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2020年7月
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2009年2月

2009年2月21日 (土)

2月20日 minimums Live ~冬の空~

 2月20日、南青山のMANDALAで開催されたminimumsのライブに足を運びました。

 「冬の空」と題された今回のライブですが、隠しテーマは「スペイン」。ラテン風味たっぷりの熱いライブになりました。

 1曲目は「冬」にちなんで、ピアソラの「ブエノサイレスの冬」。
 2曲目も冬のイメージの濃い、ビートルズの「ノルウェーの森」。タールという中東の楽器やエクタールというインドの一弦打楽器をフィーチャーしたアレンジが斬新。山下由紀子さんのパーカッションは目でも楽しめます。
 つづいて、村松崇継さんの曲「アコー」と「彼方の光」。「彼方の光」は村松さんのアルバム「Piano Sings」にも収録されています。
 ショパンの「幻想即興曲」のminimums風アレンジをはさんで、1st setラストはドミニカ出身のジャズ・ピアニスト、ミシェル・カミロ作の「Caribe」。マリンバとパーカッションの強烈なかけあいで白熱のプレイになりました。

 2ndはminimumsオリジナルの「Baile」から。
 2曲目がミシェル・カミロとフラメンコ・ギターの名手、トマティートのアルバム「スペイン」より「LA VACILONA」。もう、会場はすっかりラテンの雰囲気です。
 3曲目はバッハをマリンバとパーカッションにアレンジした「小フーガ ト短調」。原曲と印象の異なる新しい曲に生まれ変わってます。
 次の「Reel  Around the Sun」は、アイリッシュダンスとケルト音楽が融合したミュージカル「リバーダンス」からの曲。「リバーダンス」はminimumsが好んで取り上げる作品です。ボーランというアイルランドの太鼓やアイリッシュダンスのリズムを取り入れて、ケルト風味を出しつつもパーカッシブなアレンジ。3人が奏でるリズムが複雑にからみながら、大きなうねりを作りだしていく。興奮の1曲でした。
 ラストはやはり、村松崇継さんの「紙について思う僕のいくつかのこと」。そしてアンコールには、ずばりチック・コリアの「スペイン」で締め。

 寒い冬の夜を熱くするライブでしたね。

 昨年はDVD発売にドラマ音楽への進出など大活躍だったminimums。今年も進化するminimumsを楽しみにしています。


<セットリスト>

1st set

  1. ブエノサイレスの冬 (ピアソラ)
  2. ノルウェーの森 (ジョン・レノン&ポール・マッカートニー)
  3. アコー (村松崇継)
  4. 彼方の光 (村松崇継)
  5. 幻想即興曲 (ショパン)
  6. Caribe (ミシェロ・カミロ)

2nd set

  1. Baile ~情熱の踊り~ (minimums)
  2. LA VACILONA (ミシェル・カミロ&トマティート)
  3. 小フーガ ト短調 (バッハ)
  4. Reel Around the Sun (ビル・ウィーラン「リヴァーダンス」より)
  5. 紙について思う僕のいくつかのこと (村松崇継)

アンコール

  • スペイン (チック・コリア)

2009年2月20日 (金)

村松崇継待望のソロ・アルバム「Piano Sings」

 ほんとうにいい曲書くなぁ。
 村松さんのソロアルバム「Piano Sings」を聴いて、しみじみそう思いました。

 2月18日に発売された村松崇継ソロアルバム「Piano Sings」。メジャーレーベル(東芝EMI)からの初のソロアルバム・リリースです。全曲の作編曲とピアノ演奏を村松さんが手がけています。

 数々のドラマ、映画、アーチストへの楽曲提供などで活躍してきた村松さんですが、一般的な知名度は、まだ、いまひとつかもしれません。でも、プロのミュージシャンや業界内にファンが多い。「知る人ぞ知る」という作家です。でも、私は、村松崇継さんは将来日本の映像音楽界をしょって立つ存在になると思ってるのですよ。

 でも、そういう言い方は村松さんの本意ではないかもしれません。

 職業音楽家として売れっ子になり、忙しくなるにつれ、自分本来の音楽を見失いかけている。「このままでは音楽家としてダメになるんじゃないか?」。仕事に追われる日々の中で、村松さんはそんなふうに感じたそうです。そして、自分本来の音楽をもう一度見つめなおそうと挑んだ意欲作がこのアルバムなのです。

 音楽仲間の信頼厚い村松さんだけに、参加ミュージシャンも豪華。ストリングスが篠崎正嗣グループ、パーカッションがminimumsの山下由紀子、ベースが齋藤順、二胡がジャー・パンファンというメンバー。齋藤さんは昨年の菅野祐悟コンサートにも出演されていましたね。

 収録曲は、村松さんが手がけた映像音楽作品とオリジナル曲。ドラマや映画の音楽が、ソロ・アルバムならではアレンジで生まれ変わっています。たとえば、「だんだんのテーマ」は村松さんのピアノソロで収録。「Magic Is Gone」はWOWOWのドラマ『君ののぞむ死に方』の主題歌を、新たな解釈でリアレンジしたもの。「魍魎の匣」は「人間ドラマ」という観点から映画のテーマ曲を新たに演奏したナンバーです。

 また、「命のうた」は、ドラマ『だんだん』の後期用の曲(だからサントラには収録されていない)。双子歌手としてデビューしたのぞみとめぐみがはじめて作るオリジナル曲という設定で書かれた、感動的な人生賛歌です。

 オリジナルもいい。1曲目に置かれた「DEPERTURE」は、村松さんが音楽家としての再出発の決意を込めた曲。躍動するピアノに、“飛翔”のメッセージが伝わります。村松さんの恋愛観(?)を表現した「No Other Love」は壮大なラテン曲。スリリングな「Feel The World」には環境破壊への警鐘の思いが込められています。コーラスや二胡がからむ「Asian Future」はエキゾティックでありながら、胸に染みる。そして、「真実の行方」は現代社会でがんばる人に捧げる応援の曲。それぞれに深いテーマがあり、アルバムの中でも刺激的なスパイスになっています。

 昨年末に開催された関係者向けコンベンションの席で、村松さんは「Piano Sings」について、こんなふうに語っていました。

「このアルバムは“ピアノを通して歌おうと”いうコンセプトで作りました。すべての曲に歌があり、各曲にメッセージが込められています。聴いてくださる方の応援歌になればうれしいです」

 村松さんのファンはもちろん、「村松崇継ってどんな作家?」という方にも、ぜひ聴いていただきたい1枚です。

 5月には、本アルバムの発売を記念して、福岡、広島、大阪、東京をめぐるコンサート・ツアーも行なわれます。都合のつく方は、ぜひ足を運んで、村松さんの生のピアノを聴いてみてください。


<収録曲リスト>

  1. Departure
  2. 誕生 (NHK『日本の、これから』2005年6月24日&25日放送「人口減少社会」番組内ドラマテーマ曲) 
  3. だんだんテーマ曲 (NHK連続テレビ小説『だんだん』テーマ曲 ピアノ・ソロ・ヴァージョン)
  4. The Magic Is Gone
  5. あなたがいるから (映画『誰も守ってくれない』主題歌 ピアノ・ソロ・ヴァージョン)
  6. 魍魎の匣 (映画『魍魎の匣』テーマ曲)
  7. Feel The World
  8. 彼方の光 (NHK土曜ドラマ『氷壁』主題歌 ピアノ・ソロ・ヴァージョン)
  9. Asian Future
  10. 命のうた (NHK連続テレビ小説『だんだん』挿入歌 ピアノ・ソロ・ヴァージョン)
  11. 真実の行方
  12. クライマーズ・ハイ (映画『クライマーズ・ハイ』テーマ曲 ピアノ・ソロ・ヴァージョン)


Piano Sings 村松崇継

 : Piano Sings

2009年2月17日 (火)

月刊「Newtype」連載終了

 2004年4月号から続いてきた月刊「Newtype」(角川書店)の連載コラム、今発売中の3月号をもって終了することになりました。

 最初は「空想音楽探偵団」のタイトルで、2006年1月号からは「作曲家名鑑」、2008年5月号からは「劇伴(劇盤)最前線」とタイトルと内容を変えて書かせていただきました。
 延べ連載回数は60回。まる5年間でした。

 ずっとサントラにこだわってきたコラムでしたが、サントラの人気がいまひとつのこの時代、出番は終わったというところでしょうか。

 「ガンダム」「マクロス」「エヴァ」といった売れ筋ではなく、あまり注目されてない作品や作家を積極的に取り上げて、サントラの面白さ、楽しみ方を読者に知ってもらえたらと思って書いていましたね。

 はっ、だから人気なかったのかも…(^_^;

 800字に満たないコラムのために作曲家に取材に行ったりして、個人的にも楽んだ仕事でした。

 最後の1年は、サントラを取り上げる「劇伴最前線」とドラマCDを取り上げる「劇盤最前線」と、1ヶ月おきに交代に連載という形式でした。

 サントラ冬の時代の象徴でしょうか。

 最終回で取り上げたのは、「Yes! プリキュア5 GoGo!」。
 私の仕事です…。
 これで最後とは思ってなかったんですけど、記念になりました。

 私のささやかな連載で、「おすすめのサントラを聴いてみた」「サントラに注目するようになった」という人が一人でもいてくれたらうれしいです。

 またどこかでお目にかかりましょう~

2009年2月16日 (月)

冒険活劇音楽!「K-20 怪人二十面相・伝」

 昨年12月に公開され、現在もロングラン上映中の映画『K-20 怪人二十面相・伝」。特撮冒険活劇の快作です。

 もともと北村想の原作『怪人二十面相・伝』とその続編『青銅の魔人』を読んでいてファンだったので、『エコエコアザラク』の佐藤嗣麻子監督がどんな映画にしてくれるだろうと、楽しみにしていたのですね。そしたら、冒頭からびっくり! 「ス、スチームパンク・・・?」と絶句(心の中で)です。が、観ているうちに、心地よいトリップ感に包まれていきました。「これは怪人二十面相のために作られた“なんでもありの世界”なんだなぁ」と腑に落ちれば、あとはこのすばらしい虚構を楽しむだけです。

 日本でもこんな大冒険活劇が作れるのだと、うれしくなってしまう映画です。宮崎アニメっぽいところがありますが、それを実写で、生身の人間でやってしまえるのがスゴイ。

 音楽は佐藤直紀さん。スケールの大きいオーケストラ曲を提供しています。
 メインテーマは監督から2回リテイクされて、計3曲書いたそうです。採用されたのは2番目に書いた曲。「怪人二十面相」という題材から、もっとアンチヒーロー的な、ダニー・エルフマンの『バットマン』のテーマみたいな曲で来るかと思ったら、メジャーコードのマーチ。最初、ワーグナー風かとも思いましたが、聴き直してみるとそうでもない。もっと明るい、エルマー・バーンスタインに通じるような突き抜けた爽快感のある曲です。このテーマは、平吉の決意をあらわす「DETERMINATION」、二十面相が活躍する場面の「I AM K-20」に変奏されています。

 二転三転するサスペンスと活劇の連続の映画だけに、サントラも全曲聴きどころと言ってよい出来。ダイナミックな「TRAP AND MISUNDERSTANDING」をはじめ、重厚なミリタリー曲「MILTARY MARCH」、特撮好きにはたまらないSF的大じかけ登場場面の「TESLA TOWER」、ずばり“闘い”と題された「BATTLE」など、サスペンス曲、アクション曲にことかきません。なかでも、緊迫とともに盛り上がる情感を表現した「NEGOTIATION」は印象に残ります。

 ほっと一息つかせてくれるのが、佐藤直紀らしい繊細な旋律を持つ曲の数々。松たか子演じる葉子のテーマ「YOUKO」はジョン・ウィリアムズの「レイア姫のテーマ」を彷彿させる愛のテーマ。星空が目に浮かぶような「NIGHT WITH GLITTERING STARS」はロマンティックな場面で使用。そして、ホルンとピアノ、ストリングスのアンサンブルが未来への希望を歌う「ONE'S WAY」は、「これぞ佐藤直紀節」と呼びたくなる、心にぐっとくる音楽です。

 佐藤嗣麻子監督はメインテーマを決めたあとはほとんど音楽にはノータッチだったそうです。だから、この映画音楽には、佐藤直紀さんなりの音楽演出の考え方が反映されている。それは、映画の情感をリードするストレートな映像音楽。佐藤嗣麻子監督は佐藤直紀さんのことを「演出家」と評していますが、うなずける言葉です。

 ラストにはメインテーマがふたたび登場。「NEW WORLD」と題されています。ここにきて、このテーマは「新世界」をイメージしていたんだ、とわかる。その意味するところは、「この世界から見た希望の未来」であり、「われわれの世界から見たもうひとつの歴史の世界」でもあるのでしょう。二重の意味で、虚構の持つ力を象徴した曲だと思いました。

 ブックレットには佐藤嗣麻子監督の佐藤直紀さんへのメッセージと、佐藤直紀さんのコメントを収録。うれしい内容です。

 同じスタッフ・キャストで続編にも期待ですよ!

K-20 怪人二十面相・伝 オリジナル・サウンドトラック
 燃えるデザインのスリーブケース入り! インナージャケットは別デザインです。

 : K-20 怪人二十面相・伝 オリジナル・サウンドトラック

2009年2月15日 (日)

2月11日 Project.R 1st ライブ!

 2月11日。渋谷O-Eastで開催されたProject.Rの1stライブに足を運びました。

 Project.Rは、『炎神戦隊ゴーオンジャー』のために結成された音楽ユニット。演奏のためのユニットであるだけでなく、楽曲づくりも含めた音楽スタッフ全体のユニットとして設定されています。だから、本編音楽の大橋恵さんも、選曲の宮葉さんも、コロムビアの八木ディレクターもProject.Rの一員。これまでにない試みでした。

 この日は、そのProject.Rがかかわったゴーオンジャーの歌を一挙に演奏しようという1stライブです。

 参加したアーチストは、主題歌の高橋秀幸さんはじめ、Project.Rの大石憲一郎さん、谷本貴義さん、Sister MAYOさん、岩崎貴文さん、高取ヒデアキさん、五條真由美さん、サイキックラバーのお二人(YOFFY&IMAJO)と、スペシャルゲストとして登場した、串田アキラさん、Mojoさん、宮内タカユキさんの総勢12人。

 会場は、1曲目の「炎神戦隊ゴーオンジャー」からノリノリでした。休憩なしの2時間のステージ。終始テンションは高く、炎神ラップに出ずっぱりのSister MAYOさんなんて踊りっぱなし。

 五條真由美さんが谷内さんと二人で歌う「テイクオフ!ゴーオンウィングス」が生で聴けたのも感動でした。

 串田さん、Mojoさん、宮内さんの3人は、『ゴーオンジャー』の持ち歌のロボソングを歌ったあと、それぞれの想い出深い戦隊ソングを歌唱。『太陽戦隊サンバルカン』『科学戦隊ダイナマン』『超電子バイオマン』。そして、この3人が登場したら、この歌を歌わなければ!という曲を3人で歌ってくれましたよ。オリジナルビデオ『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』のエンディング曲として渡辺宙明先生が作曲した「伝説」です。

 続いては戦隊ソングメドレーとなり、「忍風戦隊ハリケンジャー」「特捜戦隊デカレンジャー」「魔法戦隊マジレンジャー」「轟轟戦隊ボウケンジャー」「獣拳戦隊ゲキレンジャー」とオリジナル歌手で歌い継ぐ感涙の展開。

 ゴーオンジャーソングに戻って、最後は「炎神ファイナルラップ」で締め。アンコールは、サイキック・ラバーが歌う「侍戦隊シンケンジャー」。そして、最後は主題歌を全員でもう一度歌って終了です。

 これまでにも戦隊ソングライブはあったと思いますが、ひとつの番組だけでライブを開催するのは戦隊シリーズ史上はじめてのこと。Project.Rは今年も続くそうですので、最新作『侍戦隊シンケンジャー』も、音楽に注目して見守っていきたいと思います。

 お疲れさまでした!

炎神戦隊ゴーオンジャー全曲集 ソンググランプリ

 : 炎神戦隊ゴーオンジャー全曲集 ソンググランプリ

侍戦隊シンケンジャー 主題歌 [限定版 秘伝動画からくり箱入り]

 : 侍戦隊シンケンジャー 主題歌

2009年2月10日 (火)

2月8日 五條真由美 まいおた2009

 2月8日、五條真由美さんのバースデーライブ<まいおた2009>に足を運びました。
 会場は三軒茶屋の<グレープフルーツ・ムーン>。

 3回目となるこのイベント。五條さんのちょっと普段着のライブが楽しめます。歌の合間に抽選会やバースデーケーキの火を消すコーナーもしっかりあり、五條さんの誕生日をネタにみんなで楽しもうという会なのですね。2時間があっという間のあたたかいライブでした。

 今年は『おジャ魔女どれみ』挿入歌でデビューして10周年を迎える五條さん。今回は、おジャ魔女の曲、プリキュアの曲もまじえて、いつもよりアニメソングの多い印象でした。
 なかでも、「おジャ魔女どれみ」メドレーと、キュアカルテットとして4人で歌っていた「プリキュアモードにSWITCH ON!」をソロで歌ったヴァージョンには感動。「おジャ魔女」はいい歌多いんですよね。

 ハッ、五條さんがデビュー10周年ということは、『おジャ魔女どれみ』も10周年? 記念にベストアルバムでも出したいものです。

 私が五條さんと始めて会ったのは、某プリキュアではないアニメの録音スタジオでした。まだ『MaxHeart』が始まったばかりのころでしたね。その後、プリキュアのライブステージなどでよくお目にかかるようになり、私も差し入れやお花を持っていくようになったわけですが、気取らない人柄も魅力的な歌声もまったく変わってませんね。
 これからもよい歌を聴かせてください!

 五條さんのホントの誕生日は2月12日なんですが、一足はやく、誕生日おめでとうございます!


<set list>

1st set

  1. 願い月
  2. まだ恋してる
  3. DIAMONDS
  4. スローブルー
  5. 午前四時
  6. Private Smile
  7. Believe

2nd set

  1. Alfie(洋楽カヴァー)
  2. おジャ魔女どれみメドレー(魔法でチョイ2~10秒かぞえて~ピリカピリ ラッキー!)
  3. プリキュアモードにSWITCH ON!
  4. Sound ~ いつまでも これからも
  5. DANZEN!! ふたりはプリキュア ver.MaxHeart
  6. ワケあり

アンコール

  • Birth

2009年2月 7日 (土)

佐藤直紀のプリキュアサウンドを締めくくる1枚 「Yes!プリキュア5 GoGo!」

 先ごろ放送終了した『Yes!プリキュア5 GoGo!』のサウンドトラック第2弾が発売されました。
 私は構成・解説とインタビューを担当しています。

 新シリーズ『フレッシュプリキュア』をご覧になった方はご存知と思いますが、今シリーズから音楽は佐藤直紀さんから高梨康治さんにバトンタッチ。ロックを基調とした新しいプリキュアサウンドに生まれ変わりました。
 ですから、この『Yes!プリキュア5 GoGo!』サントラ2が、佐藤直紀さんによるプリキュアサウンドの締めくくりとなるアルバムなのです。

 今回は第2回録音曲に重点を置いて構成しました。アルバム前半は比較的ユーモラスな曲を中心に、後半から終盤になるにつれ、シリアスな展開になる流れにしています。

 本編では、フローラと館長とシロップはもう少し深い因縁があるのかと思っていたんですが、そうでもなかったのがちょっと肩透かしでした。たとえば、フローラと館長は『宇宙戦艦ヤマト』のスターシャとデスラーみたいな関係で、館長とシロップ、またはフローラとシロップの間には、驚くべき秘密が・・・!とかなんとか思って、構成するときもいろんなシチュエーションを考えてみたんですが、深読みしすぎでしたねぇ。

 収録曲の中では、ミルキィローズの新必殺技の曲「ミルキィローズ・メタルブリザード」のカッコよさに注目です。また、冒頭に置いた「プリキュア大都会に現る!」や「ラプソディ・プリキュア」「美しきマジシャン」など、ジャジーな曲が多いのも今回の特徴。
 「浦島かれんと亀ミルク」「りんちゃんVS大江戸妖怪!」「月世界のかぐや姫」は和風3部作で、番組をご覧になっていた方は曲タイトルを見てピンとくるでしょう。
 「続けて読めばマスコミか!?」は、準レギュラーである新聞部・増子美香のテーマとして収録。本来は彼女の曲として作られたわけではないのですが、劇中、美香の登場シーンに流れていたので、彼女のおなじみの台詞を曲名にしてみました。
 壮大な曲想の「奇跡を呼ぶバラ」は最終回でもクライマックスのよいところで流れていました。ここは予想的中というところです。

 ブックレットには、佐藤直紀さんのインタビューを掲載。プリキュアにかかわった5年間を振り返っていただきました。佐藤さんが5年間に書いた曲数は400曲を優に超えるはず。「シリーズを重ねるにつれて、だんだんとストレートでわかりやすい曲が出てこなくなって苦しかった」とおっしゃっていましたが、プリキュアシリーズを離れることには寂しい気持ちもあるとのこと。私自身、お話をうかがいながら感慨深いものがありました。

 今回のアルバムの最後には、ボーナストラックとしてプリキュア主題歌メドレー「DANZEN!まかせて☆フルスロットルGoGo!!」を収録しました。昨秋公開された短編映画『ちょ~短編 プリキュアオールスターズ GoGoドリームライブ』のために作られた歌です。
 『MaxHeart』『SplashStar』『プリキュア5 GoGo!』の主題歌3曲をメドレーで歌い継ぐこの歌、編集でつないだのではなく、新録音なんです。歌っているのも、五條真由美、うちやえゆか、工藤真由、のオリジナルシンガー3人。ぜいたくな1曲なんですよ。
 『ふたりはプリキュア』からスタートしたプリキュアシリーズ5年間を総括する意味で、また、春公開の映画『プリキュアオールスターズDX』の予告編として、「アルバムの締めくくりはこの曲で」と決めました。これまでのシリーズを振り返りながら聴いていただけたらうれしいです。


<収録曲リスト>

  1. プリキュア大都会に現る! (V-315)
  2. プリキュア5、フル・スロットル GOGO! (TV size)
  3. 館長の秘密 (V-308[ver1])
  4. ないしょの話 (V-312)
  5. ラプソディ・プリキュア (V-313)
  6. 魔女の誘い (V-224[Timpani Cut])
  7. 浦島かれんと亀ミルク (V-316)
  8. りんちゃんVS大江戸妖怪! (V-318)
  9. 月世界のかぐや姫 (V-317)
  10. 続けて読めばマスコミか!? (V-314)
  11. 危険な二人組 (V-305)
  12. 超速の猛攻 (V-307)
  13. ミルキィローズ・メタルブリザード! (V-302)
  14. ツインテールの魔法 (short size)
  15. 美しきマジシャン (V-304)
  16. 悩めるブンビー (V-306)
  17. 衝撃の真相 (V-309)
  18. 折れた心 (V-311)
  19. 決戦!エターナル (V-218)
  20. プリキュア5、フル・スロットル GOGO! Instrumental Version (V-206)
  21. 輝くキュアフルーレ! (V-301)
  22. 奇跡を呼ぶバラ (V-303)
  23. 夢に向かって (V-310)
  24. ガンバランス de ダンス ~希望のリレー~ (TV size)
    ~スペシャル・ボーナストラック~
  25. DANZEN!まかせて☆フルスロットルGoGo!!

Yes! プリキュア5 GoGo! オリジナルサウンドトラック2 プリキュア・サウンド・フルーレ!!

 : Yes! プリキュア5 GoGo! オリジナルサウンドトラック2

2月5日 平原まこと×宮川彬良~2人のオーケストラ

 「世界で一番小さいオーケストラ」(by 宮川彬良)。その魅力を存分に聴かせてくれたコンサートでした。

 2月5日、浜離宮朝日ホールで開催された「アキラさんとまこと君~二人のオーケストラ」に足を運びました。「アキラさんとまこと君」とは、サックス奏者・平原まことさんと作曲家・ピアニストの宮川彬良さんの二人が結成したデュオの名前です。全国各地でコンサートを開催し、久しぶりに東京に戻ってきたのです。待っていましたよ!

 お二人の演奏はライブハウスで何度か聴いていますが、クラシックホールでの演奏ははじめて。私にとって昨年末の斉藤由貴コンサート以来となる浜離宮朝日ホール。やはり、その音響のすばらしさにうっとりとなりました。彬良さんも、「音楽を待っている空気が満ちている、すばらしいホール」と感嘆のことば。そのとおり、PAを使わない生ピアノと生サックスの演奏が、豊かな広がりとくっきりした輪郭を伴って聴こえます。いつにも増して、平原まことさんのサックスの音が胸に染みわたりました。

 2部構成で、1部は彬良さん作曲の「風のオリヴァストロ(オリーブの風)」から。続いて、モリコーネの『ニューシネマ・パラダイス』から4曲をメドレーで。甘く哀愁あるソプラノサックスの音に客席はうっとり。

 続いては、お二人のお得意のネタ、ゴスペル風「サッちゃん」と音楽の大発見「あんたがたどこさ」の2曲をテナー・サックスで。山田耕作の「からたちの花」、平原さんのオリジナル曲「マリアズ・ムーン」、そして、1部ラストは彬良さんの「アリエスの星」。
 「アリエスの星」はその魅力的なメロディに惚れた平原綾香さん(まことさんの次女)が、「この歌を私にください」と彬良さんに頼み込んで、自分で詩をつけて歌ったという曲。今回はオリジナルのサックス・ヴァージョンを心ゆくまで楽しみました。ほんと、何度聴いてもいいです。

 第2部のスタートは、平原さんのクラリネットで、デューク・エリントンの「ムード・インディゴ」。本来、トロンボーン+トランペット+クラリネット+ピアノという編成で演奏されるこの曲、彬良さんがトロンボーンのメロディを声(スキャット)で聴かせるというユーモラスな趣向でした。彬良さんは弾き語りで歌も披露。新しいネタを聴かせていただきました。

 続いて宮川彬良さんの曲を2曲。彬良さんが出演しているNHK教育TVの番組『クインテット』から生まれたという、コミカルな「ただいま考え中」。そして、NHKで放送されたアニメ『風の少女のエミリー』から、BGM3曲をメドレーにした組曲を演奏。
 この『エミリー』のコーナーは感動しました。彬良さんは、「テレビで放送されただけで消えてしまう音楽たちをステージの上で生かしてやりたい」との思いから、このプログラムを取り上げたそうです。クラシックとして聴かれている多くの曲も、もともとは舞台で演じられる芝居や踊りのための曲だったわけですから、テレビアニメのための音楽がステージで演奏されることも不自然ではありません。音楽が長い命を得て残っていくためには、こうして、何度も演奏し、人に聴いてもらう機会を作ることが必要なのでしょう。

 次は、「わが心のジョージア」と「ふるさと」をアルトサックス、テナーサックスと持ち替えて続けて演奏。じーんと心にしみる演奏でした。

 ラストは平原さんのオリジナルアルバムから「Heart」。

 アンコールは、やはり彬良さんのコンサートにこの曲なしでは!という「マツケン・サンバII」。客席もいっしょに盛り上がったあと、ベニー・グッドマンの「Memories of You」をクラリネットでムーディーに歌って締め。笑って、じーんとして、楽しんで、と彬良さんが得意とするミュージカルのようなコンサートでした。

 終演後、楽屋でごあいさつ。平原まことさんもホールの音のよさは感心されていました。宮川彬良さんからは音楽を担当したという驚くべきアニメの情報が! 4月から放映だそうですが、今から楽しみです。


<セットリスト>

第1部

  1. 風のオリヴァストロ(オリーブの風)  (宮川彬良)
  2. ニューシネマ・パラダイス (エンニオ・モリコーネ)
  3. サッちゃん (大中恩)
  4. あんたがたどこさ (わらべ歌)
  5. からたちの花 (山田耕作)
  6. マリアズ・ムーン (平原まこと)
  7. アリエスの星 (宮川彬良)

第2部

  1. ムード・インディゴ  (デューク・エリントン)
  2. ただいま考え中 (宮川彬良)
  3. 組曲「風の少女のエミリー」より (宮川彬良)
  4. Georgia on My Mind (Carmichael Hoagy)
  5. ふるさと (岡野貞一)
  6. Heart (平原まこと)

アンコール

  • マツケン・サンバII (宮川彬良)
  • Memories of You (ベニー・グッドマン)

アキラさんとまこと君 ふたりのオーケストラ
 二人がコンサートで演奏している曲をスタジオ録音した待望のアルバム。名曲「アリエスの星」も収録されています。

 : アキラさんとまこと君 ふたりのオーケストラ

風の少女エミリー オリジナル・サウンドトラック
 モンゴメリ原作による名作アニメの音楽集。宮川彬良による劇中曲を「交響詩」風の構成でまとめています。

 : 風の少女エミリー オリジナル・サウンドトラック

4つのL 平原綾香
 平原綾香のアルバムの中では私もお気に入りの1枚。宮川彬良がピアノで参加した「アリエスの星」ヴォーカル・ヴァージョンもいいです。

 : 4つのL

2009年2月 6日 (金)

村松節がたっぷり楽しめる「だんだん」

 前回に続いて村松崇継さんの話題。

 今期のNHK朝の連続テレビ小説『だんだん』の音楽を村松さんが担当しています。

 村松さんが朝ドラを手がけるのは2004年の『天花』についで2本目。『天花』のことは意識せず、新たな気持ちで挑んだそうです。作曲前にドラマの舞台である島根と京都を訪れて、土地の空気を感じ取ったとのこと。そのこだわりから、豊かな楽曲が生まれました。

 ひとつのトーンで統一された映画『誰も守ってくれない』の音楽とは異なり、こちらは連続ドラマらしく、情感曲からコミカル曲、アクション曲、不安曲まで、さまざまな曲想の楽曲が登場します。バラエティは豊かですが、どの曲も村松さんらしいメロディ、アレンジが生かされています。いわば、“村松節”がたっぷり楽しめるショーウィンドウ。サントラを聴いていると、「村松さんって、ほんとに音楽を作るのが好きなんだなぁ」と感じます。

 私のお気に入りは、「だんだんのテーマ」「母なる宍道湖」「赤い糸」「双子の絆」。
 「だんだんのテーマ」はそのままオープニングテーマにしてもよいようないい曲で、朝ドラらしいさわやかさと凛とした女性のイメージが伝わってきます。このメインテーマには島根と京都の祇園の両方の雰囲気が取り入れられているのだそうです。
 「母なる宍道湖」は物語のいっぽうの舞台・島根の湖の名をタイトルに含んだ曲。日本百景にも選ばれた宍道湖はシジミ漁でも有名。劇中のバンド・シジミジルの名の由来になっています。“ふるさと”をイメージさせる暖かくも切ないメロディが胸にしみます。
 「双子の絆」は主人公ののぞみとめぐみをテーマにした曲「TWINS」のオーボエ・ヴァージョン。明るく、ちょっぴりセンチメンタルなメロディラインがマナカナのキャラクターにぴったりです。
 弦と管楽器のアンサンブルが奏でる「赤い糸」も村松さんらしいロマンチックな1曲。

 サントラには、マナカナ演じる双子デュオが歌う曲も収録されています。劇中歌われる、松田聖子やザ・ピーナッツなどの歌謡曲カヴァーです。でも、村松さんの音楽がそれにまったく負けていないのがすごい。ぜひサントラで“村松節”を体験してみてください。

だんだん オリジナル・サウンドトラック
 1枚目がサントラ、2枚目がチャコ(六子)とシジミジルのヴォーカル・アルバムという構成の2枚組。竹内まりやが歌う主題歌「縁の糸」はインストヴァージョンで収録。

 : だんだん オリジナル・サウンドトラック

ふたりうた 茉奈佳奈
 「だんだん」ファンにはこちらも。劇中デュオがリアルにデビュー?と思ってしまうマナカナ・デビュー・アルバム。懐かしい歌謡曲の名曲をカヴァーしている。

 : ふたりうた

 そして、2月18日には、村松さんの待望のソロアルバム「ピアノ・シングス」が発売される予定です。一足早く聴かせていただきましたが、透明感のあるピアノ、映画音楽のダイナミズム、やさしさにあふれた美しいメロディ、と村松崇継の音楽性が凝縮されています。発売時にまた紹介しますね。

ピアノ・シングス 村松崇継
 オリジナル曲、映画音楽、ドラマ音楽などを新録音した村松崇継ソロ・アルバム。2月18日発売。

 : ピアノ・シングス

 

2009年2月 5日 (木)

祈りにも似た音楽 「誰も守ってくれない」

 加害者家族の保護という難しいテーマを扱った映画『誰も守ってくれない』。胸を締めつけられるような展開に一条の光のような救いを与えてくれていたのが、村松崇継さんの音楽でした。

 村松崇継さんというのは不思議な人で、現代音楽風の曲を書くかと思えば、美しい情感あふれる曲も書く。『魍魎の函』の妖しいまでの美しい音楽は忘れられません。

 今回、この『誰も守ってくれない』のサントラを聴いて、「あ、こういう美しいメロディこそが村松さん本来の持ち味なのだなぁ」と納得しました。物語は一種の逃避行ものですから、サスペンス曲やチェイス曲も使われているのですが、やはり「奪われた家族」「残された家族」「遠いプレゼント」などの情感あふれる楽曲が耳に残るのです。

 とりわけ、主題歌「あなたがいるから」の崇高なまでの美しさには感動するほかありません。歌っているのは、ボーイズ・コーラス・グループ“リベラ”。この主題歌を収録したリベラのアルバム「祈り~あなたがいるから」は、先日、オリコンのクラシック・チャートで1位に輝きました。ドラマ『誰も守れない』でも使われていたので、テレビで耳にした方も多いでしょう。リベラのアルバムに収録されているので、ぜひサントラとともに聴いてみてください。

誰も守ってくれない オリジナル・サウンドトラック
 主題歌「あなたがいるから」をピアノ・ソロ・ヴァージョンで収録。

 : 誰も守ってくれない オリジナル・サウンドトラック

祈り~あなたがいるから リベラ
 「あなたがいるから」ヴォーカル版を収録。天使の歌声を持つボーイズ・ヴォーカル・ユニット・リベラのアルバム。NHK土曜ドラマ『氷壁』の主題歌「彼方の光」も収録されている。

 : 祈り~あなたがいるから

魍魎の匣 オリジナル・サウンドトラック
 この怖い映画にこんな美しい音楽が! と鳥肌立つような村松さんの傑作。

 : 魍魎の匣 オリジナル・サウンドトラック

2009年2月 3日 (火)

2月1日 生きる 2009~若い命を支えるコンサート~

 私はフルート奏者・高木綾子さんのひそかなファンなのですが、彼女の演奏を生で聴いたことはありませんでした。いつか生で高木さんのフルートを聴きたい!と思っていたのです。

 2月1日にみなとみらいホール大ホールで開催されたコンサート「生きる 2009 ~若い命を支えるコンサート~」に足を運んだのはそんな理由からでした。

 2部構成で高木綾子さんは第1部後半に登場。前半では小学5年生のヴァイオリン・ソリスト東條太河くんがメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏し、喝采を浴びていました。

 高木さんは赤いドレスでステージへ。
 フランスの女性作曲家・シャミナードの「コンチェルティーノ」、ビゼーの「メヌエット」(「アルルの女」より)、グルックの「精霊の踊り」、名フルート奏者でもあったジュナンの「ヴェニスの謝肉祭」の4曲を演奏。ビゼーとグルックの曲はもともとは劇音楽で、いわば近代“劇伴”の元祖ともいうべき作品です。劇音楽(映像音楽)もこういう形でコンサートで取り上げられるようになるとスタンダード、クラシックとして残っていくんですよね。「ヴェニスの謝肉祭」のポピュラー音楽のようなオーケストレーションは、「これが19世紀の作品?」とちょっと驚きでした。
 小品中心ではありましたが、高木さんのフルートの豊かな音色が聴けたし、美しい姿を拝見できて満足まんぞく。

 第2部は館野泉さんのピアノをフィーチャーした、ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」から。

 私は海外のクラシック作曲家ではラヴェルとヴィラ=ロボスが圧倒的に好きで、そのラヴェルのあまり演奏される機会のない作品が取り上げられていることも、このコンサートの来た目的の一つでした。

 館野泉さんはピアノストとして世界各国でリサイタルを行なうなど活躍していましたが、2002年に脳出血で倒れ、右半身に麻痺が残りました。ピアニストとしては致命的とも思える障害を、館野さんは左手だけで演奏する訓練をすることで乗り越え、復帰を果たしたのです。「左手のピアニスト」。音楽ファンは館野さんを敬意をこめてそう呼ぶようになりました。林光や吉松隆ら多くの作家が館野さんのために左手だけで弾くピアノ曲を献呈しています。

 「左手のためのピアノ協奏曲」を聴くのははじめてですが、その迫力に圧倒されました。ラヴェルといえば、色彩豊かで官能的で、酩酊感を誘うオーケストラの魔術師。そんなラヴェルが書いた曲の中でも、きわめてダイナミックでドラマチックな曲ではないでしょうか。切れ目のない1楽章のみで演奏時間20分という特異な構成。ファゴットとコントラバスが奏でる導入からオーケストラの全合奏に至る劇的な序奏が終わると、一瞬間をおいて、館野さんのピアノが歌い始める。クラシックには不似合いな言葉ですが、「カッコいい!」というしかありません。

 その館野泉さんのピアノを生で聴けたことは、このコンサートの思わぬ収穫でした。深みのある力強いフォルテ。繊細で美しいピアニッシモ。左手だけで弾いているとは思えないフレージング。両手で自由に弾くピアノのような流麗さはないかもしれませんが、一音一音に命が宿っているかのような胸を打つ響きでした。

 私もちょびっとだけピアノを弾きますが、左手一本でどうやってこんな演奏ができるのか、驚きでした。すばらしい技術と表現力に裏打ちされた、命の響き。「生きる」と題されたコンサートにふさわしい名演でした。

 第2部のラストの曲はラヴェルの「ボレロ」。ラヴェルの作品の中でももっともポピュラーなこの曲、演奏を聴くたびに新しい発見があります。そして、アンコールには、舘野泉さんの現在の活動の拠点であるフィンランドにちなんで、シベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」。東京フィルのメンバーの舘野さんへの敬愛が感じられる粋な選曲と演奏でした。

 その後、偶然テレビで、やはり病気のため左手だけでピアノを弾く道を選んだ若い女性ピアニストのドキュメントを観る機会がありました(2月2日のNHK『挑戦』に登場の内藤裕子さん)。不勉強にして知らなかったのですが、左手だけのピアノ曲というのはけっこうポピュラーなものだったのですね。鍵盤の高音から低音まで、移動のタイムラグを聴衆に意識させないで自在に弾く技術は、やはり生半可な訓練では会得できないもの。その左手の指先が奏でる音には、音楽への愛とプロ魂が込められています。


<set list>

第1部

    東條太河(Vn)

  1. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 第1楽章
  2. 高木綾子(Fl)

  3. シャミナード:コンチェルティーノ
  4. ビゼー:メヌエット(「アルルの女」より)
  5. グルック:精霊の踊り
  6. ジュナン:ヴェニスの謝肉祭

第2部

    館野 泉(Pf)

  1. ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
  2. カッチーニ/吉松 隆編:アヴァ・マリア (アンコール)
     
  3. ラヴェル:ボレロ

アンコール

  • シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ

 下野竜也指揮/東京フィルハーモニー管弦楽団


EARTH 高木綾子
 クラシック曲に加え、村松崇継の書き下ろし「EARTH」を収録。「EARTH」はいかにも村松さんらしいイメージ喚起力のある楽曲。風吹く大自然の光景が目に浮かぶよう。生演奏で聴いてみたいものです。

 : EARTH

THE BEST 舘野泉  [Limited Edition]
 舘野泉さんが「左手のピアニスト」として復帰してからの演奏を集めたベスト盤。

 : THE BEST 舘野泉

2009年2月 1日 (日)

ステファニー×満島ひかり 地上最大の決戦 「プライド」

 久しぶりに映画を観終わったあとサントラを買いに走るという体験をしました。

 一条ゆかり原作、金子修介監督の映画『プライド』です。

 昨年放映された金子監督演出のドラマ『ヒットメーカー阿久悠物語』はこの映画の前哨だったのではないか?と思わせるような芸能界ものの力作です。見どころはステファニーと満島ひかりの火花散るバトル。金子監督は「怪獣映画のようなつもりで」演出したそうですが、その言葉どおり、全編にわたり繰り広げられる、ニ大怪獣(女優)の激突に息もつけません。

 特撮ファンは、なんといっても『ウルトラマンマックス』エリー役でおなじみの満島ひかりの堂々たる女優ぶりに注目。そして、彼女が劇中歌っている歌は、序盤のオペラのシーンを除いて一切吹き替えなしというのですから驚きです。
 満島ひかりはもともとダンス・ヴォーカル・ユニット Folder の一員として活動していたので歌の経験もあるわけなんですが、今回は「歌が主役」といってもよい作品。彼女の歌が映画の説得力を左右する鍵になっています。
 たとえば、高級クラブで1曲だけ歌うことを許された萌(満島)が、その歌声で客の注目を浴びるという重要な場面で披露される「太陽の花」。また別の場面で、ステファニー演じる史緒と萌がデュエットする「A Song for You」。そして、二人の感情がステージ場で激突するクライマックスの曲「あなたと歌うと」。
 劇中の聴衆といっしょに、彼女の歌に観ているこちらも胸をゆさぶられてしまう。「5オクターブのハイトーンヴォイス」と呼ばれるステファニーと互角にわたりあう歌唱力・演技力に感動しましたよ。

 満島ひかりは間違いなく、本作品以降女優として大きく飛躍していくと思います。

 その歌を聴きたくて「サントラを買いに」となったわけですが、もう一つ、映画を彩る劇中曲(サウンドトラック)もすばらしいものでした。

 音楽担当は清水信之。ポップスの世界ではアレンジャー、プロデューサーとして平松愛理やEPO、渡辺美里らの楽曲を手がけている清水さんですが、本格的な映画音楽はこれがはじめてでしょうか。映像音楽では名前を拝見したことがありません。
 しかし、『プライド』の音楽は「これぞ映画音楽」と呼びたくなるような名曲ぞろいです。弦とピアノ、ときにチェンバロの響きを生かしたバロック風のサウンドで、ドラマの情感をみごとにリード。「怪獣映画」らしく、盛り上げるところは最大振幅で盛り上げ、観客をぐいぐいと映画の世界に引きずり込んでいく。これが映画音楽ですよっ!!

映画「プライド」 オリジナル・サウンドトラック
 劇中の歌「太陽の花」「あなたと歌うと」も清水信之の作。ジャケットも「二大怪獣の激突」っぽい!?

 : 映画「プライド」 オリジナル・サウンドトラック

Pride~A Part of Me~feat.SRM ステファニー(初回生産限定盤)(DVD付)
 映画『プライド』主題歌シングル。初回限定版のDVDには映画撮影時のオフショットムービーを収録。

 : Pride~A Part of Me~feat.SRM

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