Soundtrack Pub

2020年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

« 東京ムービー作品サントラ、続々登場! | トップページ | ちょっぴり大人の世界へ 山下康介の「瞳」「Arround 40」 »

2008年7月11日 (金)

守るものはなんですか?「ホカベン」

 米米CLUBの金子隆博が手がけたドラマ・サントラ。聴きごたえのある1枚です。

 『ホカベン』は、4月~6月に日本テレビ系で放映された弁護士ドラマ。ふんわかしたタイトルとはうらはらな、直球勝負のシリアスな作品でした。いじめ、児童虐待などを取り上げたエピソードは、安易な解決に逃げることなく、どーんと重いものを残す。見ごたえありました。
 主役の新人弁護士・堂本灯(あかり)に上戸彩。まっすぐで、しょっちゅう悩んだりくじけたりして、それでも理想に向かうことをあきらめない灯のキャラに上戸彩がぴったり。『アテンションプリーズ』や『下北サンデーズ』などのはっちゃけたキャラより、こういう役のほうが合ってるなぁ。
 そして、灯のめんどうを見る、ちょっとひねくれた先輩弁護士(しかし、実力がある)に北村一輝。ハマリ役です。

 音楽の金子隆博氏は、サックス奏者、アレンジャー、音楽プロデューサーとして活躍する音楽家。映像音楽の仕事では、映画『河童』『めがね』、ドラマ『すいか』などを担当しています。アニメでは、カッとんだミュージカル・アニメ『練馬大根ブラザーズ』のテーマ曲「マジヤバ」が金子さんの作でした。

 『ホカベン』の音楽は、メインテーマ(灯(あかり)のテーマ)とメインテーマII(杉本のテーマ)の2つのモチーフが中心になっています。

 メインテーマは、迷いつつ手探りで希望を探していく灯の心情を描写するような、心に残る旋律。「凛とした哀愁感」を出そうとしたそうです。ピアノからチェロ、ストリングス、ホルン、トランペットと音色を変えて展開していく1曲目「希望の灯」がいい。同じモチーフが「'堂本灯'のテーマ」では力強く、「母、何が尊いかを知っている」ではバンジョーで明るく、「弁護する… その哲学」ではチェロでしっとりと演奏される。

 メインテーマIIは、杉崎の屈折した心情を描写する主題。スライドギターで演奏される「過ぎ去った日々の記憶」は、北村一輝の表情が浮かぶよう。弦とピアニカが奏でる「凛とした魂、封印された優しさ」は、杉崎が内に秘めた優しさがテーマ。これが、メインテーマIIの基本の曲だそうです。

 さまざまに表情を変える2つのテーマ曲以外にも、印象深い曲があります。
 ギターのリフから入る「HEART BEAT A2Z 事件から裁判まで」は、特撮もので言うなら「出動」のテーマにあたるような曲。灯が決意を胸に行動を開始する場面によく使われて、鮮烈な印象を残しました。本作の聴きどころの1つです。ジャズのセッションのスタイルで録音された「追跡のテーマ」は、刑事ドラマのBGMにも使えそうなカッコいい曲。灯・杉崎としばしば敵対関係になる法律事務所エムザのテーマには、バロック風の旋律があてられているのも面白い。

 曲名も凝っています。たとえば、「ひと時のやすらぎ。気持ち、決して晴れるわけではない」。単に「やすらぎ」にしてしまいそうなところを、ひとひねりしてある。曲名は長くなりますが、おかげで、作曲意図がよくわかる。

 ブックレットはシンプルなものながら、金子隆博自身の解説・コメントがついて、興味深く音楽を聴くことができます。最近はブックレットにはスタッフクレジットだけで、解説文や作曲者コメントなどがないものが多いのですが、やはりサントラには解説が必要。あると、より楽しめるし、繰り返し聴きたくなると思うのですよ。

 『ホカベン』の音楽は、ハートウォーミングな曲からアップテンポの躍動感のある曲まで、スタイルは幅広く、どれもが作品の主題をしっかりと表現している。金子氏の映像音楽作家としての才能をびしびし感じます。もっともっとサントラの仕事、してほしいですよ。

ホカベン オリジナル・サウンドトラック

 : ホカベン オリジナル・サウンドトラック

« 東京ムービー作品サントラ、続々登場! | トップページ | ちょっぴり大人の世界へ 山下康介の「瞳」「Arround 40」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 守るものはなんですか?「ホカベン」:

« 東京ムービー作品サントラ、続々登場! | トップページ | ちょっぴり大人の世界へ 山下康介の「瞳」「Arround 40」 »