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2008年12月22日 (月)

冨田勲×藤原道山「響 -kyo-」

 今回紹介するのは、以前このブログでも紹介した「響 -kyo-」。冨田勲作品を尺八奏者の藤原道山が演奏したアルバムです。

 この企画を知ったとき、宇宙的・未来的イメージのある冨田サウンドに尺八がはたして合うのか?とちょっと不安に思ったものですが、結果は杞憂。もちろん、和のイメージの楽曲が選ばれているということもありますが、尺八の響きによって冨田サウンドの新たな魅力を感じさせるアルバムに仕上がっています。
 アレンジは数曲をのぞいて冨田先生本人。2ch/5.1ch SACDと2ch CDのハイブリッド仕様。サラウンドシステムがあれば、5.1chの音の広がりを体験できます。

 幸運にも冨田先生のお話をうかがう機会がありました。

 藤原道山のソロアルバムとして作られた今回のアルバム。ふつうなら、バックの演奏は伴奏に徹するところだが、今回は、ソロ楽器と対等の位置づけでアレンジしたとのこと。
 圧倒的な広がりと繊細な響きはまさに冨田サウンド。冨田ファンにもじゅうぶん楽しめる内容になりました。

 音の配置にも工夫をこらし、音を左右に振ったりするのではなく、360度、音に包まれているように聴こえる効果をねらっています。これは、われわれの生活で聴こえる音は、本来2chステレオではなく、周囲からまんべんなく聴こえてくるのが自然だから、その姿に近づけたかったのだとのこと。
 そして、音のタイミングにも工夫が。弦の音などを少し遅らせて鳴らすことで、スピーカーの位置よりも、さらに遠くで音が鳴っているように聴こえるサウンド設計をしているのです。

 ですから、このCDはちゃんとしたサラウンド環境で聴くのが一番楽しめる。冨田先生の意図した音で聴くことができるしくみになっています。

 たとえば「武士の一分」には刀で人を斬る音が挿入されているのですが、サラウンドで聴くと、まず背後で人が斬られ、次に前で人が斬られ、最後は自分が斬られるのが体験できるのだとか。

 とはいえ、ヘッドフォンで聴いても、冨田サウンドの豊かな響きと魅力的な旋律は十分に楽しめます。

 収録曲の中では、源氏物語を題材にした「藤壺・管弦の宴」「紫の上挽歌」がまさに尺八と冨田サウンドの饗宴という仕上がり。「文五捕物絵図」の速いパッセージは尺八向けでないのでは?と思いましたが、さすが藤原道山氏。スピード感のある演奏です。山田洋二監督の映画「武士の一分」「たそがれ清兵衛」のテーマ、NHK番組「街道をゆく」「新日本紀行」のテーマなど、日本人の心に染みるサウンドもしみじみといい。

 また、「アジア古都物語」から「ガンジス川」「ヒンズーの神に祈る少女」と続く一連の曲は、アジアの広大な大地と悠久の歴史を尺八とシンセサイザーで表現した、いかにも冨田勲らしい曲。雄大で、幻想的で、ダイナミックな響きに魅せられます。

 ちなみに「街道をゆく」でヴォーカルを担当しているのは、テルミン奏者のやの雪さん。やのさんはステージでときどきヴォーカルを披露することもあり、その声に魅力を感じた冨田先生がやのさんに参加をお願いしたのだとか。実はやのさんは筆者のテルミンの先生でもあります。
 ほかにも、児童合唱は東映アカデミー、パーカッションには梯郁夫、二十五弦箏が伊福部作品の演奏でおなじみ野坂操壽と、劇音楽にも縁の深いミュージシャンが参加しています。
 そして、「お爺さんの里」に登場する女の子のヴォーカルは藤原道山氏の娘さん。共演者にも注目なのです。

 収録曲の中で、「ひぐらし」は藤原道山氏の即興演奏に冨田先生が背景音をつけたもの。また「文五捕物絵図」と「新日本紀行」のアレンジは冨田先生ではなく、冨田先生の教え子である大嶋大輔さんの手によるものです。全曲冨田アレンジで聴きたかった・・・という思いもありますが、アルバムトータルで聴くと、たしかにこの2曲がいいアクセントになっているのですね。


<収録曲>

  1. 藤壺・管弦の宴 ~「源氏物語」より
  2. 武士の一分
  3. 文五捕物絵図
  4. たそがれ清兵衛
  5. 仏法僧に寄せる歌
  6. 街道をゆく
  7. アジア古都物語
  8. ガンジス川
  9. ヒンズーの神に祈る少女
  10. ひぐらし
  11. 紫の上挽歌 ~「源氏物語」より
  12. 浮舟 ~源氏物語より~
  13. 新日本紀行
  14. お爺さんの里

響 -kyo- 藤原道山×冨田勲
 SACDですがハイブリッド仕様なので通常のステレオで再生できます。

 : 響 kyo

鳳来寺山のブッポウソウ/新日本紀行ふたたび 冨田勲 [MAXI]
 NHK「みんなのうた」のために書かれた曲。冨田先生にとって仏法僧は思い出のある鳥だそうで、歌でも取り上げることに。『響 -kyo-』収録の「仏法僧に寄せる歌」と対をなす作品です。「新日本紀行ふたたび」はヴォーカル・ヴァージョン。

 : 鳳来寺山のブッポウソウ

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