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2012年8月 7日 (火)

「お荷物小荷物」とミニモーグ

 『お荷物小荷物』は1970年から72年にかけて朝日放送系列で放送されたTVドラマ。現在は最終話しか視聴がかなわない幻のドラマです(横浜放送ライブラリーで観られる)。そのサウンドトラック盤が発売されるというのだから、ただただ驚き。快挙というほかありません。

 収録された音楽はテーマ音楽を含むBGM11曲と佐々木剛が歌う歌が2曲。アルバムとしては物足りない感じですが、これが現在発見されているすべての音楽です。
 そして、本アルバムの目玉は60ページにおよぶブックレット。加藤義彦氏の筆で充実の解説・内容紹介が綴られています。音楽・佐藤允彦、主演・中山千夏へのインタビューや佐々木守のエッセイ採録も貴重。巻末には第1話の台本をまるまる収録と、サウンドトラックというよりも、音と本で番組を再現するCDブック的なパッケージです。

 佐藤允彦のインタビューが興味深い。第2部「カムイ編」では入手したばかりのミニモーグを使用したと語り、CDにもその音楽が収められています。これが、「日本で最初に輸入された3台」のうちの1台で、「残る2台は冨田勲とNHKが購入した」と続くのですが、先の「渡辺宙明トークライブ Part3」へおいでいただいた方はお気づきのとおり、実はもうミニモーグはもう1台輸入されていて、それを買ったのが渡辺宙明先生でした。つまり、「ミニモーグの最初期の輸入は4台で、冨田勲、佐藤允彦、渡辺宙明、NHKが1台ずつ購入した」というのが真実ではないでしょうか。

 『お荷物小荷物』カムイ編の放送は1971年12月から。これは、『人造人間キカイダー』の放映よりも7か月早い。おそらく、日本のTVドラマでもっとも早く音楽にシンセサイザーを取り入れた作品ではないかと思われます。それが、『お荷物小荷物』という挑戦的なドラマだったというのは、なかなか「らしいなぁ」と思います。

 このサントラ、TVドラマ史、TV音楽史的にも貴重なリリースであるのはもちろん、サウンドトラックという商品のこれからを考える上でも示唆に富んだものと思いました。音源を発掘するだけでなく、使われた作品のことやドラマの中での音楽の役割を検証して、解説書にまとめる。そうした手間暇をきちんとかけることが、映像音楽文化を残し、新しいファンや研究者を育てていくことにつながるはずだ、とあらためて思ったのでした。この試みが支持されるなら、「DVDのおまけでないサントラ」の存在価値も、確実にあると思います。

テレビドラマ「お荷物小荷物」音楽編

 : アルバム・ジャケット

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