Soundtrack Pub

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

« 「GOSICK」サントラ第2弾発売! | トップページ | スゴイやつらのスゴイ映画「スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」 »

2011年6月30日 (木)

訃報:竹内博さん

 特撮映画研究の草分けにして第一人者、竹内博さんが6月26日に亡くなりました。享年55歳という若さに言葉もありません。ご冥福をお祈りいたします。

 竹内博さんは日本の特撮映画研究の手法を開発し確立した人でした。今でいうオタク文化というものが何もなかった時代に、一次資料を集め、研究し、評論した。それを活字やレコードの形で世に出し、多くのファンのもとに届けました。いわば、オタク文化の創始者と言ってよい人です。

 私の最初の竹内さんの仕事との遭遇は、ケイブンシャから発行された『原色怪獣怪人大百科』(1971)。小学生の自分はガツンとやられました。そして、1978年に『ファンタスティックコレクション 空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマン』発売。それまで一部のマニアの間でしか知られていなかったバックステージやクリエイターに光を当てた衝撃的な1冊です。これがウルトラシリーズをはじめとする特撮作品再評価のきっかけのひとつとなり、そのムーブメントは映画『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』、TVシリーズ『ザ☆ウルトラマン』『ウルトラマン80』へと結実します。家庭用ビデオも普及してなかった時代に、世間一般からはまじめに語る対象とすら見られていなかった特撮作品を評価する切り口を提示し、「作品」として認知させた功績は量りしれません。

 そして、私がもっとも大きな影響を受けたのが、竹内さんが手がけたサウンドトラック・アルバムでした(酒井敏夫名義でのお仕事含む)。
 なんといっても、東宝レコードから発売された『ゴジラ オリジナル・サウンドトラック』(1978)。ゴジラ映画音楽のコンピレーション盤です。その後、ゴジラ映画音楽のコンピレーション盤は何枚も発売されましたが、いまだにこのアルバムを超える選曲・構成はありません。私も繰り返し繰り返し聴きました。このアルバムはヒット商品となって第2弾、第3弾が発売され、ゴジラ映画と伊福部音楽再評価のきっかけとなりました。

 Godzilla

 それから、キングレコードから発売された「ウルトラ オリジナルBGMシリーズ」。LP『サウンド ウルトラマン!』(1978)のヒットを受けてリリースされたサントラLPシリーズです。『ウルトラQ』から『ウルトラマンレオ』までの音楽がはじめて単独アルバムとして発売されました。テレビ作品のオリジナルBGMをマスターテープから収録してアルバムにするという、当時としては画期的な商品でした。昔は、邦画・洋画を問わず、また映画でもドラマでも、サウンドトラックと銘打っていても、レコード盤といえばレコード用に新録音した音源を収録して発売されることのほうがあたりまえでした。そこに、たとえ録音や演奏が良好でなくても、モノラルのオリジナル音源を商品化するという考え方を持ち込んでヒットさせた。このシリーズの成功から、日本コロムビアも「オリジナルBGMコレクション」というアニメBGMのサントラ・シリーズを立ち上げます。日本の映画・TVサントラのあり方を変えた商品だったのです。サブタイトルに「宮内國郎の世界」「冬木透の世界」と作曲家名がフィーチャーされていたことにもグッときました。
※ちなみに、このシリーズのジャケット中面に掲載された作曲家インタビューは貴重な一級資料です。いまだ再録の機会にめぐまれないのが残念です。

 竹内さんのサントラ構成の仕方は独特でした。発想が編集者的なのです。単にドラマを追うのでもなく、音楽的流れでつなげるのでもない。『ファンタスティックコレクション』などの著作を読むのと同じワクワク感、高揚感、驚きがありました。おそらく、竹内さんの頭の中には、サントラ・アルバムの構成にも、表紙、扉、見開き、章立て、といった構成が浮かんでいたのだと思います。その手法、ひみつを少しでも取り入れたい、と思いながら今もサントラの仕事をしています。

 残念ながら、私は直接、竹内博さんの薫陶を受ける機会はありませんでした。ただ、中学生のときから参加した同人活動では、竹内さんのもとに集まった多くの研究者の方たちと知り合う機会を得ました。遠い弟子筋…なんていうと叱られますが、私も竹内さんの仕事に影響を受けた一人として、いい仕事をし、資料を後世に残し、新しいファンを育てることで恩返ししたいと思います。

« 「GOSICK」サントラ第2弾発売! | トップページ | スゴイやつらのスゴイ映画「スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」 »