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2013年5月26日 (日)

ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた

 4月25日に発売された青山通著『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』(アルテスパブリッシング)、『ウルトラセブン』の音楽についてこれまでにない視点から考察した好著です。

 この発売を記念して、5月25日に原宿のブックカフェ<ビブリオテック>で「冬木 透×青山 通トークショー」が開催されました。

 80人入る会場は満席。「ウルトラセブンの音楽」という限定されたテーマに絞ったことで、非常に興味深い、探究心にあふれた充実の内容になりました。

 最終回で使われたかもしれないグリークのピアノ協奏曲や、シューマンのピアノ協奏曲の別の演奏の聴き比べ、冬木先生の蒔田尚昊名義の作品の紹介など、サントラだけ聴いていたらなかなか目が届かないところがフォローされていたのもよかったです。

 そして、「なぜこの場面にシューマンのピアノ協奏曲を、それもほかのどの演奏でもなく、カラヤン+リパッティ盤を選んだのか」、その理由を冬木先生が明確に論理的に答えられたのが印象的でした。
 思えば、冬木先生が『ウルトラセブン』の音楽の「作曲」について語られることはあっても、「選曲」について語られる機会はあまりなかったと思います。同時に、音楽の「演奏」ということについて、サントラファンももっと関心を持つべきだなと考えされられました。同じ曲でも演奏によってニュアンスは異なってしまう。本来、シーンごとに最適な演奏があるべきなのです。

 また、ファンに人気の高い「フルートとピアノのための協奏曲」についての話も興味深かったです。この曲は実相寺昭雄監督のエピソード「円盤が来た」のために発注された音楽で、ルネ・クレール監督の映画『夜ごとの美女』のジョルジュ・ヴァン・パリスによるテーマ音楽が引用されています。「円盤が来た」のシナリオ原題は「夜ごとの円盤」。つまり、もともとが「夜ごとの美女」を下敷きにしたお話で、『夜ごとの美女』のテーマ音楽が引用されているのもそのためです。
 そして、冬木先生自身もこの映画のファンで、公開時に何度も劇場で観ていたために、テーマ音楽はまるごと覚えていたとのこと。サントラ盤もビデオもDVDもない時代に、冬木先生は記憶だけであのテーマ曲を再現したわけですね。

 蒔田尚昊作品の紹介では、オルガンによる「黙示録のためのモテット」、讃美歌「ガリラヤの風かおる丘で」ほかを聴くことができました。特に、先にタイトルを挙げた2曲ははじめて聴く音源。現代音楽風の「黙示録のためのモテット」、どこか「ゾフィーのバラード」を連想させる「ガリラヤの風かおる丘で」、曲想は違えど、どちらも冬木先生らしい作品で、ウルトラシリーズの音楽と共通する香りがあるのが印象的でした。

ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた

 : 書影

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