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2018年4月

2018年4月15日 (日)

大野雄二「角川映画シネマコンサート」

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 4月14日(土)、東京国際フォーラム ホールAで開催された「角川映画シネマコンサート」に足を運びました。13、14日の2日間2回公演の2日目。

 第1部が『犬神家の一族』の名場面を上映しながらのコンサート約90分。そのあと石坂浩二さん×大野雄二さんのトークショー。15分の休憩が入って、この時点で開演からほぼ2時間。
 第2部は『人間の証明』と『野生の証明』の名場面を上映しながらコンサート、合わせて約90分。最後に映画中では聴けない「人間の証明のテーマ」と「戦士の休息」のフルコーラス歌唱。
 アンコールを含めて、全3時間40分のボリュームです。
 (前日の第1回公演に行った人の噂を聞いていた私は覚悟していたので長さも含めて楽しみました)
 ダイジェストとはいえ濃い映画を3本も観てぐったり、となりそうなところですが、心地よい興奮と充実感が残りました。

 演奏は大野雄二さんとこのコンサートのために集められたオーケストラ(名づけて“SUKE-KIYO”オーケストラ)。
 公演オフィシャルページにメンバーが載っていますが、サントラ録音の現場でも活躍する名だたるミュージシャンたちです。
http://kadokawaeiga-concert.com/about.html

 オリジナルスコアは残ってなく、オリジナル音源も一部を除いて聴けない状況で、大野先生、耳コピしながら膨大なスコアを起こしたそうですが、セリフやSEでよく聴こえないところは「新しく書いちゃった」とか。それだけでなく、「昔の音をそのまま再現するのは性分ではない」ということで、全体的に現代の大野雄二の音にアップデートされてます。オリジナルより音楽がゴージャスに聴こえる。

 名場面上映の間に、スクリーンが暗くなって演奏だけをたっぷり聴かせるコーナーが何ヶ所か挟まれる。
 純粋なシネマコンサートではなく、シンクロ上映+コンサートという趣向。
 むしろ、コンサートの比率の方が大きい。
 しかし、それがよかった。
 純粋なシネマコンサートであれば、なるべくオリジナル・サウンドトラックを再現したアレンジと演奏が求められるところですが、本公演に限っては、「オリジナルに忠実にやってほしかった」というファンはいないでしょう。
 作曲家本人が音楽監督と演奏を務めるコンサートならではの醍醐味です。
 みんな、大野雄二のサウンドを聴きに来ているんだから。
 その期待を裏切らない、すばらしい内容でした。

 1部と2部、それぞれのラストに演奏された「愛のバラード」の大胆なアレンジ・ヴァージョンも実によかった。商品化希望です。

(記録として演奏メンバーを公演サイトからコピペしておきます)
大野雄二と“SUKE-KIYO”オーケストラ
 大野雄二(音楽監督・ピアノ、フェンダーローズ) 市原 康(ドラム) ミッチー長岡(ベース) 松島啓之(トランペット) 鈴木央紹(テナーサックス) 和泉聡志(ギター) 宮川純(オルガン) Fujikochans[佐々木久美、Lyn、佐々木詩織](ボーカル・コーラス) 梶原順(ギター) 宮本一(シンセサイザー) 川瀬正人(パーカッション) 小竹満里(ティンパニー) 平原まこと(アルトサックス) 近藤和彦(バリトンサックス) エリック・ミヤシロ、鈴木正則、奥村晶(トランペット) 中川英二郎、半田信英、野々下與一(トロンボーン) 中川昌三、大澤明子(フルート) 庄司知史(オーボエ) 藤田乙比古、和田博史(ホルン) 小寺里奈 グループ(ストリングス) 斎藤葉(ハープ) 長須与佳(琵琶) MiMi(ハンマーダルシマー)

指揮:西谷 亮
ゲストボーカル:
 松崎しげる(「戦士の休息」)
 ダイアモンド☆ユカイ(「人間の証明のテーマ」)

2018年4月 8日 (日)

高畑勲監督やすらかに

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   4月5日、高畑勲監督が亡くなりました。
 残念です。
 心より、哀悼の意を表します。

 少年時代に出会った『母をたずねて三千里』と『赤毛のアン』には大きな感銘を受けました。特に『赤毛のアン』は人生観を左右するほどの影響を受けた作品です。

 『アルプスの少女ハイジ』は放送当時は(『宇宙戦艦ヤマト』に夢中だったこともあり)熱心に観ておらず、後年通して観て心をゆさぶられました。

 まだビデオソフトもない時代、地元の大学の学園祭で上映された『太陽の王子ホルスの大冒険』を友人たちと観に行ったのも忘れられない思い出です。

 『ハイジ』同様、あとでまとめて観て大好きになったのが『じゃりン子チエ』。『パンダコパンダ』に通じるユーモア演出が最高で、なんど観ても楽しめる味わい深い作品です。

 高畑監督作品といえば、こだわりぬいた画作りと演出が語られることが多いですが、高畑監督は音楽にも造詣が深い人でした。どの作品も、定型的なアニメ音楽から離れた、純度の高い音楽が印象に残ります。
 『ホルスの大冒険』『セロ弾きのゴーシュ』『柳川堀割物語』『火垂るの墓』の間宮芳生、『パンダコパンダ』の佐藤允彦、『母をたずねて三千里』の坂田晃一、『赤毛のアン』の三善晃と毛利蔵人、映画『じゃりン子チエ』『おもひでぽろぽろ』の星勝、『ホーホケキョ となりの山田くん』の矢野顕子ら、アニメの音楽をほとんど手がけていない作曲家が高畑作品の音楽を担当していることからも、音楽へのこだわりが感じられます。『アルプスの少女ハイジ』の渡辺岳夫も、流れ作業のように作られるテレビの音楽に疑問を感じていた時期に『ハイジ』に出会い、自らの作風とアニメ音楽への取り組み方を大きく変えることになりました。

 私自身は、仕事で『赤毛のアン』『母をたずねて三千里』『じゃりン子チエ』(DVD/BD同梱)のサウンドトラック・アルバムを作る機会を得ました。『アルプスの少女ハイジ』はオリジナル版ではありませんが、2巻構成で作られた総集編のサントラ(DVD同梱)と冬木透編曲・構成の「管弦楽と室内楽による組曲 アルプスの少女ハイジ」のCD化を手がけることができました。どれも大好きな作品ゆえ、精魂をこめて作りました。
 残念ながら生前の高畑監督にお話をうかがうことはできませんでしたが、高畑作品の音楽商品に関わることができて、光栄でしたし、幸せでした。

 すばらしい作品をありがとうございました。
 どうぞ、やすらかに。

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