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2012年8月

2012年8月31日 (金)

「宇宙戦艦ヤマト2199」と「宮川音楽の勉強会」

 『宇宙戦艦ヤマト2199』の音楽を演奏するコンサート「ヤマト音楽団大式典2012」が11月10日(土)に舞浜アンフィシアターで開催されます。詳細は『宇宙戦艦ヤマト2199』公式サイトのニュースに発表されています。

 宮川 泰の音楽を引き継いだ宮川彬良の音楽はもちろん、ささきいさおによる主題歌、結城アイラ、美郷あきによる『宇宙戦艦ヤマト2199』エンディング主題歌も披露される予定。1日2回公演です。イープラスでは9月9日までチケット先行受付中。一般発売は10月13日から、イープラス、ローソンチケット、チケットぴあなどで開始されます。

 『宇宙戦艦ヤマト』の音楽を演奏するコンサートは何度も行われていますが、そのほとんどは「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」を取り上げたもの。TVシリーズ版の音楽が演奏される機会はほとんどありませんでした。おそらく譜面が残ってなかったり、オーケストラ編成の都合であったり、いろいろ事情があったのでしょう。「交響組曲」版とTVシリーズのオリジナルBGMはアレンジが異なっているので、熱心なTVシリーズファンとしては、「劇中で流れているそのままのヴァージョンが聴きたいなぁ」と思っていたわけです。今回『宇宙戦艦ヤマト2199』用に宮川彬良さんが『ヤマト』の音楽をオーケストレーションし直したことで、劇中で流れている音楽がそのまま生オケで聴ける機会がやってきました。実に楽しみです。

 このコンサートの予習?としても楽しみなのが、10月16日(火)に東京芸術劇場で開催される宮川彬良&大阪市音楽団のコンサート(10月14日(日)埼玉県熊谷会館の公演もあり)。
 プログラムに「『宇宙戦艦ヤマト』宮川音楽の勉強会」というコーナーが設けられています。

 宮川 泰先生はクレージーキャッツのメンバーになりたかっというくらい、冗談やダジャレが大好きでした。TVやコンサートでたびたび、「音楽漫談」とでもいうべきネタを披露しています。「ジョン・ウィリアムズのドーソー会」とか「音楽のルーツを探る」など何度聴いても面白いネタがありました。宮川 泰先生の芸風(?)も受け継いだ彬良さんはお父さんのネタもいくつか受け継いでいて、「頭からもう1回」なんて何度か披露していますね。
 「『宇宙戦艦ヤマト』宮川音楽の勉強会」は、そんなふうに楽しく『宇宙戦艦ヤマト』の音楽を研究しながら聴いてみようというコーナー(だと思います)。今年の4月22日、サントリーホールで「LIVE UNDER THE TREE ブラスの祭典 『宇宙戦艦ヤマト』」という宮川彬良さん出演のコンサートがあったときに、そのさわりを聴くことができたのですよ。宮川 泰先生の実子だからこそ語れるエピソードや曲の分析が実に面白かった。11月の「ヤマト音楽団大式典2012」ではたぶんそういうネタは披露されないんじゃないかなぁ…と思うので、10月の大阪市音楽団のコンサートも期待しているのです。

 大阪市音楽団は日本で最も長い歴史を持つと言われる交響吹奏楽団です。新聞などでも報道されているとおり、大阪市は経営的観点から音楽団への歳出を見直し(平たく言えば楽団を維持する予算はないということで)、2013年度に大阪市音楽団そのものを廃止する方針を発表しました。
 実に惜しい。
 音楽ファンとして、この流れは政治的な話以前に、「いやーな感じ」を受けるのです。それは結局、「音楽の価値をビジネスになるかどうかで決める」ということにつながっていくのではないか。自治体や企業が「ビジネスにならないからやめる」というのはやむをえないとして(それだけでいいとは思いませんが)、一般の人にまで「音楽の価値はどれだけお金になったかで決まるんだね」という気分が広がってしまいそうなのが怖い。
 ややこしい話になりそうなので深くつっこむのはやめておきますが、まずは「お金を払って聴きに行く」という形で応援したいと思います。

 20121016miyagawaakira

2012年8月30日 (木)

冨田勲、初音ミクと共演

 冨田 勲先生の新作交響曲「イーハトーヴ」の世界初演公演が、来る11月23日(金・祝)に東京オペラシティコンサートホールで開催されます。

 指揮が大友直人、演奏は日本フィルハーモニー交響楽団とシンセサイザー(篠田元一)、合唱団の共演。そして一番のトピックは、初音ミクが特別出演することです。
 ボーカロイドとして誕生し、ヴァーチャル・アイドルの代表として『ユリイカ』で特集までされちゃった初音ミクですよ。3Dイメージでステージに出演し、歌も披露してくれるらしい。
 さすが、新しい試みに挑戦し続ける冨田先生です。
 このコンサートの情報が発表されると、「冨田勲 初音ミクと共演!」のニュースがネット上にたちまち拡散されました。

 しかし、初音ミクばかりが注目されるのはちょっとさびしい(ニュース性はありますけど)。

 「イーハトーヴ」のタイトルが伝えるとおり、新作交響曲は宮沢賢治の世界にインスパイアされたものです。冨田先生はこれまでにもシンセサイザーによる組曲「銀河鉄道の夜」(アルバム『冨田 勲の世界』(1977)収録)や映画音楽「風の又三郎 ガラスのマント」(1989)といった宮沢賢治作品をモチーフとした作品を発表しているし、近年のインタビューでも「宮沢賢治の世界で交響曲を書きたい」と言われていたのですね。
 冨田先生にとって宮沢賢治のは古くから関心のあるテーマであり、今回、念願であった作品が完成したわけです。冨田先生が宮沢賢治の世界からどんな音楽を創り出したのか。そこを聴きたい。

 サウンドにこだわる冨田先生ですから、今回のコンサートも、オーケストラとシンセサイザーが共演する斬新なスタイルになっている。ただ、その試み自体は、これまでの冨田先生のコンサートでも行われていました。
 で、ここからは想像ですけれど、冨田先生は「宮沢賢治の世界をステージ上に構築するために、どんなしかけがいいだろうか?」と考えたと思うのです。シンセサイザーやサラウンドや映像を使ったコンサートはもうやった。宮沢賢治といえば、山猫や電信柱や又三郎など、現実と幻想のあわいで生き生きと活躍するキャラクター=妖精や精霊みたいな存在が大きな魅力であり、なくてはならない要素だ。宮沢賢治の世界を歌うのは生身の人間よりも、そういう存在でなくては。現代の妖精といえば…そうだ、デジタルの世界に住む歌姫・初音ミクがいるじゃないか! と、パキパキとアイデアが固まって、「ねえ、こんどのコンサートに初音ミクを出演させたいと思うんだ」とコンサートスタッフに相談するしだいになったのではないかと。そうだったら楽しいなぁと思います。

 コンサートでは、「交響詩ジャングル大帝≪2009年改訂版≫」「源氏物語幻想交響絵巻」なども演奏されるらしいので、冨田ファンは必聴ですよ。チケットはチケットぴあなどで発売中です。詳細は下記サイトを参照ください。

冨田勲新制作「イーハトーヴ」交響曲世界初演公演

 Tomita_ihatov

2012年8月29日 (水)

ミュージックファイル20周年

 バップの「ミュージックファイルシリーズ」が20周年を迎えたということで、オフィシャル・サイトがリニューアルされています。

Music File series Official Site

 ミュージックファイルシリーズの開始は1992年。当時バップの社員だった高島幹雄さんの企画でした。以降、シリーズは高島さんの企画・制作でタイトルを重ね、10年にわたって続きました。そのあたりの経緯はオフィシャル・サイトに記されています。

 まずは、20周年おめでとうございます。バップでのシリーズは10年で200点を越えましたが、高島さんのバップ退職とともにシリーズは中断。しかし、コロムビアやウルトラヴァイブ等の他社から発売される高島さん企画・制作の商品にも「ミュージックファイル」のタイトルは受け継がれてきました。そういう意味で、シリーズは今も現役、継続中なのです。

 で、20周年と聞いて思うのは、「もう20年!」ということですよ。ミュージックファイルが登場したとき、白いバックにタイトルロゴだけのデザインを見て、「なんだか地味だけど、面白いラインナップのCDが出たな」と思いました。それまで、現役番組でない旧作の復刻・発掘サントラの主流は、アニメや特撮ものが中心でした。キャラクター人気に支えられたタイトルが売れていた。だから、パッケージにもキャラクターを使用するのが当然だったわけです。
 そこに現れたミュージックファイルシリーズは、番組の写真を使用しないタイトルだけのジャケット。ここに、(予算の都合などもあったと思いますが)音楽だけで勝負しようという意欲を感じましたね。ここから日本のサウンドトラック状況は変わったと言ってもよい。「キャラクターを使わなくてもサントラって成立するんだ」とわかったわけです。

 とはいえ、実は「ミュージックファイル」の初期のラインナップはあまり買ってないんです。初期にリリースされた作品は刑事ドラマ・探偵ドラマ(「伝説のアクションドラマ音楽全集」)と青春ドラマ(「伝説の青春ドラマ音楽全集」)。実は私、刑事ドラマも青春ドラマもあまり好きではないんです(嫌いだということではなく、関心が薄い…思い入れがないということです)。たぶん買ったのは『俺たち勲章』『Gメン'75』『サインはV』ぐらいだったと思います。この3作品は番組と音楽が好きだった。

 だけど、次の「懐かしのテレビまんがBGMコレクション」は飛びつきました。ラインナップが『ど根性ガエル』『侍ジャイアンツ』『アイアンキング』『流星人間ゾーン』『電人ザボーガー』。これらの作品って、ファンに人気があるアニメ・特撮作品の主流ではないわけですよ。ちょっと渋いセレクションになっている。でも、だからこそ、衝撃的でした。

 このあと、90年代のサントラ状況って、ちゃんと振り返るとそうとう面白かったと思います。87年頃にアナログレコードからCDへの切り替えがあって、まだまだCDで買えるサントラってそんなにそろってなかった。そこにチャンスとニーズがあったわけです。新作・旧作入り乱れて、充実したラインナップが世に出た時代でした。

 ミュージックファイルは、そんな「90年代サントラ黄金時代」のさきがけとなったシリーズでした。タイトルを重ねることで、ファンも増え、メディアの注目も集まり、他社も旧作サウンドトラックの発売に力を入れるようになった。正のスパイラルが働いていたんです。

 今、サントラが(CD自体が)売れない時代と言われます。そうなった原因の分析は措くとして、そういう時期にミュージックファイルのサイトがリニューアルされたのは、すごく意義あることと思います。なにより、これまで発売されたタイトルが見やすくまとめられたのがいい。古くからのサントラ・ファンが楽しむだけでなく、新しいサントラ・ファンを増やすきっかけにもなると思うのです。タイトルを見ているだけで、「こんなものも出ていたんだ」「これとこれは同じ作曲家だったのか」「サントラってこんなにいろんなジャンルがあるんだ」と興味が広がるはずです。
 うれしいことに、オフィシャル・サイトのリストからは、在庫のある商品を購入することができます。「これは」とピンときたタイトルを買って聴いてみてほしい。Amazonでは品切れになっている商品が買えたりするので、古くからのファンもぜひチェックしてみてください。

 20周年を機に、ミュージックファイルの新しい展開もあるとか。すでに配信アルバムが発表されていますね。今後の広がりに注目しています。

Music File series Official Site

2012年8月25日 (土)

新たなる「聖闘士星矢」

 テレビ朝日系で放映中の『聖闘士星矢Ω(オメガ)』のサウンドトラック・アルバムが発売されました。音楽は佐橋俊彦さん。腹巻猫が構成と佐橋さんのインタビューを担当しました。

 佐橋俊彦さんと『聖闘士星矢』の縁は古い。
 1991年にSMAP主演のミュージカル『聖闘士星矢』の音楽を担当したのが佐橋さんでした。1991年といえば、佐橋さんがアニメ音楽の仕事を始めたばかりの頃。それまで佐橋さんの仕事の中心はディズニーランドのショーの音楽やミュージカルの音楽で、ミュージカル『聖闘士星矢』の音楽もその流れでの仕事なのでした。
 それから20年。昨年2011年末に再びミュージカル『聖闘士星矢』が上演されることになり、音楽を佐橋さんが担当する。
 佐橋さんにとって『聖闘士星矢』は「長いつきあいの作品」なのだそうです。

 『聖闘士星矢Ω』の音楽が佐橋俊彦さんになったのは、そういう経緯を考えると、この上ない人選だとわかります。けれど、ミュージカル版とアニメ版の間にはつながりはなく、まったく別ルートで決まったのだとか。
 これが「縁」というものなのでしょう。

 映像作品では、数々のSFヒーロー・アクションものを手がけてきた佐橋さん。これまでウルトラシリーズ(『ウルトラマンパワード』『ガイア』『メビウス』)、戦隊シリーズ(『激走戦隊カーレンジャー』『星獣戦隊ギンガマン』)、「仮面ライダー」シリーズ(『仮面ライダークウガ』『アギト』『響鬼』『電王』)、「ガンダム」シリーズ(『機動戦士ガンダムSEED』『SEED DESTINY』)と、日本の人気キャラクターを制覇しています。『聖闘士星矢Ω』の音楽は、そんな佐橋さんのヒーロー音楽の最新の成果と呼べる作品になりました。熱いアクション音楽はもちろん、ギリシャ風の世界観を表現するエスニックで雄大な音楽、若き聖闘士たちの苦悩や情熱を描写する心情音楽などに、変身ヒーローものやロボットものとはひと味違う、『聖闘士星矢』ならではの魅力があふれている。
 なかでも女声スキャットをとりいれたメインテーマ(「永遠の聖闘士」)は4分を越える長尺の曲で、『聖闘士星矢』の世界観が凝縮された1曲。「音楽にもコスモ(小宇宙)が宿っている」、そう思わせるような音楽に仕上がっています。音楽で描く『聖闘士星矢』の世界、ぜひお聴きください。

 9月23日開催、佐橋俊彦トークライブもよろしく!

聖闘士星矢Ω オリジナル・サウンドトラック

 : アルバム・ジャケット

2012年8月23日 (木)

劇場版「FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-」サウンドトラック

 8月18日より公開中の映画『FAIRY TAIL -鳳凰の巫女-』のオリジナル・サウンドトラック盤が発売されました。サントラ盤の構成を腹巻猫が担当しています。

 2009年より放送されているアニメ版『FAIRY TAIL』の初の劇場作品。音楽はTV版と同じく高梨康治さんが担当しました。TV版のサントラはすでに3枚発売されていますが、劇場版音楽はTV版BGMの流用ではなく、全曲新録音! 録音を重ねるごとにグレードアップしてきた高梨さんのケルティック・メタルが、劇場の大画面にふさわしいスケールとテンションで炸裂しています。ぜひ劇場で体験してください。
 そして、音楽にピンと来た方は、CDも聴くしかない! 劇場で流れるサウンドとはまた異なる、アルバム用にマスタリングされたパワフルかつ繊細なサウンドが楽しめます。

 さびしいことに映画公式サイトには主題歌CDの情報しかない。アニメファンにもビジネス的にも歌もののほうが注目度が高いからと思いますが、映画の情感をリードする劇中音楽の魅力をもっとアピールすべきでは? TVシリーズを3年間盛り上げてきた音楽の力は『FAIRY TAIL』の世界を支える魔法のようなものですよ。サウンドトラックもよろしくお願いします。

劇場版『FAIRY TAIL-鳳凰の巫女-』オリジナル・サウンドトラック

 : アルバム・ジャケット

2012年8月20日 (月)

「佐橋俊彦トークライブ」予約開始しました!

 トップのお知らせにも掲載していますが、9月23日(日)佐橋俊彦さんのトークライブを開催します。

 会場はいつものロフトではなく、調布のアジア料理店<アジアンタイペイ>となります。
 予約方法もこれまでと異なりますのでご注意ください。

 数々のアニメ・特撮・ドラマ・映画作品の音楽を手がけ、現在も『聖闘士星矢Ω』で活躍中の佐橋俊彦さんに、サウンドトラックの魅力、曲作りの苦労・やりがいなどを語っていただきます。ぜひご来場ください。

 詳細・予約は、Facebookのイベントページを参照ください!

 ☆佐橋俊彦トークライブ

2012年8月14日 (火)

スター・ウォーズ in コンサート

 8月12日、東京国際フォーラムAホールで開催された「スター・ウォーズ in コンサート」の東京最終公演に足を運びました。

 「スター・ウォーズ」シリーズ全6作の音楽を、交響組曲風の構成とアレンジで演奏する内容。演奏は東京フィルハーモニー。指揮はマーク・ワターズ。全編にわたって大スクリーンに映像が映し出され、演奏ともども楽しめる趣向でした。

 1曲目は「あのテーマが来るぞ」と思って待ち構えていると、「20世紀フォックス・ファンファーレ」。もう会場は拍手喝采ですよ。映画館で映画が始まる前に聴くおなじみの曲だし、サウンドトラックもこの曲から始まります。粋な演出でした。

 ステージを観て思ったのは、「意外と小編成だなぁ」ということ。弦が10・8・6・6・5。木管(フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット)が3本ずつ。ホルンが5本。トランペット、トロンボーンが各4本。チューバ1本。サックスが3本。ほかにハープ、ピアノ、パーカッションという編成。「さすが映画音楽のコンサート」と思ったのは、パーカッションが(ティンパニ、ドラムス含め)7人もいること。コントラバスが5本というのも映画音楽ならではのバランスです(このサイズの編成だとふつう2本くらい)。ただ、弦や金管はこの倍はいるかと思ってました。

 東京フィルの演奏はすばらしかったです。オリジナルのニュアンスや表現を求める人には不満があるかもしれませんが、2時間をだれることなくしっかり聴かせる。

 曲目はエピソード1からエピソード6まで、物語の流れを追う選曲になっています。C3POを演じた俳優、アンソニー・ダニエルズが登場して、曲のあいだを生のナレーションでつなぐ構成。「スター・ウォーズ」シリーズ全6作に出演した役者ですから、これ以上ない配役です。

 ただ、内容のよさに比べて会場で売っていたプログラムがいただけない。40cm×30cmの大判で持ち帰りにくいのはおくとしても、3000円もする商品なのに演奏曲目が書かれていないのはコンサートのプログラムとしてどうなのか。ファンのためにも、曲解説までしっかり掲載すべきところです。

 本コンサートでは全編にわたって映像が映し出されます。映像が使われるのは映画音楽のコンサートではよくあることですが、ここでは映像が補助的な演出ではなく、演奏と同じくらい重要な要素になっています。
 私はどちらかというと映画音楽コンサートには映像はないほうがよいと思っています。そのほうが演奏に集中できるから。しかし、「スター・ウォーズ in コンサート」については、始まって少しして「こういうイベントなんだ」と気づき、映像を観ながら音楽を楽しむようにしました。
 つまりこれは、映像と音楽、そして、照明やナレーションまでもがトータルで構築されたステージ・イベントなんですね。ミュージカルやディズニーランドのアトラクションのように、完成されたコンテンツとして、世界各地で公演されているわけです。純粋なコンサートとは違うものと思ったほうがよい。だから「スター・ウォーズ コンサート」ではなく、「スター・ウォーズ in コンサート」と命名されているわけです。
 でも、これはこれでよいと思いました。なにより、親子連れや若い人たちが会場に来て楽しんでいる。もはや「スター・ウォーズ」はSFファンや特撮映画ファンのものではなく、家族やカップルで楽しむコンテンツなんです。これをきっかけに映画音楽にも興味を持ってもらえたらうれしい。物販ではCDが早々と売り切れていましたから、イベントの意義はあったと思います。

 いっぽうで、これが映像音楽のコンサートのお手本にならないのもたしか。なにせ、照明も映像もナレーションも、プロフェッショナルがしっかり構築してエンタテインメントのステージとして完成させているんですから。国内の映画音楽コンサートでは、そこまでの手間とコストはかけられない。
 だけど、日本にもスタジオ・ジブリ作品や「宇宙戦艦ヤマト」「ガンダム」「エヴァ」「ゴジラ」「ウルトラマン」など、人気の面でも音楽的にもこうしたコンサートが開催できるコンテンツがあるはずなんです。アニメソングのステージだけでなくて、子どもたちや若い人が会場に足を運ぶオーケストラの演奏会がもっと増えるとよいな、と切実に思いました。

ベスト・オブ・スター・ウォーズ ~ミュージック・アンソロジー~
 新録ではなく、サウンドトラック音源から「スター・ウォーズ」全6作の代表曲を集めた画期的コンピレーション。本コンサートの選曲とも共通しています。

 : アルバム・ジャケット

2012年8月13日 (月)

渡辺宙明「ライオン保安官」CD化!

 Soundtrack Pubの「名曲再発見」コーナーで紹介した話題です。

 渡辺宙明先生作曲・編曲の「ライオン保安官」が7月25日に発売されたアルバム『水木一郎 キッズソング・ベスト3!』で初CD化されました。
 「ライオン保安官」は番組のテーマ曲ではないため、長らく収録の機会に恵まれなかった作品。1979年の作品ですから、宙明先生の作品でいえば、『スパイダーマン』と同時期ですね。子ども向けのオリジナル・ソングですが、宙明節全開。ファンならぜひ聴いていただきたいと思います。のちの「宇宙刑事」シリーズの音楽にも通じるサウンドが聴けて、興味深い。

 同じCDにやはり宙明先生作曲・編曲の「はしれ!スーパーカー」も収録。こちらはCD化済(『超空想サーキット~歌のスーパー・グランプリ~』に収録)ですが、やはり宙明節全開の曲なので未聴の方はぜひチェックください。ほかにも、越部信義、小森昭宏、冨田勲、宇野誠一郎、有澤孝紀らが曲を提供しています。

 2011年6月に発売された『眞理ヨシコ歌手生活50周年記念アルバム うたつむぎ』というCDがあります。これにも渡辺宙明先生の「ちいさいおおきい」というオリジナル曲が収録されました。こちらも越部信義、小森昭宏、冨田勲、いずみたくらの作曲作品が収録されています。渡辺岳夫作曲の「ちいさいかわのうた」を真理ヨシコさんが歌ったトラックもあり、ファンは要チェックです。

水木一郎 キッズ ソング・ベスト3!

 : アルバム・ジャケット

眞理ヨシコ歌手生活50周年アルバム うたつむぎ

 : アルバム・ジャケット

Soundtrack Pub【Mission#22】終了しました!

 8月11日開催のSoundtrack Pub【Mission#22】「Playback 1972」終了しました。数々のイベントが重なる中、たくさんの方にご来場いただきました。ありがとうございました。

 「Playback 1972」と題して、1972年の映像音楽を振り返る試みでした。この年の作品を追うだけで精一杯で、「映像音楽を俯瞰する」ところまで踏み込めなかった反省もあります。でも、「この番組もこの番組も、この映画も、1972年に放送開始・公開されていたんだ」という発見があれば、そして、「たしかに音楽的な転換点だったよね」という感覚を共有していただければ、成功だったと思います。

 次回開催日は未定です。10月以降になる見込み。また、ブログ等で告知します。よろしくお願いします。

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↓告知文(記録として残しています)

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2012年8月11日 (土)

コミケ参加終了しました

 コミックマーケット1日目、10日(金)に参加しました。「劇伴倶楽部」においでいただいたみなさま、そして、買ってくださった方、声をかけてくださった方、ありがとうございました! 2日目、3日目に参加の方、どうぞ暑さ対策を忘れずに、お気をつけて。

 新刊は「劇伴倶楽部 Vol.11 アニメソング・マイスター 高取ヒデアキ/籠島裕昌/青木久美子/六ツ見純代の世界」を販売しました。今回、初の別冊付録つき! 費用がかかるので、今後はやらないと思います(^_^; 劇伴倶楽部主催のイベントでも若干部持っていきますので、ほしい方は声をかけてください。

 さて、本日はSoundrack Pub【Mission#22】「Playback 1972」を開催します!

 蒲田studio80(オッタンタ)にて15:00~20:00。1972年のTV番組を中心とした映像音楽を検証します。コミケ帰りにでもおいでください。りんかい線・国際展示場駅から大井町まで乗り、JR京浜東北線に乗り換えて2駅、30分ほどで蒲田に着きます。蒲田駅東口から徒歩5分ほどです。

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2012年8月 8日 (水)

「YAMATO SOUND ALMANAC」にふくらむ期待とあれこれ

 結局、何度も買ってしまうわけです。『宇宙戦艦ヤマト』のBGM集。アナログ時代から何枚買ったことか…。

 コロムビアから発売が始まった「YAMATO SOUND ALMANAC」シリーズ。「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの音楽を2年間かけて体系的にリリースしようという壮大なプロジェクトです。第1弾の4枚が発売中です。

 『宇宙戦艦ヤマト BGM集』は記念すべき第1作のオリジナルBGM集。音源そのものはすべて既発ですが、今回、新たにマスターテープからマスタリングを行い、Blu-spec CDでリリースされました。構成・曲順は「ETERNAL EDITION File No.1 宇宙戦艦ヤマト」を踏襲したもの。ただし、前回は複数曲1トラックで収録されていたBGMが、1曲1トラック収録になっているので、たいへん聴きやすくなりました。「あの曲を聴きたい」と思ったときに一発で選曲して聴くことができる。これはすばらしい。

 気になるのは、Amazonのコメントにもありますが、主題歌がオミットされたこと。純粋にBGM集としてはこれでよいのでしょうが、作品の雰囲気を再現する構成としては、やはりTVサイズ主題歌があったほうがよい。これが第1作のみの仕様なのか、今後リリースされる『宇宙戦艦ヤマト2 BGM集』や『宇宙戦艦ヤマトIII BGM集』でも同様なのか、気になるところです。まさか、全巻購入特典グッズ(CD?)に収録されるなんてことは…。

 注文としては、これだけのプロジェクトですから、「ETERNAL EDITION」シリーズでも掲載されていないBGMリストを掲載してほしかった。BGMリストというのは、研究資料としても重要であるばかりでなく、BGMを興味深く聴くためにも必須であると思うのです。よくできたBGMリストからは、「こういう発注を受けてこの音楽ができたのか」とか、「この曲とこの曲は同じカテゴリなのね」とか、「このモチーフがこちらの曲にも使われているから、同じ意図を持った曲なんだ」といった発見や関心が生まれてきます。将来のサントラファン、サントラ研究家を育てるためにも、ぜひ検討してもらいたい。まさか、全巻購入特典グッズに掲載されるなんてことは…。

 『宮川泰の世界~宇宙戦艦ヤマト』は初CD化となる1枚。ライブ音源ですが、宮川泰の肉声や羽田健太郎のピアノが聴ける、貴重なアルバムです。高橋達也と東京ユニオンの演奏もいい(サントラファンには『西部警察PartII』メインテーマの演奏でおなじみ)。そして、ハネケンの粋なピアノ。もう涙出てきちゃいます。こうしたライブ録音のアルバム、純粋サントラファンからはあまり重視されないきらいがありますが、音楽を楽しむという観点からは、もっと注目されてほしいです。「サントラじゃないから」と敬遠しているファンはぜひ聴いてほしい。作曲家自身によるアレンジ、指揮、演奏など、その日しか聴けない一度限りの「音楽」を刻んだ、貴重な記録ですから。

 今後、シリーズは初CD化アルバム、初商品化音源を含む形で続いていく予定です。注目は、長年ファンからCD化が待望されていた『宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ』(9/19発売予定)。ポリドールからの発売だったため、これまで復刻の機会がありませんでした。『宇宙戦艦ヤマト2』のBGMとして使用されたこともあるので、サントラファンとしても見逃せません。また、廃盤となっていた『Sound Fantasia 宇宙戦艦ヤマト』もうれしい復刻。これはヤマトの効果音に注目した商品で、柏原満さんのオリジナル効果音がたっぷり聴ける貴重なアルバムでした。

 いっぽう、リマスタリングされているとはいえ、既発アルバムを買いなおすかどうか、ファンには悩ましい選択もあります。『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』なんて、何枚も持っているので今回はまだ買っていません。ああ、でもやっぱり買おうかなぁ…。期待しつつ、悩みつつ、今後の発売を楽しみにしたいと思います。

YAMATO SOUND ALMANAC (コロムビア公式サイト)

YAMATO SOUND ALMANAC 1977-I「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」

 : アルバム・ジャケット

YAMATO SOUND ALMANAC 1977-II「SPACE CRUSER YAMATO」

 : アルバム・ジャケット

YAMATO SOUND ALMANAC 1978-I「宮川泰の世界~宇宙戦艦ヤマト」

 : アルバム・ジャケット

YAMATO SOUND ALMANAC 1974-I 「宇宙戦艦ヤマト BGM集」

 : アルバム・ジャケット

2012年8月 7日 (火)

「お荷物小荷物」とミニモーグ

 『お荷物小荷物』は1970年から72年にかけて朝日放送系列で放送されたTVドラマ。現在は最終話しか視聴がかなわない幻のドラマです(横浜放送ライブラリーで観られる)。そのサウンドトラック盤が発売されるというのだから、ただただ驚き。快挙というほかありません。

 収録された音楽はテーマ音楽を含むBGM11曲と佐々木剛が歌う歌が2曲。アルバムとしては物足りない感じですが、これが現在発見されているすべての音楽です。
 そして、本アルバムの目玉は60ページにおよぶブックレット。加藤義彦氏の筆で充実の解説・内容紹介が綴られています。音楽・佐藤允彦、主演・中山千夏へのインタビューや佐々木守のエッセイ採録も貴重。巻末には第1話の台本をまるまる収録と、サウンドトラックというよりも、音と本で番組を再現するCDブック的なパッケージです。

 佐藤允彦のインタビューが興味深い。第2部「カムイ編」では入手したばかりのミニモーグを使用したと語り、CDにもその音楽が収められています。これが、「日本で最初に輸入された3台」のうちの1台で、「残る2台は冨田勲とNHKが購入した」と続くのですが、先の「渡辺宙明トークライブ Part3」へおいでいただいた方はお気づきのとおり、実はもうミニモーグはもう1台輸入されていて、それを買ったのが渡辺宙明先生でした。つまり、「ミニモーグの最初期の輸入は4台で、冨田勲、佐藤允彦、渡辺宙明、NHKが1台ずつ購入した」というのが真実ではないでしょうか。

 『お荷物小荷物』カムイ編の放送は1971年12月から。これは、『人造人間キカイダー』の放映よりも7か月早い。おそらく、日本のTVドラマでもっとも早く音楽にシンセサイザーを取り入れた作品ではないかと思われます。それが、『お荷物小荷物』という挑戦的なドラマだったというのは、なかなか「らしいなぁ」と思います。

 このサントラ、TVドラマ史、TV音楽史的にも貴重なリリースであるのはもちろん、サウンドトラックという商品のこれからを考える上でも示唆に富んだものと思いました。音源を発掘するだけでなく、使われた作品のことやドラマの中での音楽の役割を検証して、解説書にまとめる。そうした手間暇をきちんとかけることが、映像音楽文化を残し、新しいファンや研究者を育てていくことにつながるはずだ、とあらためて思ったのでした。この試みが支持されるなら、「DVDのおまけでないサントラ」の存在価値も、確実にあると思います。

テレビドラマ「お荷物小荷物」音楽編

 : アルバム・ジャケット

2012年8月 4日 (土)

Soundtrack Pub【Mission#22】

 そしてコミケ参加の翌日、8月11日(土)にSoundtrack Pub【Mission#22】を開催します。

 コミケ2日目ですが、あえてこの日にぶつけてみました。コミケが会場の東京ビッグサイトからSoundtrack Pub会場の蒲田まで、りんかい線・国際展示場駅⇒大井町・JR京浜東北線乗換⇒蒲田 と30分程度で来れるんですね。

 ですので、コミケの帰りにでも、お立ち寄りください。夜8時までやっています。「Soundtrack Pubってどんなイベント?」と思われている方、「一度覗きたいと思っていたけど機会がなかった」という方、この機会にぜひ。

 今回は「Playback 1972」と題して、1972年に発表されたTV番組、映画、映像音楽を振り返ります。変身ブームの真っただ中、「ヒーロー番組のカンブリア爆発」と呼ばれるほど、数多くの特撮・アニメキャラクターが生まれたこの年。実は時代劇や刑事ドラマにも大きな変革の波がやってきていました。日本テレビ史の一大転換期とも呼べる年を、音楽とともに検証します。

コミックマーケット82新刊

 夏コミの初日、8月10日(金)に「劇伴倶楽部」が参加します。
 会場は、西館1ホール ふ-11b。

 いつも東館だったので、西館での参加ははじめての気がします。

 新刊出ます。

 「劇伴倶楽部 Vol.11 アニメソング・マイスター」

 今回は「プリキュア」シリーズと戦隊シリーズにゆかりの深い4人の方に取材しました。

 作詞・作曲・歌で活躍する高取ヒデアキさん、作・編曲家の籠島裕昌さん、作詞家の青木久美子さんと六ツ見純代さんです。

 少年少女時代の音楽遍歴からアニメソングデビュー、歌作りに込めた想いまで、たっぷりうかがいました。あわせて10時間を超えるロングインタビューです。お時間ありましたら、ぜひお立ち寄りください。

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