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2009年7月19日 (日)

電子音響の夢 大野松雄ライブ!

 7月14日、第25回<東京の夏>音楽祭2009のプログラムとして開催された大野松雄ライブに足を運びました。

 先ごろ復刻されたアルバム「鉄腕アトム・音の世界」でも注目されている大野松雄さんは、日本の「音響デザイナー」の草分けです。シンセサイザーのない(自由に使えない)時代から、独自の工夫で電子音響を創造し、映像作品の音響や博覧会パビリオンの空間音響デザインなどを手がけてきました。

 今回は、その大野松雄さんの初のライブ。
 2部構成で、第1部が大野さんが音響を手がけた短編映画の上映、第2部がライブ・パフォーマンスという内容でした。

 第1部では、ミュージックコンクレートを思わせる自在な音響設計が印象的でした。たとえば、『血液 止血のしくみ』では、科学ドキュメンタリーの映像にショック音やSF的な電子音響が重なり、まるで『ウルトラセブン』の一場面を観ているかのよう。映像に従属した音響ではなく、映像にリズムを与えたり、映像に映っているものだけでない別の意味を示唆したりする、非常に刺激的な音づくりをしています。映像と音が対等に拮抗していることに感銘を受けました。

 第2部は、「a point」と「Yuragi#8」の2曲のパフォーマンス。
 ステージには、オープンリールのデッキが3台と、ミキサー、マッキントッシュが1台。後方には、幅10メートルほどの横長のスクリーンが特別に設置されています。
 「a point」は、このスクリーンに映像を映しながら、スピーカーから音響が流れてくる。ステージ上には人はおらず、音と絵だけのパフォーマンスです。特にメロディのない電子音だけで構築された音が25分ほど続く。が、まったく退屈ではなく、ときに現代音楽風、時に前衛的なロック風に変幻する音に包まれているのが快感です。ほんとうは、もっと大きいスクリーン、会場全体の壁をぐるりとめぐるくらいのスクリーンに映像を映しながら、音と光に包まれる感じを出したかったのだろうなぁと思いました。

 2曲目「Yuragi#8」で、いよいよ大野松雄さん登場。オープンリールのテープを手で動かして、電子音響を目の前で作っていく。
 といっても、背景になる音響はずっと流れていて、そこに大野さんがライブで音響を足していくという趣向です。有名なアトムの足音を生で演奏(?)してくれたのに感激。アトムの飛行音なども挟んで、30分ほどのライブでした。

 最後に、おまけとして、1970年の大阪万博のときに、会場で販売するソノシートのために製作したという「八木節」を再生。さまざまな動物の声をサンプリングして音を重ね合わせた労作です。

 終わって感じたのは、これが「日本の電子音響のルーツ」なんだなということ。
 結局、のちに冨田勲さんがやったことを先取りしてるわけですよ。二人とも「音」にこだわっていった末に、「自分で音を作り出す」というところにたどりついた。その二人がそろって手塚アニメにかかわっているのも興味深いことです。
 そして、アニメの音響という意味でも、『宇宙戦艦ヤマト』などの効果音のルーツが大野さんのサウンドにある。今回のライブの曲を聴いた一番の印象は、「『ヤマト』の「宇宙の音」を使って音楽を作ったみたい!?」というものでした。それも当然で、『ヤマト』の音響効果を担当した柏原満さんは大野さんを師と仰いでいる人。『ヤマト』の効果音は、大野さんの音に影響を受けているのですよ。

 それにしても、今年で79歳になるという大野さん。クラブのDJを思わせるような手さばきでライブ・パフォーマンスをこなしてしまう姿にはただただ敬服しました。カッコいい!


<アトムの音をつくった伝説の音響クリエイター>
 大野松雄~宇宙の音を創造した男

<set list>
PART1:大野松雄の音響による短編映画傑作選

  1. 科学映画『血液 止血のしくみ』(1962)
     製作:村山英治
     構成演出:杉山正美・二口真一 デザイン:粟津 潔
     ナレーション:川久保 潔
     企画:中外製薬株式会社 制作:桜映画社
  2. アニメーション『潜水艦カシオペア』(1964)
     製作:真鍋 博 原作:都築道夫
     ナレーション:山内雅人
  3. アニメーション『追跡』(1966)
     製作:真鍋 博 原案:星新一
  4. ドキュメンタリー『土くれ―木内克の芸術―』(1972)
     脚本・監督:松川八洲雄
     プロデューサー・撮影:楠田浩之・喜屋武隆一郎
     音楽:木下忠司 制作:隆映社

PART2:ライヴ

  1. a point
  2. Yuragi#8

アンコール

  1. 動物の声による八木節(大阪万博発売のソノシートより)

 大野松雄

 映像:由良泰人
 音響デザイン:金森祥之
 オペレーター:遠藤正章


鉄腕アトム・音の世界

 : 鉄腕アトム・音の世界

大野松雄の音響世界(1)

大野松雄の音響世界(2)

大野松雄の音響世界(3)
 2005年にキングレコードから発売された大野松雄作品集。(3)以外は品切れ中で、復刻が待たれる。

 : 大野松雄の音響世界(1)
 : 大野松雄の音響世界(2)
 : 大野松雄の音響世界(3)

サウンド・ファンタジア・シリーズ 宇宙戦艦ヤマト
 『宇宙戦艦ヤマト』のSEを収録した貴重な企画盤CD。1996年発売。こちらも品切れになって久しく、復刻が待たれる。

 : サウンド・ファンタジア・シリーズ 宇宙戦艦ヤマト

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