISC2は、ユーモラスなメロディバックに不安感をあおるピアノが印象的な「企み」、スピード感たっぷりのナンバー「風」、ヤサコとダイチ、イサコら、またはイリーガル、サッチーらとの電脳バトルの場面によく流れる「戦い」「対峙」、電脳都市の迷宮を表現する場面によく使われる「子供の遊び」など、活動的な曲が中心になっています。後半の「光射す道」「歪んだ風景」などは今後の展開を予想させるようなナンバー。ラストは電脳コイルの世界観全体を表現したような「電脳都市」で締めくくり。

 「電脳もの」だからといって電子音を強調するのではなく、小編成の室内楽風の音楽で中学生の日常を表現しているのは、いかにもNHKらしくて好印象です。

電脳コイル サントラ音楽集

 : 電脳コイル サントラ音楽集

 初回限定特典のステッカーはジャケットとは別デザイン。実にいいカンジです。

 ステッカー

 そして、この番組を観た人の誰もが深い印象を受けるのが、オープニング主題歌ではないでしょうか。シンガーソングライターの池田綾子さんが作詞・作曲し歌った「プリズム」は、単なるイメージソングでもなく、もちろんタイアップ曲でもなく、『電脳コイル』のテーマをみごとに表現したすばらしい完成度の曲です。
 『電脳コイル』のテーマって、いま勝手に言ってしまいましたけど、この作品のテーマのひとつは「目に見えない世界がある」「子どもにしか見えない世界がある」ってことだと思うんですね。

 こういう番組主題歌は、レコード化を前提として最初からフルコーラスのものが作られ、TV用にはトラックダウンと編集で1分30秒に縮めたものが使われることが多いんですが、この歌は、まずTVサイズから作られたそうです。このアルバムに収められたTV editヴァージョンで、1つの音楽として完成されてるんですよ。 

 フルサイズは、TVサイズの作業のあとでアレンジ、録音されました。シングル盤は8月29日発売。カップリングのエンディング曲「空の欠片」も池田さんの作詞・作曲・歌です。レコードサイズがどんなふうに仕上がっているか、いまから楽しみだなぁ。

プリズム/空の欠片/旅人 [初回生産限定版/DVDつきMAXI] (池田綾子)

2007年7月26日 (木)

7月25日 枕草子 in 南青山MANDALA

 平成「ガメラ」シリーズや『新機動戦記ガンダムW』『天保異聞 妖奇士』『金色のガッシュベル』などの音楽を書いた作曲家・大谷幸さんがユニットを結成してライブ活動をしている!と知ったのは最近のこと。
 ユニットは名前は「枕草子」。浅草っ子のヴォーカル・愛華とピアノの大谷さんの二人のユニットなのです。

 その枕草子のライブが7月25日、南青山のライブハウス「MANDARA」で開催されたので聴いてきました。
 今回はヴァイオリンとウッドベースも加えたセッション。

 枕草子オリジナル曲「いちご畑」「黒いウサギ」や、ヴォーカル・愛華が「川島愛華」の名で発表した「ジェリービーンズの森」「23区」、カヴァー曲「地球兄弟」「少年時代」など、20曲余りを演奏。中には、『金色のガッシュベル』BGM「乱反射の風景」のライブヴァージョンなど、サントラファンには嬉しいプレゼントもありました。

 大谷幸の芯の太いピアノの音、愛華の太古の歌姫のような独特の歌唱。聴こえてくるのは、プリミティブで繊細なサウンド。余計な飾りを廃した、ポップスとかジャズとかクラシカルとか、ジャンル分けしようがない音楽です。いかにも、骨太の映画音楽を作り続けている大谷幸らしいサウンドだなぁと圧倒されてました。

 もともと大谷幸は、ピアニスト・アレンジャーとして、サザンオールスターズや松田聖子、ドリームズ・カム・トゥルーなど、名だたるミュージシャンのコンサートやライブに参加してきたツワモノです。だから、今回のライブは、「作曲家がライブをやる」というより、音楽家としてのルーツに立ち返るような意味があるのでしょう。大小4つの鍵盤を使い、パーカッションまで操って音を繰り出す大谷幸の姿に、音楽に向かう真摯さ、迫力みたいなものを感じました。
 といっても、ライブはとても温かい雰囲気で、MCが苦手という二人のやりとりもなんだかほほえましい。曲はどれもすばらしく、情景が浮かんでくるような喚起力があります。その豊かな音に包まれたライブハウス全体が1個の劇場に思えてくるような、イマジネーションあふれるライブでした。

 この日、枕草子のファーストアルバム「Actitas501」が発売され、サインもらってきました。
 収録曲は、詩・愛華/曲・大谷幸のコンビによるオリジナル曲4曲とカヴァー2曲、そして大谷幸作曲・演奏によるインストルメンタル3曲。ジャケットはヴォーカルの愛華さんの筆によるもの。映画音楽評論で知られる賀来タクトさんのライナーつきです。 

Aktias501

 通販は不明? ライブ会場で買えます。

 枕草子、次回ライブは10月25日に同じ南青山MANDALAで開催するそうですから、気になる人は足を運んでみましょう。

天保異聞 妖奇士 オリジナル・サウンドトラック
 大谷幸の最近作。愛華のヴォーカルもフィーチャーされている。

 : 天保異聞 妖奇士 オリジナル・サウンドトラック

 下は川島愛華のMAXIシングル。大谷幸さんがプロデュースを務めています。

ジェリービーンズの森 (川島愛華)

 : ジェリービーンズの森

23区 (川島愛華)

 : 23区

ブログ<大谷幸と枕草子

2007年7月24日 (火)

G-Session 2nd LIVE終了しました!

たくさんのご来場、ありがとうございました!
G-Sessionならではのライブ、いかがでしたでしょうか。
2度とステージでは聴けないような曲も披露できたのではないかと…?

次はいつになるかわかりませんが(^^;、映像音楽の新たな楽しみ方、新しい切り口を提供するようなライブをめざしたいと思います!

……なんて、楽しんでいただけば、それで十分なんですけどね。

ありがとうございました!

 
 (ライブのようす:作=カセイさん)

-------------------------------
<set list>
■第1部 ゴダイゴ・スペシャル

  1. モンキー・マジック ~『西遊記』(1978)より
  2. 西遊記BGM1 ~『西遊記』(1978)より
  3. 西遊記BGM2 ~『西遊記』(1978)より
  4. 西遊記BGM3 ~『西遊記』(1978)より
  5. 昨日来た手紙 ~『ハウス』(1977)より
  6. いろはの“い” ~『いろはの“い”』(1976)より
  7. テイキング・オフ! ~『銀河鉄道999』(1979)より
  8. 銀河鉄道999 -THE GALAXY EXPRESS 999- ~『銀河鉄道999』(1979)より
  9. ドワルキンのテーマ(BGM) ~『小さなスーパーマン ガンバロン』(1977)より
 10. ガンバロン77 ~『小さなスーパーマン ガンバロン』(1977)より

■第2部 劇伴ワークショップ ベース&ドラム

  1. 『人造人間キカイダー』アバンタイトル~『人造人間キカイダー』(1972)より
  2. 「ダンバインとぶ」イントロ~『聖戦士ダンバイン』(1983)より
  3. 「ひろしのテーマ」~『鋼鉄ジーグ』(1975)より

■第3部 劇中歌特集

  1. かえせ!太陽を(劇中ver.) ~『ゴジラ対ヘドラ』(1971)より
  2. クールな恋 ~『巨人の星』(1968)より
  3. ぺったらぺたらこ ~『ゲゲゲの鬼太郎』(1968)より
  4. たのまれグッバイ ~『装甲騎兵ボトムズ』(1983)より
  5. 死神の子守唄 ~『怪奇大作戦』(1968)より
  6. 銀河ハニー ~『電子戦隊デンジマン』(1980)より
  7. スパイダーマン・ブギ ~『スパイダーマン』(1978)より
  8. なんだなんだブギ ~『宇宙刑事シャイダー』(1984)より
  9. まぼろしブルース(上原正三書下ろしスペシャルver.) ~『宇宙刑事シャリバン』(1983)より
 10. 花・太陽・雨 ~『帰ってきたウルトラマン』(1971)より

アンコール

  1. ガンバロン77 (1コーラス)
  2. 銀河鉄道999 -THE GALAXY EXPRESS 999- (英語版1コーラス)

2007年7月20日 (金)

いよいよ明日!G-Session Live!

かねてよりお知らせしてましたG-Session 2nd Live、いよいよ明日21日開催です!

■日時:2007年7月21日(土)
 18:30 Open / 19:00 Start

■会場:Live Cafe <弁天
  東京都中野区本町4-39-7 TNビルB1F
            (1FはBOOK OFF)
  TEL:03-5340-8270
  丸の内線 新中野駅 1番出口より 徒歩3分

 チャージ:\1,500 + \500(1 drink)

 ○ゴダイゴ・スペシャル
 ○劇伴ワークショップ
 ○どこかの時代、どこかの国で~劇中歌特集

おなじみの曲から、なかなかほかでは聴けない曲など、
てんこもりの内容でお届けします!

この機会を逃すと、次のライブはまた5年後かもw

ぜひ、お誘いあわせの上、おいでください~

http://www3.airnet.ne.jp/haramaki/gekiban/GSession/Glive02.html

G-Session flyer

2007年7月13日 (金)

帰ってきたナッキー!「生徒諸君!」

 番組は終わってしまいましたが、テレビ朝日系で放映されていた『生徒諸君!』のサントラ、なかなかの名作です。

 ドラマは現在連載中の『生徒諸君!教師編』が原作。1977年から1987年まで連載された庄司陽子の人気漫画『生徒諸君!』の続編です。かつて「悪たれ団」を率いて活躍したナッキーが、中学教師となって奮闘する物語なのですよ。

 『生徒諸君!』(学生編のほう)は読みましたよー。涙、涙。ラストは教師になって戻ってきたナッキーの姿で終わっているので、『教師編』はまさに待ち望まれていた続編です。
 しかし、連載終了から20年が過ぎて、ナッキーをめぐる教育事情、中学校事情は一筋縄ではいかなくなっている。「学園もの」のやりづらい時代です。

 ドラマは内山理名がナッキー役。渡辺いっけい、小林稔侍ら、志賀廣太郎ら、くせのある教師側と対照的に、掘北真希ら、フレッシュな生徒たちの活躍が印象的でした。『生徒諸君!』の魅力であるパワフルな面白さを残しつつ、「残酷な今を生きる」少年少女たちへ普遍的なメッセージを伝えようという、意欲的な作品になっていました。

 そして音楽は、水谷広美、柳田しゆ、コーニッシュの3人が連名で担当。あまり名前を見かけない、若い音楽家です。サントラのライナーによれば、冒険を承知であえて若い3人に競作させたのだとか。結果は大成功で、生きのいい快作が生まれました。

 ナッキーのテーマである「アリーバ!」はラテンのリズムにブラスが力強く歌う曲。"Arriba"というのはスペイン語で「上」を意味する言葉で、英語でいうと"Up"、「立ち上がれ!」とか「元気だせ!」とか「最高!」とかいう意味になる。

 また、友情のテーマともいえる「Being a friends」は、洋画の青春ものを思わせる感動的な曲。鼓動の高まりを表すようなリズムとともに、金管のメロディが盛り上がっていきます。

 このナッキーのテーマと友情のテーマの2つが軸となり、さまざまなアレンジ曲が作られています。昨今のサントラは、メインになるメロディを作ってさまざまにアレンジしていく、という方式でないものが多いんですが、久しぶりにメロディのよさを楽しめる、サントラらしいサントラを聴きました。
 もう1曲選ぶなら、中東風の旋律とコーラスで3TDのダークな雰囲気を描写した「Our 3TD」が聴きもの。

 フレッシュな才能が肩を寄せ合ってできたこのサントラ、新しい映像音楽の旗手の誕生を予感させる、うれしい1枚です。

 解説は早川優氏が担当。歴代『生徒諸君!』映像作品にも言及した行き届いた解説が読ませます。

生徒諸君! オリジナルサウンドトラック

 : 生徒諸君! オリジナルサウンドトラック

2007年7月 2日 (月)

フランス語で歌おう「タッチ」

 「なつかしのアニメ主題歌」みたいな番組で岩崎良美が登場すると、必ず歌うのが「タッチ」。
 「タッチ」が名曲であることに異論はないんですが、「アニメ『タッチ』の歌には、ほかにもいい曲があるのに…」と思ってるのは、私だけでしょうか?

 たとえば、エンディング曲「君がいなければ」「青春」、オープニング曲「愛がひとりぼっち」。

 そんな『タッチ』の歌を岩崎良美がセルフカヴァーしたアルバムが発売中です。タイトルは「タッチ 21st century ver.」。ギターで野村義男が参加してます。

 収録曲は、

  1. タッチ(21st century ver.)
  2. チェッ!チェッ!チェッ!(21st century ver.)
  3. 青春(21st century ver.)
  4. 愛がひとりぼっち(21st century ver.)
  5. タッチ~Touche´
  6. タッチ(DJ URAKEN MIX)
  7. チェッ!チェッ!チェッ!(HIMURO MIX)

 ほかに1~5のカラオケ入り。

 「タッチ (21st century ver.)」は、ほぼ原曲どおりのアレンジ。「チェッ!チェッ!チェッ! (21st century ver.)」はダンスチューン風。「青春」は現代的にアレンジされてますが、原曲の雰囲気を損なわないメロウなサウンド。「愛がひとりぼっち (21st century ver.)」は、アルバム中もっともドラマチックなアレンジになっていて、聴きどころといってよいでしょう。間奏のバロック風の部分が絶妙です。

 こういうものは、アレンジが斬新すぎても違和感があって反発されるし、保守的すぎても、「前のほうがよかった」と言われる。難しい企画です。でも、これはなかなかいい仕事ですよ。岩崎良美の歌声は20年前と比べて違和感なし。表現力が増した分、じっくり聴かせます。「君がいなければ」も入れてほしかったなぁ。2曲のリミックスヴァージョンはなくてもよかった気がする。

 異色なのは5曲めの「タッチ~Touche´」。なんと、「タッチ」をフランス語で歌ってます。アレンジもピアノ中心のシンプルなサウンドでシャンソン風に仕上げられている。

 なぜフランス語?かというと、岩崎良美さん、すっかりフランスびいきになって留学までしたそうなんです。今でもしょっちゅう渡仏してるとか。

 フランス語になったアニメソングでは、「キャンディキャンディ」や「アルプスの少女ハイジ」が雰囲気ぴったりでした。「タッチ」は曲調からいって、あんまり合わない感じ。とはいえ、原曲のイメージを忘れて聴けば、これはこれでいい曲。原曲のメロディがいいからどうにも料理できるんですね。

 『タッチ』の歌と音楽をほとんど一人で手がけたのは、芹澤廣明。『タッチ』のみならず、『ナイン』『陽あたり良好』など、「あだち充原作ものとい えば芹澤さん」みたいな雰囲気がありました。甘酸っぱいメロディと60年代ポップス風のサウンドは、まさに「青春」の象徴のようでした。チェッカーズの作品でもおなじみで、「ギザギザハートの子守唄」「涙のリクエスト」「星屑のステージ」「ジュリアに傷 心」「Song for U.S.A」など、デビューから3年間くらいは、ほぼ全曲芹澤さんの作とプロデュースによるもの。ある世代にはなつかしい歌たちです。

 芹澤さんは、もともとミュージシャンとし てバンドでデビューし、ステージ101のメンバとして活躍した時期もありました。なので歌もうまく、『ナイン』『タッチ』『陽あたり良好』といった作品で も、芹澤さんの歌声を聴くことができます。ソロアルバムも発売されていました。
 アニメソングでは、「キン肉マン Go Fight !」が芹澤さんの作曲。また、知名度はいまひとつですが、『エースをねらえ!2』『エースをねらえ! ファイナルステージ』の音楽と主題歌も芹澤さんの仕事で、私 のお気に入りのひとつです。もう1本上げるなら、TOKIOが歌った『飛べ!イサミ』の主題歌「ハートを磨くっきゃない」が好きですね。私の中では、ハズ レなしの作曲家の一人なんです。

 この「タッチ (21st century ver.)」は、「岩崎良美健在!」の証明であるとともに、ソングライター芹澤廣明の才能を再認識させる1枚でもありました。やっぱり『タッチ』の歌は永遠の青春ソングだなぁ。

タッチ 21st centrury ver. (岩崎良美)

 : タッチ 21st centrury ver.

TOUCH (岩崎良美)
 他の歌手が歌った『タッチ』の挿入歌を岩崎良美がカヴァーしたアルバム。

 

タッチ Best Song Book
 3枚発売されていた「タッチ・ソングブック」から選曲されたベスト盤。

 

2007年7月 1日 (日)

遥かなるナユグ「精霊の守り人」

 NHK-BS2で放映中の『精霊の守り人』は、今、もっとも注目のアニメ作品の1本です。上橋菜穂子の児童文学作品をプロダクションI.Gが映像化。『攻殻機動隊S.A.C.』の神山健治監督が監督を務めてます。

 舞台は東アジア風の架空の国・新ヨゴ皇国。すご腕の女用心棒バルサは、ひょんなことから第二皇子チャグムの用心棒を引き受ける。チャグムは水の精霊の卵を産みつけられたことから、帝が放った刺客に命をねらわれていたのだ。一方、卵をねらう異世界の怪物もチャグムを追ってこの世界と交わろうとしていた……。

 とあらすじだけ書くとライトノベルにもありそうな筋立てですが、文化人類学者でもある上橋菜穂子は、みごとにもう一つの世界を構築しています。
 主人公のバルサは30歳。ふつう、このままTVアニメにしようとは思わないですよね。それを実現してしまうNHKってやっぱりすごい。アニメ版のクオリティもすばらしいもので、派手さはありませんが、毎回じっくりとキャラクターの心情と行動を追っていきます。物語は原作から離れ、独自の展開に入っており、これからどうなっていくのか、原作読みとしても、アニメ版のファンとしても、非常に楽しみなところです。

 そして音楽は川井憲次さん!

 アジアもので、ファンタジーとくると、川井憲次の名が上がるのは自然な流れですが、これが期待以上にはまってます。

 先月イベントでお話しする機会があり、『精霊の守り人』の話も少しうかがいました。監督とは、かなり綿密に打ち合わせしたそうです。ねらったサウンドは「和風」ではなく、あくまで架空の東アジア。モデルとなった土地もあるそうですが、それは公式には発言されていません。

 特定の土地が舞台でないことから、音楽も特定の国を想起させないように工夫されたそうです。具体的には、民族楽器をふつうとは違う奏法で使ったり、素直な進行とは異なるメロディを書いたり。アジア風の音を作ろうとするとアジア独特の民族楽器や旋律を使ってしまいがちですが、それだと舞台が限定されてしまう。そこで、わざと聴きなれない音を使って、どこの国ともつかない、それでいて懐かしい感じのサウンドを作りあげているんですね。

 サントラ盤は、これまでの川井憲次とは一味違う、聴き応えのある1枚になってます。
 アクション曲は少なく、地味な印象を受けるかもしれません。しかし、よーく聴くと、新しい音楽を生み出そうという作曲家のこだわりが感じられるはずです。異世界の空気感、キャラクターのリアルな心情と日常の営み、生死を賭けた逃走の緊迫感など、シリアスでファンタジックで人間味のある曲が詰まったこのアルバムは、新たな川井憲次節の誕生を予感させる、注目の1枚と言っていいでしょう。

 聴きどころは、「見えざる脅威」「異界」「呪術師の俳謔」など、コーラスをフィーチャーした曲。「狩る!」「逃げろ!」「バルサ走る」などのアクション曲。そして、「思い遥か」「きずな」「別れの時」などの情感豊かな曲。また、パーカッションとコーラスによる「荘厳なるナユグ」は、いかにも川井憲次らしい異世界曲です。ラストの「ナージの唄」は、劇中でも子どもたちが歌っていたわらべ唄風の曲。どこか懐かしくて、この世にはないけど、どこかにありそうな、まさに『精霊の守り人』の世界を象徴する1曲です。

 ブックレットには、川井憲次インタビューと、若林和弘音響監督の手による音楽メニュー(収録分のみ)を掲載。こうした新作のアルバムで音楽メニューまで掲載されることは少ないので、これはうれしい配慮です。

精霊の守り人 音楽編1

 : 精霊の守り人 音楽編1

 残念ながら、サントラ盤にはOP、ED主題歌は(TVサイズも)未収録。L'Arc~en~Cielの歌うオープニング「SHINE」は、まだ発売されていません。エンディング「愛しい人へ」はシングルが発売中なので、サントラと合わせて聴きたいですね。

愛しい人へ (タイナカサチ)

 : 愛しい人へ

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